
宝石やジュエリーを売ろうと思ったとき、
「本当にこのお店で大丈夫かな?」
「安く買い取られないかな」
「後で後悔しないかな…」
このような不安を感じる方が多いのではないでしょうか。
宝石は価格が分かりにくく買取の仕組みも見えにくいため、売却に迷うのは当然です。実際に売った後で「もっと調べてから売ればよかった」と後悔したことがある方もいるかもしれません。
そこで今回は、宝飾業界の法律問題に詳しい新田弁護士にインタビューを行い、宝石を売る前に知っておきたいポイントを解説していただきました。
買取店選びの注意点から、宅配買取やフリマアプリとの違いまで、弁護士の視点から分かりやすくお話を伺っています。
今回お話を伺った専門家

新田 真之介 弁護士
(三村小松法律事務所)
宝飾・ジュエリー分野に精通した弁護士。日本宝石協会理事。GIA-AJP、JJAジュエリーコーディネーター1級。
ジュエリー、時計、工芸、アート、ファッションなどのラグジュアリービジネス法務に注力している。
ジュエリー専門弁護士として「Jewelry and Law~弁護士新田真之介のジュエリー法務~」でも宝飾業界の法律問題について発信している。
弁護士に聞いた「宝石を売る前に知っておきたいこと」
宝石買取では、売る前に少し知識を持っているだけでトラブルを避けやすくなります。まずは、買取前に知っておきたい基本的なポイントについて新田先生に聞きました。
買取りに出す前にしておいた方がいいことはありますか?

最近ではSNS上で「ブランド品買い取ります」と謳っているあやしい“自称”買取業者も散見されますので、ホームページの会社概要欄で古物営業法上の表示を確認するくらいはしておいたら良いかなと思います。(逆に、SNS上に古物商許可番号など何も記載がないような業者は要注意かと思います)。店舗の場合は入って直ぐに「宝飾商」や「書籍商」などの古物商のプレートが掲げてあるはずです。
また、できる限りでいいので綺麗な状態にしておくと印象がよくなるかもしれないですね。「どんな状態でも高く買い取ります」というお店がほとんどですが、状態の悪いジュエリーをそのままガサっと出されると、その印象が査定額に影響する可能性も無いとは言えません。
綺麗にする義務というものはありませんし、お店側でも簡単なクリーニングはできでしょうけれど、できるのであればやっておいて損はないと思います。
「相場を知らないまま売る」ことはリスクがありますか?

みなさんが「勉強しないと騙される」という意識になるのはちょっと違うと思っていますが、実際に安く売ってしまって後悔したという話は聞くので、後で後悔したくないのであれば多少は相場を調べてから売るのが安心かもしれません。
後でどんなに後悔しても、一度合意して売ったものを後から取り消すのは簡単ではありません。ですから、おおよその相場を調べてある程度の期待値を設定しておき、その価格に届くなら売る・届かないなら売らないという判断基準を決めておくといいかもしれません。
買取店よりフリマアプリで売った方がいいですか?

どこまで手間暇をかけて買い取り額を上げたいか?という時間や手間とのバランスで使い分けるのが良いと思います。
例えば、CtoCのフリマアプリで直接エンドユーザーに売る方が価格は高くなる可能性はあるけれど、その分問い合わせ対応や価格交渉、そして自分で梱包・発送する手間が掛かります。
一方で、買取店に持ち込んで買い取ってもらうのは時間がかからず楽だけれど、かわりに当然お店側の利益分は引かれます。

時間とお金はバーターです。とにかく現金化を急ぐのであれば比較検討せずに近くの買取店で売るのが一番早いですが、買い取り価格を優先する場合は調べる・比較するなどの「時間をかける」ことが必要になります。
その観点でみると、未来宝飾のオークション買取はお任せできて、かつ業者間の競り合いが起きるのでバランスのとれた方法なんじゃないかと思います。
宅配買取で預けるのが不安です。気をつけること、確認した方がいいことはありますか?

あくまで1つの指標ですが、「非対面取引のルールをしっかり守っているお店かどうか」は参考になるかと思います。
宅配買取はコロナ後の法改正ではじめて可能になった買取方法で、最初にきちんと本人確認をしなければなりません。例えば「商品を送る荷物に一緒に免許証のコピーを入れてください」というだけでは実はルール違反なんです。
きちんと最初に身分証を確認し、その住所に居住しているかを転送不可の書留郵便を送るなどして確認する義務があります。(その他細かなルールが古物営業法施行規則で定められています)
本来こういったルールはお店側が意識すべきことですが、ルールにのっとっているお店か?というのは「きちんとした店か」を見極める指標にはなると思います。

また送る際に気を付けるべき点は、最低限の追跡や保険がついている宅配業者どうか、そして梱包材です。最近は専用の宅配キットを用意しているお店も多いですね。
水濡れや衝撃吸収を意識したようなクッション材を入れて揺れや衝撃で動かないようにする、逆にぎちぎちに物を入れすぎない(余裕がないと少しの衝撃でも破損などが生じやすくなります)という点も気をつけましょう。
人の物を代理で売るのはOKですか?

原則として自分に権利・権限がないものを売ってはいけませんが、以下の例外があります。
◆亡くなった家族のもの
自分が相続しているもの、遺言書で相続が明言されているものはOK。
相続したのが自分だけではない場合は親族としっかり話し合いましょう。(現金化して平等に分けるか、形見として物のまま分けるか?)
◆寝たきりの家族などの代理人として持ち込むもの
何らかの事情で自分で持って行けない場合は、委任状を用意することで代理人として現金化できます。
売る際にお店に事情を話すと「委任状(同意書などの名前の場合もあります)を書いてきてください」と言われると思いますので、お店に対して提出します。
◆意思の疎通が取れない家族のもの
自分が家庭裁判所から指定された後見人等になっているなら、必要な範囲で現金化して生活費にあてるのは許されている行為です。ただし不当に財産を浪費することは禁止されています。
まとめ
宝石を売るときに多くの人が「本当にこの価格でいいのだろうか」「トラブルにならないだろうか」と不安を感じます。しかし、今回新田先生のお話にもあったように、事前に少し確認しておくだけで避けられるリスクも多くあります。
- 買取業者の古物商許可など基本情報を確認する
- 売る前に大まかな相場を調べておく
- フリマアプリと買取店の特徴を理解して選ぶ
- 宅配買取ではルールを守っているか、配送方法を確認する
- 家族のジュエリーを売る場合は権限を確認する
大切なジュエリーだからこそ納得できる形で手放したいものです。売却を考える際は、今回の新田弁護士のアドバイスを参考に安心できる方法を選びましょう。
未来宝飾マガジン編集部 監修
