―個人がメルカリやヤフオクで長く商売を続けるコツは？
―法的観点から見た適切な商品説明や画像とは？
―メルカリやヤフオクの中で販路を見出すポイントは？
今回は個人がメルカリやヤフオクでジュエラーとして販売をする上で押さえておくべきポイントを、ジュエリー専門弁護士をされている「Jewelry and Law～弁護士新田真之介のジュエリー法務～」の新田先生にお伺いしていきます。
関連記事：【ジュエリー専門弁護士に聞く】宝飾品売買のトラブルと回避方法
個人のジュエリー販売はハードルが高いのか！？
「ネットで仕入れてネットで売る」「ネットで仕入れてリアルで売る」「リアルで仕入れてネットで売る」というように販売方法も仕入れ方法も増えていますし、今ではライブ配信で販売される方もいらっしゃいますね。
様々なバリエーションでの販売ができるようになっているので、決して参入障壁が上がってる印象はありません。
転売目的で宝石を仕入れる場合の注意点は「【ジュエリー専門弁護士に聞く】転売目的で宝石を仕入れる場合の注意点は？」で詳しく解説しています。
個人が仕事として続けるコツは「お客様との○○○」
フリマアプリでの販売は利用者が多いため、お客様にも細かすぎる人や粘着質な人など色んな方がいらっしゃいます。そんなお客様の評価を気にしすぎて、必要以上に対応している方が結構いらっしゃいます。
低評価をされたくないから、問い合わせやコメントなどのやりとりで誠実、迅速に対応しすぎてしまうんです。これは特に個人事業主として始める方や主婦の方に多い傾向にあります。
メルカリやヤフオクは24時間連絡が返せてしまうのですが、深夜まで対応して精神がギリギリになっている方を私は何人も見てきました。
仕事としてきちんと続けていくためには、プロフィールに「平日の10時〜17時に対応いたします」と書くなど、割り切った距離感を保つことが大切だと思います。
ライブ配信では自分を看板にして宝石や宝飾品を売るため、自分のキャラクターや私生活を小出しにしている方も多いですよね。
そんな中でお客様からお友達感覚で連絡が来たり、ランチに誘われてしまい「どうやって断ると良いですか？」という相談を受けることがあります。
いくらリピーターや大口のお客様であったとしても決してお友達ではありません。対応しすぎた結果自分が疲弊してしまうパターンをよく聞くので、距離感と線引きを間違えないようにしたいですね。
【法律point1】商品説明はココを押さえる！
ポイントは「プラス面だけでなくマイナス面もきちんと書く」「悪いことは先に書いておく」の2つ。マイナスポイントを最後に書くと「そんなところに書かれていたら読まない」といった文句をつける余地を与えてしまいます。
顕著な例は「人工処理の有無」です。例えば、処理したブルーダイヤモンドを「希少性が高い」と大々的にうたって、最後に小さく「※放射線照射処理あり」と書く。これでは揉める可能性がありますし、何より信用を失ってしまう売り方だと思います。
「希少性」「今だけ」「今後値上がりする」というような大げさで不確定な誇張は『消費者法』の観点から見ると違反になることが多いです。
ですので「処理しています」と書いた上で「資産性は無いですがお手頃価格でおすすめです」という言い方をした方が、お客様から信用を集めやすくなると思います。
メルカリやヤフオクだけでなく、ネットで販売する際は商品説明欄で「こういう方には向きません」とか「こういうシーンでは外してください」ということも書けると理想的ですね。
宝飾業界では「フォールスネーム（偽りの名前）」というコマーシャル用につけられた正確ではない宝石名が存在します。このフォールスネームも勘違いを生む原因になりがちです。
例えば、人工石の「キュービックジルコニア」を『CZダイヤ』と謳っているお店をたまに見かけますが、この表記だとキュービックジルコニアのことを知らない人はダイヤモンドと勘違いしてしまう可能性がありますよね。
フォールスネームを多用してしまうと「知識のない素人を騙そうとしている」と捉えられても仕方ないと思うので、分かりやすく書くべきだと思います。
