kイm67ytrgvd効率よく、効果のあるマーケティングを展開するのに欠かせない作業が「分析」です。分析というのは「物事をいくつかの要素に分解し、その要素や構成について明確にすること」です。
例えばAとBの商品を同時に購入するお客様が多い場合、「なぜAとBが同時に購入されるのか?」の理由を感覚で考えるのではなく、分析を用いて論理立てて解明します。
今回はそうした分析において、マーケティングの基本とも呼べる「3C分析」についてご紹介します。
「3C分析」ってなんだ?
3C分析というのは、「お客様・市場(Customer)」「競合他社(Competitor)」「自社(Company)」の3つの視点から行われる分析です。
経営コンサルタントとして有名な大前研一が提唱したもので、著書『The Mind of the strategist』の中では次のように記されています。
およそいかなる経営戦略の立案に当たっても、三者の主たるプレイヤーを考慮に入れなければならない。すなわち、当の企業=自社(Corporation)、顧客(Customer)、競合相手(Competitor)の三者である。
3C分析の目的は、「3つのプレイヤーの関係性から考える、自社や自社商品・サービスの強みと弱みは何か?」を知ることです。
お客様・市場(Customer)
まずは、お客様や市場では今何が起きているのか?を知るところから始めます。
経済、政治、景気、流行、人口などの社会要員の変化を知るためのマクロ視点。業界の構造競争環境などを知るミクロ視点。これら要素がお客様のニーズにどのような影響を与えているかを分析します。
競合他社(Competitor)
次に、競合他社のビジネスを知ります。
競合他社の売上高や利益率、広告にかける費用など公表されている情報は全て活用します。総資本回転率を分析して、競合他社がどれくらい効率良くビジネスを展開しているかを分析しましょう。
さらに、競合他社のビジネスがその結果に至った理由まで考え、参考すべき仕組みは取り入れ、差別化できるポイントを考えます。
自社(Company)
上記2つの要素から得た情報をもとにしながら、自社がお客様や市場に提供できる価値と、競合他社に対する強み・弱みを明確にします。また市場変化への対応において、自社と競合他社で何が違うか?などの比較分析も行います。
その他、ファイブフォース分析(※1)やVRIO分析(※2)などいくつかの分析手法を用いて、自社が置かれている環境や自社ビジネスの構造などを理解します。
(※1)ファイブフォース分析とは業界全体の構造を理解するための分析手法。
(※2)VRIO分析とは企業独自の強みと弱みを把握するための分析手法。
そもそも、マーケティング分析が必要な理由とは
3C分析の他にも、マーケティングで用いられる分析手法はたくさんあります。それらを利用する理由とは何でしょう?それは「売れる商品・サービスを市場へ送り出すため」と「より効率良く商品・サービスを売る方法を確立するため」です。
コカ・コーラと大塚製薬に2極化していたスポーツドリンク市場に割って入ったサントリーは、3C分析を用いて新しいニーズを掘り起こしたことで成功しています。自社と競合他社の強み・弱みを等しく理解していたからこそ成し遂げられたことです。
さらに、3C分析を用いて自社の強み・弱みを知れると、マーケティングにおいて「どこで何を訴求すれば良いのか?」が明確になり、効率良く商品・サービスが売れる仕組みを作り出せます。
経営学者のピーター・ドラッガーはマーケティングの役割について「セールスという行為を無くすこと」としています。そのためには3C分析等を用いて、あらゆる情報を整理した上でお客様や市場が何を求めているかを知り、効率の良いマーケティング施策を展開する必要があるのです。
分析は次のアクションを起こしてこそ
3C分析などのマーケティング分析を実施する上で欠かせないのが「次のアクション」です。分析活動は、次のような流れで進みます。
- ビジネス課題の提起
- 分析目的の明確化
- 収集情報の定義
- 情報収集
- 情報加工
- 情報分析
- 結果レポート
- 次のアクション
分析に取り組む企業の中には、結果レポートまでで満足し次のアクションを考えられないケースがあります。しかしそれでは、分析活動の意味がありません。次のアクションを立案してこそ、分析の意義が立ちます。
3C分析からマーケティングを始めよう
3C分析は数あるマーケティング分析の中でも、取り組みやすい手法です。統計分析などの技術は不要で、「情報を整理しながら考える」だけで分析ができます。今まで気づかなかった自社や競合他社の強み・弱みを知れるきっかけになるので、この機会にぜひ取り組んでみてください。その際は、分析結果を元に次のアクションを考えるよう意識していきましょう。