新規会員登録

【ジュエリー専門弁護士に聞く】宝飾品売買のトラブルと回避方法

2023.05.18 2023.09.20

【ジュエリー専門弁護士に聞く】宝飾品売買のトラブルと回避方法

―宝飾売買でよくあるトラブルは?解約になるパターンって?

―クレームはどうやって防げばいい?

―転売目的で仕入れる場合どんなことに注意すればいい?

 

今回は宝飾品売買や転売に関するよくある疑問について、ジュエリー専門弁護士をされている「Jewelry and Law~弁護士新田真之介のジュエリー法務~」の新田先生にお伺いしていきます。

 

関連記事:【ジュエリー専門弁護士に聞く】個人で始める宝石商5つのポイント

 

宝飾売買でよくあるトラブルは○○○クレーム!

宝飾品売買でよく聞くトラブルはどんなものですか?

購入して店を出て、あるいはネットで購入した商品が届いて、1週間程度が経ってから「チェーンが切れた」「石がとれた」「ヒビが入っている」などクレームが入るケースです。

 

その時お客様はよく「何もしていないのに」と仰るんです。もし本当にそうであればすぐに気づくはずなのですが、大体クレームが入るのは1週間以上経ったタイミングです。

 

なので「何もしていないことは“ない”はず」なんですよね。それがはっきりしないためにトラブルに発展することが多いです。

購入後の不良品クレームはこうやって防ぐ!

購入後の不良品クレームはどうすれば回避できますか?

トラブルが起きたとき、お店側は検品しているから「そんなことあるはずがない」と思っているし、お客様はぶつけた記憶がないから「何もしていないのに」と言います。

 

これを防ぐためには商品の引き渡しの時に確認してもらうのが一番大切です。店舗の場合は「最後に確認してください」と言って、傷がないか、ツメの緩みがないかなどを一緒に確認するようにしてください。

 

そこで問題がなければお店を出た瞬間からお客様自身の責任になりますので、その後のトラブルを防ぐことができます。

ネット販売の場合はどのように対策をすると良いですか?

ネット販売はお店と違いお客様と一緒に宝石や宝飾品の欠陥を確認できないため、利用規約の作り込みによって対策する必要があります。例えば、

商品が届いたらすぐに商品に傷や爪の緩みがないか検品し、もし商品に欠陥がある場合はすぐにご連絡ください。
配送後、3日以内にご連絡がない場合は検品に合格したものとみなします。

このように規約を作ることで、記載した期限以内に連絡がない場合は検品に合格した扱いにすることができるため、トラブルにならずに済む可能性が高まります。

その他クレーム対策として出来ることはありますか?

お店側は「これは普段使い用じゃない」と思っていても、トラブルになったお客様に聞いてみると「お風呂の時も寝る時もずっとつけてます」というようなこともあります。

 

この認識の違いが生じないように注意点をきちんと説明した上でお客様に楽しんでいただくこと。それもジュエラーとして大切な仕事です。

プレゼントとして宝飾品を売買する際に注意するポイント

プレゼントとして宝飾品を売買する際に起きるトラブルについて教えてください。

販売時に注意事項を説明すると思いますが、プレゼントを受け取る方までその情報が伝わらないことにより宝飾品を壊してしまうケースがあります。

 

例えば「これは石濡れしてはいけない宝石です」など、特にその宝飾品・宝石について注意しなければならないことは、お店で伝えたとしても、受け取る方まで伝わっていない可能性も考えられるので、購入者当人が使用する場合よりも注意が必要です。

プレゼントとして宝飾品を販売する際はどのような工夫をすると良いのでしょうか?

例えば、保証書の中にメモ欄を用意しておいて「このトルコ石は水濡れNGなので、食器洗いや入浴の際には外すようにしてください」というように記載して、「これも一緒に渡してください」と伝えるなどです。

 

宝飾品ごとに注意点がある場合は、その旨を記載した紙を添付する

宝石の材質とお客さんの利用シーンを想像することが大切なんですね

ネットショップやAIを利用した購入が当たり前になっていくこれからの時代は、よりお客様の利用シーンに密着することが大切だと思います。

 

例えば、町の宝飾店でお客様と深く関わっているのであれば、そのお客様やご家族のライフスタイルを理解したアドバイスができますよね。先回りした細やかなサービスができるのは、お店を持つことのメリットだと思います。

【ここに注意!】解約事由になってしまうケース

宝飾品売買で多いトラブルは何ですか? (6)

「返品したい」「思っていたのと違った」と言われる場合に多いのが、説明が不足していた、または説明が間違っていたというケースです。

 

例えば「サファイア、2カラット」と書いていたのにそもそもサファイアではなかった場合は契約違反で解約事由になります。また、「2カラット」と書いてたのが、1.5カラットしかなかった。これも契約違反になりますね。

解約事由になるかどうか判断に迷うケースはどんなものがありますか?

