マーケティングとブランディングの違いをご存知でしょうか?
言葉の違いは理解していても、本質的な違いを知る方は少ないかもしれません。コロナ禍により変化した消費者行動を前に、マーケティングとブランディングはどちらも重要な要素で、効果的にミックスさせる必要があります。
今回はそんな、マーケティングとブランディングの違いをご紹介します。
実は役割が違うマーケティングとブランディング
マーケティングの役割
マーケティングの役割については様々な見解があります。本記事では「経営学の父」と呼ばれるピーター・ドラッカーの言葉を借りることにします。
マーケティングの理想は、販売を不要にすることである。マーケティングが目指すものは、顧客を理解し、製品とサービスを顧客に合わせ、自ずから売れるようにすることである。
--[英和対訳] 決定版 ドラッカー名言集より抜粋
ピーター・ドラッカーいわく、マーケティングとは「販売の仕組み化」だと説いてます。確かに商品が自ずと売れる仕組みを作ることが理想的ですし、ピーター・ドラッカーは企業の基本的な機能をマーケティングとイノベーションの2つだとしています。
マーケティングはビジネスの根幹を成すものであり、高額商品とて例外ではありません。
ブランディングの役割
一方、ブランディングとは簡単に説明すると「ブランドの形成」を意味します。では、ブランドとは何か?マーケティング研究の第一人者であるフィリップ・コトラーは、次のように定義しています。
ランドとは、個別の売り手または売り手集団の財やサービスを識別させ、競合する売り手の製品やサービスと区別するための名称、言葉、記号、シンボル、デザイン、あるいはこれらの組み合わせ
皆さんは「ブランドバッグ」と聞いて、何を思い浮かべますか?エルメス、ルイ・ヴィトン、プラダ、グッチ、あるいはペッレ・モルビダのように国内ブランドを想起するでしょうか。このように、購買ニーズが発生した際に特定の商品・サービスを思い起こさせるのがブランドの影響力です。
このブランドを形成し、他商品やサービスとの差別化を図れる要素を作り出すのがブランディングの役割と言えます。
結局、どっちが重要なのか?
マーケティングとブランディングの関係を簡潔に言い表すと、次のようになります。
マーケティング = 企業自身がブランドイメージを伝える努力
ブランディング = 消費者が抱えるブランドイメージの形成
一見して同じようなことに見えますが、前述した定義を思い出すとマーケティングでは「販売の仕組み化」が大切です。企業自身がブランドイメージを伝える努力を行いながら、様々なコンテンツを通じて「販売の仕組み化」を行なっていきます。
一方、ブランディングでは「消費者から見てどんなブランドとして映って欲しいか?」を軸に考えます。
コカ・コーラのブランディング戦略
コカ・コーラは「コーラといえば…」という単純なブランディングだけでなく、様々なシーンで愛飲される飲料として広くブランディングを行なっています。
例えば、「スポーツ観戦中にスカッとした飲料が飲みたい!」→「今日はアルコールは控えよう」→「じゃあ、コカ・コーラがいいな!」と、何かが飲みたくなったシーンごとにコカ・コーラが連想されるようなブランディング戦略を取っているのです。
「宝石といえば…」から連想されるブランドは多いでしょうが、「ホームパーティに身につけたいカジュアルな宝石は…」とシーンが限定されると、連想されるブランドはかなり絞り込まれます。このように、「消費者からどう見られたいか?」と軸に実施する戦略がブランディングです。
マーケティングとブランディングは同時に取り組む
そしてマーケティングとブランディング、どちらが重要かというと、相乗効果を狙って2つの施策を効果的にミックスするのが大切になります。
マーケティングがブランディングに繋がり、ブランディングがマーケティングを補助する。具体的にはブランドを形成する名称、言葉、記号、シンボル、デザインとこれらの組み合わせを明確にし、マーケティングへ適宜反映させます。
自社のマーケティングとブランディングを考える
ビジネスにおいて、マーケティングとブランディングは同等に重要です。
また、マーケティングとブランディングの役割については、企業独自に定義するケースもあります。自社にとってマーケティングとは何か?ブランディングとは何か?を考える、一つの機会にしていただければと思います。
マーケティングとブランディングを上手く機能させれば、市場において強い優位性を手にすることが可能です。