投資と聞くと株式やFXをイメージする方が多いかと思いますが、「宝石」も同様に資産価値を持ち投資対象となります。宝石が好きな方にとって、宝石投資は宝石を愛でつつ資産運用出来る有効的な方法ではないでしょうか。
今回のコラムでは「宝石投資」にスポットライトを当て、おすすめの宝石や注意点、売却のポイントなど詳しく解説いたします。
はじめに
投資対象として宝石を選ぶメリットは、なんといっても「資産価値が安定している点」にあります。希少価値の高い宝石は長い時間を経ても価値が変わらず、むしろ価値が上がるケースもあり、短期的ではなくじっくり成長する資産としておすすめです。
しかし、高い宝石を手に入れたからといってそれが高い資産価値を持つとは限りません。そこで本記事では投資対象としての宝石について解説しますので、この機会に宝石投資の知識を身につけていきましょう。
資産価値の高い宝石4選
それではまず、今後資産価値が上がるであろう4つの宝石について紹介します。
ピンクダイヤモンド
世界中の女性からの人気を欲しいままにしているダイヤモンド。その中でもとりわけ資産価値が高いのは「ピンクダイヤモンド」です。出現率はカラーレスダイヤモンドの1/10,000と言われており、2020年には世界最大のピンクダイヤモンド供給地だったアーガイル鉱山が閉山し、その希少性がさらに高まっています。
過酷な環境下でしか誕生しないため、0.05カラット前後のものが大半です。加えてVS以上のクラリティを持つピンクダイヤモンドは1年間に1ピースしか算出されないとも言われています。
今後は産地を問わずピンクダイヤモンドの価値が高まり、アーガイル産のお墨付きがあるものは特に価値が爆増すると予想されます。
日本のみならず世界を巻き込み高騰する見込みで、富裕層、投資家の資産運用としても注目されることになりそうです。
詳細記事:アーガイル鉱山閉山によるピンクダイヤモンドの行方と価値は?
モンタナサファイア
モンタナサファイアはその名の通り、アメリカはモンタナ州から採掘されるサファイアのことです。モンタナ州の中でも鉱脈によってその色合いや特色が異なり、とくにヨーゴ産は高い希少性があります。
- ブルー系が98%、残りの2%がバイオレットカラー
- 大部分のブルーサファイアがコーンフラワーカラー
- 加熱処理が行われない
- ルチルによる針状インクルージョンが見られない
ヨーゴ産サファイアはモンタナサファイアの中でも、別格の品質があります。既に採掘が終了し枯渇していること、加熱処理がなされないことから、今後はよりその希少性から人気が高まることでしょう。
グランディディエライト
プリズムジュエルス グランディディエライト クッションカット 1.08ct
「グランディディエライト」は2015年アメリカの経済誌Forbesにて『世界で3番目に高価な宝石』と評価され、レア宝石として知られています。
この宝石が初めて発見されたのは1902年とごく最近の話です。マダガスカルで発見され、その後インドやニュージーランドなど世界各地で発見が報告されますが、クリアなジェムクオリティーの石が少ないことが宝石としての価値を高めてきました。
パライバトルマリンなどに比べると、宝石としての需要が確立されるほどの産出量を誇りません。しかし将来的に新鉱山が発見され、宝飾品としての需要が増える可能性を肯定的に考えれば、その価値は今以上に高まることも予想されます。
特に1カラットアップ、内包物が少ない深いトーンのものは、ルースでも高く評価されます。また、多くの宝石で行われている加熱処理が通常なされない点は評価すべき点でしょう。
デマントイドガーネット
プリズムジュエルス デマントイドガーネット RD 5.5mm 0.69ct
デマントイド(Demantoid)とは「ダイヤモンドに似た」という意味で、ガーネットでありながらダイヤモンドのような輝きと美しさを兼ね備えた宝石です。1875年〜1917年のロシアのロマノフ王朝において王族や貴族が身に着けるジュエリーとして人気を集めていました。
多くの産地で産出されますが、ウラル産の石は希少性だけでなく審美性でも他の追随を許しません。カラーは深みのある緑色が人気で、イエローやブラウンが入り込む場合はその価値に影響を及ぼします。また加熱処理を施したものは必然的に価値が下がります。
クラリティーに関しては他の色石に比べて品質に影響することは少ないですが、「ホーステールインクルージョン(※)」と呼ばれるインクルージョンがある場合は価値が高くなります。ただし審美的にその位置や大きさが考慮されることも少なくありません。
※束状のクリソタイルが馬の尻尾のように放射状に流れる内包物のこと。幸せの象徴とされる。
1カラットまでの重量の石は見かけますが、3カラットを超えると希少価値の面で大きく資産価値が向上します。
詳細記事:デマントイドガーネット、その特徴と歴史、産地による違いを解説!