加熱処理をしている記載が無かったために、非加熱だと勘違いして100万円で買ってしまった、しかし市場の相場は10万円だったという場合。このケースは解約事由にならないとおかしいですよね。

 

値段への影響が大きい処理はしっかりと伝え、不利なことがあるのであれば、最後に伝えるのではなく、最初に伝えた方が信頼されるお店になっていきます。

 

商品説明については「【法律point1】商品説明はココを押さえる!」もあわせてチェックしてください。

転売目的で宝石を仕入れる場合の注意点は?

転売目的の方が仕入れをする際のアドバイスをお願いします。

これまでお話してきたような宝飾品、宝石についての説明や注意事項を自分が把握して、説明できるようにすることが重要です。

 

どんな処理がされているかを把握せず「安いから」と仕入れてしまうと、転売した後でクレームが来る可能性があります。その時に「いや、私もそんなの知りませんでした」という対応はプロ失格ですよね。

 

転売する人は「卸やメーカー、原産地の人の代わりに売る人」であり、「お客様の代わりに良い商品を仕入れる代理人」でもあるので、どちらからも信頼されるような立ち居振る舞いが望ましいと思います。

新田先生にとっての「宝飾品」とは?宝飾品の楽しみ方

新田先生にとって宝飾品の楽しみ方とは?

人によってはお守り的な要素が強い人や、ファッション的な要素が強い人もいますよね。

 

私は小指に『ジョージジェンセン』のリングを着けていますがこれは、宝飾業界の人たちと同じぐらいマニアックなものが好きなんだという「自己同化作用※1」と、普通の弁護士ではあまり着けていない指輪を着けているという「自己異化作用※2」を含んでいます。

※1みんなと同じがいいと思う気持ち ※2みんなと違うものがいいと思う気持ち

自己同化と自己異化の象徴としてリングを選んだのはなぜですか?

リングは一番自分の肌に触れていて、最も自分の目に入りやすいアイテムです。海外のアンティーク指輪コレクターの方は「リングを着け続けることによって、自分とリングとの唯一無二の関係性、精神的な繋がりも芽生えてくる」と話していました。

 

ずっと着けたままなので傷だらけになっていますが、そうして「私だけのリング」になっていくんです。こうした永く愛用できるものをアイデンティティーにしていくと良いと思います。

まとめ

今回は宝飾品売買や転売に関するよくある疑問について新田先生にお伺いしました。

  • 商品購入から1週間以上経った不良品クレームが多い
  • 引き渡し時の「一緒に確認して下さい」で後日クレームを防ぐ
  • 着用方法や注意点をきちんと理解してもらうことが重要
  • プレゼントの場合、注意事項は受け取り手まで伝える
  • 人工処理の有無など正確な情報の開示が必要
  • 転売する人は仕入れ商品について自らが把握しておく

個人が仕事として宝石商を続けるコツ、商品説明・商品画像の法的ポイントについては「【ジュエリー専門弁護士に聞く】個人で始める宝石商5つのポイント」で詳しく解説しています。

 

宝飾品に関するトラブルは「ジュエリー専門弁護士」へ相談しよう

Jewelry and Law

Jewelry and Law~弁護士新田真之介のジュエリー法務~」では、ジュエリー販売でのトラブル、クレーム対応、リペアやオーダーメイドなどでおきやすい法律トラブルを専門弁護士へ相談することができます。

 

ジュエリー業界に見識のある専門の弁護士に相談することで、的確なアドバイスを受けることができます。お困りごとが発生した際にはぜひお役立てください。

 

<相談事例>
・販売したジュエリーに「傷がついていた」と後日返品クレームが来ています。販売時にはそのような傷はありませんでした。
・修理対応したジュエリーを納品したら「自分が預けた石とはちがう。すり替えられた!」と言いがかりを付けられています。

 

新田先生のインスタグラム、ツイッターもご覧ください!

 

出展企業様は初回無料でご相談いただけます!

未来宝飾MARKETに「出展企業」としてご登録の会員様は 、通常初回60分あたり11,000円(税込)のところを初回無料でご相談いただけます。ご相談は初回の案件であれば何度でも可能です。

 

相談をご希望の出展企業様は、ログインした状態で本記事にアクセスいただき下記▼をご確認ください。

 


未来宝飾MARKETのご案内
資料請求・お問合せ
PAGE TOP