過剰な表現をすれば一時的に売上は上がると思いますが、化けの皮が剥がれた時に破綻してしまいます。ネット販売が盛り上がると同時に消費者法の取り締まりは年々規制が強くなっていますから、ずるいやり方をしていてもトラブルを生むだけです。
いろんな方があなたのページを訪れることを想定して、専門用語や略語を多用せず、勘違いを生まないような分かりやすい文章にしていくべきだと思います。
解約事由になってしまうケースについては「【ジュエリー専門弁護士に聞く】解約事由になってしまうケース」をチェックしてください。
【法律point2】商品の写真はこう撮る！
上手く撮れたら売れるには売れるのですが、届いてから「思っていたより暗い色だった、小さかった」とイメージ違いを生んでがっかりされてしまう可能性が高まります。
宝石は色味が重要なので、もちろん画像を加工をする、色を変えるという意図的な補正はやめるべきです。勘違いを生まないためにも「普通に撮る」ことをおすすめします。
ライトを2パターン用意してどのように見えるかを比較したり、大きさを分かりやすくするためにスケールを置いてみたり、手のマネキンに乗せてみるなどでイメージ違いを防ぐことができます。
また、宝石に傷や内包物がある場合はその部分の写真も撮って載せておいた方が良いですね。
個人がメルカリ・ヤフオクで生き残る方法
個人の場合はこだわりや個性を出しやすいのが利点だと思います。例えば「カラーダイヤモンドだけ」「ガーデンクォーツだけ」など商材を絞り専門特化して、その宝石に関してマニアックな投稿をするというやり方は注目されると思います。
また、自身がインフルエンサーになることで「この人のセンスが好き」というように個性に共感したお客様を作っていく方法もありますね。
メルカリはプロフィールの文字量が限られているので、SNSで普段のライフスタイルやどういう想いで宝石を扱っているか、どこから仕入れているかなどの情報を発信していくことは、販路を見出すポイントの1つだと思います。
現代社会にとって宝石とは、自分が楽しんだり気持ちを上げてくれるという要素が特に大きいと思います。ですので「今だけお得ですよ」「今後値上がりします」ということを強調するよりも、『お客様が幸せになるためのお手伝い』になるようなお仕事をしていただきたいです。
宝飾品は安い買い物ではないので、段階を踏んでお客様との信頼関係を築いていくことが大切です。規模の大小、歴史の長さを問わず、メルカリやヤフオクで売り始める駆け出しのうちからお客様との信頼作りを行って、素敵なジュエラーを目指してください。
まとめ
今回は個人がメルカリやヤフオクでジュエラーとして販売する際に押さえておくべきポイントを、ジュエリー専門弁護士の新田先生にお伺いしました。
- 個人のジュエリー販売の参入障壁は「下がっている」
- お客様とのやり取りで疲弊しないために「仕事と割り切った距離感」を心掛ける
- 商品説明には「マイナス面も隠さずも書く」ことで信用を集める
- 誤解を生むような「誤った名称」や「過大な表現」は避ける
- イメージ違いを防ぐために「写真は上手く撮りすぎない」
- 個人が販路を切り開くために必要なのは「センス」と「個性」
宝石を仕入れる場合の注意点、解約事由になってしまうケース、クレーム対策については「【ジュエリー専門弁護士に聞く】宝飾品売買のトラブルと回避方法」で詳しく解説しています。
宝飾品に関するトラブルは「ジュエリー専門弁護士」へ相談しよう
「Jewelry and Law～弁護士新田真之介のジュエリー法務～」では、ジュエリー販売でのトラブル、クレーム対応、リペアやオーダーメイドなどでおきやすい法律トラブルを専門弁護士へ相談することができます。
ジュエリー業界に見識のある専門の弁護士に相談することで、的確なアドバイスを受けることができます。お困りごとが発生した際にはぜひお役立てください。
＜相談事例＞
・販売したジュエリーに「傷がついていた」と後日返品クレームが来ています。販売時にはそのような傷はありませんでした。
・修理対応したジュエリーを納品したら「自分が預けた石とはちがう。すり替えられた！」と言いがかりを付けられています。
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