数年前より、「サブスクリプション(サブスク)」と呼ばれるビジネスモデル(収益の仕組み)にてサービスを提供する会社が増えています。
トヨタが2019年に開始したKINTO、NETFLIXやHuluなどの映画配信サービスもサブスクリプションの一種です。そして宝飾業界にも、サブスクリプションの波は押し寄せています。
今回はそんなサブスクリプションについて解説します。
数年前から出現した「サブスクリプション」とは?
サブスクリプション(Subscription)には「定期購買」という意味があります。ビジネス側の視点で考えると今まで「製品」として提供してきたモノを「サービス」として提供するということです。
例えばトヨタのKINTOは、本来は製品として購入する自動車をサービスとして提供しています。消費者は契約に応じた月々の金額を支払うことで、自動車をレンタルできるというわけです。従来のカーリースと異なるのは、付帯サービスの充実性やプランの柔軟性にあります。
KINTOでは自動車保険から車検費用まで、全てがプラン料金に含まれています。また、選択できるプランの幅が広く、自分好みのプランを契約することでお得に利用できるのがサブスクリプションの特徴です。
サブスクリプションはインターネット経由でソフトウェアを提供するクラウドサービスを皮切りに、自動車業界、映画・音楽業界、インテリア業界、コスメ業界、ファッション業界、カフェ業界など大きく波及しています。さらに、宝飾業界にも。
ジュエリーのサブスクサービスを紹介
それでは、宝飾業界で提供されているサブスクリプションサービスを2つご紹介します。
1.スパークルボックス
「2,000種類のジュエリーが借り放題」を売りにしているサービスです。コースは全部で4つあります。(2021/6/30時点)
スタンダード | レギュラー | プレミアム | ロイヤル | |
---|---|---|---|---|
月額料金(税込) | 3,300円 | 6,380円 | 10,780円 | 20,680円 |
交換回数 | 1~3点/回 | 1~3点/回 | 1~3点/回 | 1~3点/回 |
上限金額 | 合計10万円 | 合計30万円 | 合計100万円 | 合計200万円 |
ジュエリーサブスクリプションではプランに応じてレンタルできる商品の合計金額に上限があります。ユーザーは自分が「どんなジュエリーを身につけたいか?」によって、好みのプランを選べるわけです。
スパークルボックスの特徴は専属のスタイリストがシーンに合わせたジュエリーの組み合わせをチョイスしてくれるところです。ファッションに自信がない人でも、お洒落に身に着けられるというのが人気のポイントになっています。
2.KIRA SHARE
日本初、宝飾業界におけるサブスクリプションサービスです。こちらも4つのコースが用意されています。(2021/6/30時点)
カジュアル | スタンダード | プレミアム | エグゼクティブ | |
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月額料金(税込) | 5,280円 | 8,580円 | 10,780円 | 21,780円 |
割引金額 | 20%OFF | 50%OFF | 50%OFF | 60%OFF |
上限金額 | 合計10万円 | 合計30万円 | 合計50万円 | 合計100万円 |
KIRA SHAREのサービス内容は基本的にスパークルボックスと変わりませんが、「商品が気に入ったらそのまま購入できる」というのがポイント。これはファッション系のサブスクリプションでよくあるサービス形態です。
プランによって商品購入時の割引金額が違うため、上手く利用すればお得にジュエリーをゲットできる点で人気を集めています。
サブスクリプションを実現するには?
「サブスクリプションを始めてみたい!」と考えた際に、どうすればそれを実現できるのでしょうか?サブスクリプションビジネスの始め方を、大まかなステップで紹介します。
1. ターゲットとする消費者と、提供するサブスクのコンセプトを決める
2. 他のサブスクサービスにはない独自性を見つける
3. 需要があるか否かの市場調査を行う(主に調査会社に依頼)
4. 懇意にしていただいている顧客を中心にサブスクを提供し試して頂く
5. 需要があると判断した場合、本格的な事業戦略を立てる(短中期的)
6. サブスクに必要な環境を用意する(サイト、運営体制、カスタマーサポートなど)
7. サブスクのPR方法について考える(SNS、プレスリリース、雑誌広告など)
8. サブスクリプションサービスをスタートさせる
ざっくりとしたステップですが、大まかな流れは上記のようになります。サービスがスタートしてから大切なのは、顧客とのコミュニケーションを図りながらサービス改善を絶え間なく続けていくことです。
従来の売り切り型ビジネスにおける収益アップの仕組みが「販売数増加」なら、サブスクリプションの収益アップの仕組みは「顧客関係の維持」です。なので、従来以上に顧客視点に立ったビジネス展開が重要になるでしょう。
まとめ
サブスクリプション市場は年々拡大しており、1兆円規模の大台に乗るのも時間の問題です。あらゆる市場でサブスク化が起きており、消費者もその流れを受け入れています。皆さんもこの機会に、自社ビジネスのサブスク化を検討してみてはいかがでしょうか?