【弁護士に聞く】宝石買取Q&A「査定額はどう決まる?価格の仕組み」【第3回】

2026.05.20 2026.05.13

【弁護士に聞く】宝石買取Q&A「査定額はどう決まる?価格の仕組み」【第3回】

宝石やジュエリーを査定に出したとき、

「なぜこの価格なの?」
「お店によってこんなに差が出るもの?」
「宝石に値段がつかないと言われたけど本当?」

など、査定額に対して疑問を感じたことはないでしょうか。同じ商品でもお店によって査定額が大きく異なることは珍しくありません。こうした違いはお店ごとの査定の考え方や仕組みの違いによって生まれています。

今回は査定額の決まり方や価格差の理由について、契約や法律の観点も踏まえながら、宝飾業界の法律問題に詳しい新田弁護士に伺いました。

 

今回お話を伺った専門家

今回お話を伺った専門家:新田 真之介 弁護士

新田 真之介 弁護士
(三村小松法律事務所)

宝飾・ジュエリー分野に精通した弁護士。日本宝石協会理事。GIA-AJP、JJAジュエリーコーディネーター1級。
ジュエリー、時計、工芸、アート、ファッションなどのラグジュアリービジネス法務に注力している。

ジュエリー専門弁護士として「Jewelry and Law~弁護士新田真之介のジュエリー法務~」でも宝飾業界の法律問題について発信している。

 

弁護士に聞いた「査定額が変わる理由と価格の仕組み」

弁護士に聞いた「売却後に知っておきたい契約の考え方」

宝石やジュエリーの買取における査定額は一律の基準で決まるものではありません。商品の状態や種類だけでなく、お店ごとの査定基準や販売ルートによっても変わります。今回は、査定額に関して多くの方が疑問に感じるポイントについて伺いました。

 

複数の商品を「まとめて◯円」と提示するのはありなんですか?

<事例>
手持ちの指輪5点を買取店に持って行きました。
それぞれの指輪には別の宝石がついており、K18やPt900などの刻印もしっかりと入っていました。
査定の結果は「指輪5点まとめて8万円」というもので、どの指輪がいくらという内訳の説明はありませんでした。

買取の際に内訳を提示する義務は無いんですか?

例えば貴金属ではない細々したアクセサリーなどを大量に持ち込んで、それら1つ1つが低額な商品であれば「まとめて1000円です」などと提示することがあると思います。これは別におかしいことではありません。

しかし、貴金属で1点1点しっかりとグラム単位で値段がつきそうな品なのに、まとめた価格を提示された場合(「5つまとめて5万円」など)は、丁寧な査定とは言い難いですよね。そういうお店は丁寧に査定する能力がないとも推定されるので、内訳もほとんど根拠がないものかもしれません。

もちろん売る側は個別の内訳があった方が信頼できますし、希望に合った5点中2点だけ売るなど合理的判断がしやすくなります。

まとめて値段が提示されたからと言ってそれ自体がただちに法的に問題があるというわけではありませんが、少しでも高く売りたい・結果に納得したい場合は、個別の内訳を提示してくれる買取店に持って行くのがいいでしょう。

 

「宝石には値段が付かない」と言われました。地金価格だけで査定することは許されるんですか?

「宝石には値段が付きません」と言われた

宝石を評価しない背景として、

  • 模造石や合成石だから値段がつかない
  • 鑑別書が無いと店の方で鑑別・査定する能力(設備)がない
  • あえて安く買い叩こうとしている

など色んな理由があると思いますが、「値段が付きませんと言われた」という情報だけではお店側の事情は分かりませんね。

きちんと鑑別書が付いていて、模造・合成石や半貴石でもないのに「宝石には一切値段が付かない」と言われたのであれば、おそらくそのお店は技術的に色石査定の判断ができないのであろうと思われますので、より専門知識のあるお店に持ち込むことをおすすめします。

ただし、宝石に値段がつかないことに対して「どこの買取店もそうです」などと嘘を言って(前提情報について誤ったことを告げて)買い取ったような場合は、事実と異なるので取り消し理由になることもあります。

最近では大手フランチャイズ系の買取店でも、現場に最低限の鑑別機材を備えて本部の指示のもと、ある程度の査定が可能になっていると聞きます。ちゃんと相場を知りたいのであれば、「宝石にも値段をつけます」という買取店に行ったらいいと思います。

 

A社で10万、B社では5万の査定結果でした。お店によってこんなに差があっていいんですか?

お店によって査定額に大きな差があっていいんですか?

そもそも色石の場合、ダイヤモンドの「ラパポート」のような国際的な相場がほとんどありません。買取店によって宝石の鑑別・査定の能力は違いますし、買い取った後の売り先も違います。買い取った後で安くしか売れないだろうと予想されれば、値段が高くつかないことはありえると思います。
※ダイヤモンドの国際的な卸売価格基準となる「ラパポート・ダイヤモンド・レポート」のこと。

さらにお店によって販管費・家賃・広告費は異なりますから、そこから差し引く諸経費も異なりますよね。そこはお店側の事情なので、査定結果に差があることは仕方ないと思います。

ただし、「重さも測らずに見ただけで査定された」などという場合はちゃんと査定していない可能性がありますから、疑わしい場合は内訳を求めてみてもいいと思います。商品1点に対して「これは〇円、これが〇円」と説明できるんだったらそれはもう仕方がないので、納得がいかなければ売らないというのがベストだと思います。

 

売ったジュエリーが買取価格の倍以上の値段で販売されていました。違法じゃないのですか?

<事例>
ジュエリーを20万円で売却した1週間後、同じ店のECショップで 50万円で販売されているのを発見しました。
売ったジュエリーを返してもらう、もしくは上乗せで請求できますか?

売ったジュエリーが買取価格の倍以上の値段で販売されていた

その時に「売ります・買います」が成立しているので、後からそれを覆すのはよほどの事情(法律に定められた取消事由などに該当するような事実)がないと難しいですね。

買取価格をいくらにするかはお店の自由ですし、それをいくらで販売するかもお店の自由です。金額が大きいので不当では?と思われるかもしれませんが、例えば古本や古着で考えても「100円で買い取ったものを1000円で売る」というのは普通の話ですよね。

この事例の販売時にどのような交渉があったかがわかりませんが、単に買い取った後の小売価格が高いというお話だけだと難しいのかなという印象です。

 

まとめ

宝石の査定額は一つの基準だけで決まるものではなく、お店ごとの考え方や販売ルート、査定能力によって変わります。今回の新田先生のお話から見えてくるのは、査定額の違いは必ずしも「正しい・間違い」ではなく、仕組みや前提の違いによって生まれているという点です。

  • まとめて値段を提示すること自体は一般的だが、まとめた理由や内訳を確認することが重要
  • 宝石に値段がつかない背景には設備や査定能力の違いがある
  • お店ごとに価格差が出るのは、販売ルートやコスト構造が異なるため
  • 買取価格と販売価格に差があること自体は、基本的に問題ではない

査定額に違和感を感じた場合は「なぜその価格になるのか」を確認することが大切です。そして納得できない場合は無理に売らず、他のお店と比較するという選択も有効です。

価格の仕組みを理解することで自分にとって納得できる売却に近づいていきます。

未来宝飾マガジン編集部 監修

 


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