ティールブルーという色をご存じですか?あまり聞き馴染みのない色名かもしれませんが、この色は2023年のツーソンジェムショーで注目された宝石の色の一つです。実は日本でも古くから親しまれている色なんですよ。
今回のコラムではティールブルーカラーの宝石をご紹介します。
ティールブルー(teal blue)とは?
青緑色の一種で、その中でも落ち着いた青色が強いものを「teal blue」といいます。「teal」とは英語で真鴨や小型の鴨のことで、鴨の羽色に近い青緑色を「teal」や「teal green」と呼びます。
日本でも鴨の羽色は古くから登場します。万葉集にも青緑色を鴨の羽色に喩えた短歌が収録されているそうですよ。
ツーソンジェムショーで注目されたティールブルー
ツーソンジェムショーはアメリカアリゾナ州のツーソンで毎年行われている宝石・鉱物の展示会(ミネラルショー)のこと。主催はAGTAと呼ばれるアメリカ・カナダの宝石の卸売業者による団体で、世界でも最大規模の展示会です。
ツーソンジェムショーで注目される宝石は今後のトレンドになる可能性が高く、世界中の卸業者がチェックしています。2023年のツーソンで注目を集めたカラーはパープル、オレンジ、マゼンタ、エメラルドグリーン、そしてティールブルーの5色。つまり、ティールブルーは今後日本の宝石業界でも注目される可能性があります。
参考:Amanda’s Style File: The 5 Colors Trending in Tucson – National Jeweler.
関連記事:【2023ツーソンで注目】マゼンタカラー(赤紫)の宝石6選
ティールブルーの宝石
鴨の羽色と呼ばれるティールブルー。実はこの色の宝石はたくさんあるんですよ。代表的な宝石をご紹介します。
パライバトルマリン
世界3大希少石の一つで、トルマリンの中で最も高価な宝石です。ブルーからグリーンまでの明るい色相でネオンのように鮮やかなのが特徴です。ティールブルーの中でも比較的明るめの色をしています。
パライバトルマリンとして評価が高いのは青味が強いものですが、ティールブルーはブルーとグリーンの中間色のものになります。グリーンが強すぎると評価は下がり、明瞭度の違いで印象が変わります。
ティールサファイア
サファイアの中にもティールブルーのものがあり、ティールサファイアと呼ばれています。サファイアは宝石の中でもたくさんの色があることで有名で、赤色以外のすべての色があると言われています。
深みのある落ち着いた色味で、サファイアの強い輝きとのコントラストが魅力です。暗い湖の水面が輝いているような神秘的な美しさですよ。
関連記事:【9月の誕生石】ダイアナ妃も愛したサファイアの深い魅力
ロンドンブルートパーズ
ロンドンブルートパーズは比較的大ぶりなものが多く、内包物が少なく透明度が高い宝石です。深みのあるティールブルーの美しさをじっくり堪能できる宝石ですね。
ちなみに通常のブルートパーズは鮮やかなスカイブルーをしていて印象が大きく違います。どちらも人気のある宝石ですよ。
トルマリン
トルマリンの中にも深いティールブルーカラーをしたものが存在します。トルマリンはいろんな色が採れますので、ティールブルーでもグリーン系やブルー系など微妙な色の違いを楽しめます。色にこだわりたい方にはピッタリの宝石かもしれませんね。
カイヤナイト
プリズムジュエルス カイヤナイト スクエアオクタゴンカット 9mm 4.59ct
カイヤナイトはサファイアによく似たブルーが有名な宝石ですが、実はティールブルーのものもあります。今までは宝石素材として認識されていませんでしたが、ここ数十年で透明のものが見つかるようになりジュエリーにも使用されるようになりました。
同じ宝石の中でも硬度が違い、柔らかい部分があるのでジュエリーとして使用する場合は丁寧に扱ってあげると良いでしょう。
個性的なティールブルーを楽しめる宝石
宝石は一つとして同じものはありません。ものによってティールブルーを楽しめる宝石もあります。
オパール
オパールは7色のゆらめく輝き(斑)が魅力の宝石。この7色が出る現象を遊色効果(プレイオブカラー)と言います。7色は個々で出方が違い、レッドが強いものやオレンジが強いものなど、様々な遊色効果を楽しめます。
その中でブルーとグリーンの斑が合わさりティールブルーのように見えるものがあります。オパールは7色が全体にバランスよく出ているものが良いとされ、特にレッドが鮮やかに出るものが高く評価されます。ブルーとグリーンだけの色相はお手頃な価格で手に入るかもしれませんよ。
タンザナイト
プリズムジュエルス バイカラータンザナイト クッションカット 6×8mm 1.51ct
タンザナイトはブルーゾイサイトという鉱物名ですが、そのゾイサイトにはグリーンもあり、そのちょうど中間のものがティールブルーになることがあります。
一般的に「バイカラータンザナイト」などと呼ばれるもので、一つの宝石内で半分がブルー、もう半分がグリーンになっているユニークな宝石です。その2色が反射しあうことでティールブルーに見えます。タンザナイトは12月の誕生石にもなり、さらに人気が出てきているようですよ。
お気に入りのティールブルーを見つけよう
ティールブルーは鴨の羽色と呼ばれる青緑色で、ツーソンジェムショーにて注目されていたカラーです。サファイアやトルマリンなど有名な宝石からカイヤナイトなどの最近話題の宝石にもティールブルーのものがありますよ。
同じ色であっても石種が違うと輝きの強さ、カット、手に入る大きさも違います。あなたのお気に入りを探してみてみませんか。
関連記事
- ベキリーブルーは幻の青いザクロ石?宝石ブルーガーネットの存在を検証
- グランディディエライトの特徴と今後の資産性を考察
- プリズマティンとは?玄人の心をくすぐるレアストーンの特徴とその魅力
- モンタナサファイアとは?独特のカラーと人気の秘密
- 一つとして同じものがない!個性豊か過ぎる宝石たち
- 【2023ツーソンで注目】マゼンタカラー(赤紫)の宝石6選