注意すべき宝石とは?鑑別書は必須!
宝石投資において、合成された宝石や人為的処理が施された宝石には注意が必要です。ここでは注意すべき宝石と鑑別書の大切さについて解説します。
合成ダイヤモンドに注意!
地中深くで悠久の時を経て結晶を育んできたのが天然ダイヤモンド。一方でその結晶育成環境を自然由来ではない研究所、ラボ経由で製造されたダイヤモンドの結晶を合成ダイヤモンドと呼んでいます。
天然ダイヤモンドと同じ組成、特性を持ち、他の合成宝石以上に製造コストが高い点は事実ですが、あくまで工業製品としての位置づけでありそこに希少性は一切ありません。
いくらグレードの高い合成ダイヤモンドであっても天然と同じ価値はありませんし、もちろん投資対象にもなりません。資産としてではなくファッションとして楽しむなどの線引きが必要です。
関連記事:合成ダイヤモンドとは?その特徴にマーケティング、販売倫理までを検証
人工処理を施した宝石に注意!
宝石に何らかの処理を施すのは珍しいことではありません。例えば、ルビー、サファイアなどのコランダムではよく加熱処理が見られます。この処理は「エンハンスメント」と呼ばれ価値を下げるものではありません。
しかし「トリートメント」と呼ばれる人工処理が施された宝石には注意が必要です。
「エンハンスメント」は宝石が本来持つ美しさを引き出すための処理、「トリートメント」は宝石の本来持っていないカラーを人工的に引き出す処理とされるからです。本来のカラーとは異なるため「天然」とはみなされず、いくら美しくグレードが高くともそれが評価に反映されることはありません。
トリートメントとしてよく知られているものには以下があります。
- 高温高圧処理:ダイヤモンドやサファイア
- コーティング処理:翡翠・珊瑚など
- 着色処理:真珠・珊瑚・翡翠など
- 放射線照射処理:トパーズ・トルマリン・ダイヤモンド・パールなど
- 充填処理:珊瑚、サファイア・ルビーなど
- レーザー処理:ダイヤモンド
関連記事:ベリリウム拡散処理!消費者目線での定義と注意点【パパラチアサファイア】
鑑別書付きの宝石を揃える
投資として宝石を購入する場合は、いかに信頼度の高いルートから購入するか、そして鑑別機関の鑑別書が付随しているかがカギになります。日本国内にはAGL(宝石鑑別団体協議会)と呼ばれる宝石の品質評価、消費者保護を目的とした団体がありますが、そこに加盟している鑑別機関が発行する鑑別書が付帯しているかをまずは確認しましょう。
また、宝石によっては産地で大きく価値が異なるものもあります。そういった場合も産地証明が必須になるので、信頼度が高い鑑別機関で鑑別書付きの宝石を揃えましょう。
売却時の注意点
宝石を売却する際に注意すべきポイントをご紹介します。
製品はデザインにも注意
宝石ではなくジュエリーとして所有している場合、ジュエリーのデザインに注意が必要です。デザインには流行り廃りがあります。デザインが評価されない(石の価値と地金の価値のみで算出される)場合もあるので気をつけましょう。
買い取り見積もりは複数業者へ
買取業者によって買い取り見積の金額は違ってきます。宝石専門のスタッフがいない店舗では、鑑別書も正しく見てもらえず、本来の価格を下回ることも無きにしもあらず。必ずいくつかの買取業者で見積もりを取ってから判断しましょう。
フリマアプリを使用し自分で販売する
近年はフリマアプリも広く普及しており、それらを利用して自分で販売すれば、買取業者の中間マージンの分が利益として手元に残ります。特にレアストーンの場合、その人気度が分からない業者では買取価格を低く見積もる傾向にあります。フリマアプリでその宝石が好きな方に直接販売する方が高く売却できる可能性もあります。
まとめ
今回の記事では資産価値の高い宝石として「ピンクダイヤモンド」「モンタナサファイア」「グランディディエライト」「デマントイドガーネット」をご紹介しました。これらの宝石については各記事でも詳しく解説しているので、興味のある方はぜひ知識を深めてみてください。
もちろん上記以外にも投資対象となる宝石は多くあります。一般的に名前が知られている宝石で品質が良ければ、買取相場が落ちることは少ないでしょう。いずれの場合も投資対象として保有するならば鑑別書がポイントになります。
これを機に「宝石」を資産運用の1つとして検討してみてはいかがでしょうか?
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