タスク管理が生産性に与える影響は大きく、生産性の低さに悩んでいるのなら、まずはタスク管理手法の見直しを始めてみてください。
OECD(経済協力開発機構)が発表した労働生産性の国際比較によると、日本はOECD加盟37カ国中26位という結果でした(日本人1人あたりの労働生産性^)。
参考:『労働生産性の国際比較2020』日本生産性本部
つまり就業者1人あたりに生み出している年間収益が、37ヵ国中26位ということです。世界から見て経済的に豊かな日本も、労働生産性では多数の発展途上国よりも低い結果になっています。タスク管理を見直して業務効率を高めることで、労働生産性の向上に貢献する可能性は大いにあります。
これを機に、ぜひタスク管理と生産性について考え直してみましょう。それでは、おすすめのタスク管理手法3選をご紹介します。
手法① GTD(Getting Things Done)
GTDを訳すと「物事を成し遂げる」を意味します。デビッド・アレンというアメリカの生産性向上コンサルタントが確立したタスク管理手法です。平たく言えば、タスクを抜け漏れなく整理するためのやり方になります。GTDは次のような流れで行います。
1. 思いつく限りのタスクを書き出す(インボックスと呼ぶ)
2. タスクごとに重要度を分ける(今やる、後で必ずやる、いつかやる、たぶんやるなど)
3. 今やるタスクから優先的にこなしていく
4. 定期的にタスクをレビューする(見直す)
GTDのポイントは、最初のインボックスで頭の中にあるタスクを全て吐き出すことです。頭にある情報を一度ゼロにすることで、余計な思考やプレッシャーを感じず仕事に集中できるというメリットがあります。
定期的なレビュー(見直し)にはそれなりに時間がかかるので、毎日ではなく多くても3日に1回、通常なら1週間に1回行います。案外、1週間に1回のレビュー(見直し)でも仕事は回ります。
手法② カンバン方式
トヨタ生産方式(TPS)から生まれたカンバン方式をタスク管理手法として落とし込んだものです。現在提供されているタスク管理ツールの多くが、カンバン方式のタスク管理に対応しています。
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やり方は至ってシンプルです。例えばホワイトボードを縦3つに区切り、左から「実行前」「実行中」「完了」のセクションを作ります。思いつく限りのタスクを付箋にメモをして、「実行前」に貼り付けていきます。
全てのタスクを洗い出したら、優先順位を決めながら実行するタスクを「実行中」に移動し、タスクが完了したら「完了」に移動します。「実行中」のセクションで担当者ごとの区切りを付ければ、誰が今何をしているのかをチーム内で把握することも可能です。
カンバン方式はタスクが生まれる度に付箋にメモをして、「実行前」に貼り付けるだけなのでリアルタイムであるのが特徴です。また、チーム内でメンバーの負荷状況を把握できるのでチームワーク強化にも効果的です。
ホワイトボードと付箋を用意しても良いですし、カンバン方式に対応したタスク管理ツールを活用しても良いでしょう。Trello というツールはカンバン方式に対応しており、カードを自由に移動させながらタスク管理が行えるのでお勧めです。
手法③ マインドマップ
マインドマップは、一つのプロジェクトに対して必要なタスクを洗い出すのに便利な手法です。イギリスの教育コンサルタントであるトニー・ブザンという人物が発案し、世界各国で使われているタスク管理手法です。
やり方は、中心となるプロジェクトからいくつもの分岐を作り、必要なタスクへと分解していきます。大から中、中から小といったような項目を作っていくことで、それぞれのタスクの関係性も見えてきます。
中心プロジェクトから派生した最初のタスクは、それぞれに異なる色を付けてみましょう。そうすることでタスクの主従関係を明確にしたり、どのタスクへ優先的に取り組むべきかが判明します。
マインドマップはそれ単体で使うのではなく、GTDやカンバン方式と組み合わせることで効果を発揮するでしょう。また、マインドマップに関する書籍がたくさん発刊されているので、興味がある方はぜひ手に取ってみてください。
複数のタスク管理手法を使って効率化
ここまでご紹介したタスク管理手法を実施する際のポイントは、複数の手法を使うことです。メジャーなものをご紹介しましたが、他にもアイゼンハワー・マトリクス(アメリカ第34代大統領であるドワイト・D・アイゼンハワーが考案)などタスク管理のための手法はいくつもあります。
ぜひ、ここで紹介したもの以外のタスク管理手法についても調べてみてください。タスク管理は複数の手法をミックスしてこそ効率的に取り入れられるものです。例えばマインドマップで整理したタスクを付箋に書き出していき、カンバン方式でタスクを管理していきます。生産性向上のためにも、複数のタスク管理を使いこなせるようにしましょう。
試行錯誤を繰り返して自分にマッチしたタスク管理手法を見つける
最後にもう一つ、重要なポイントは既存のやり方に縛られず試行錯誤しながらタスク管理を実施することです。自分やチームにマッチしたやり方を見つけることができれば、大幅な生産性向上に繋がります。
今回ご紹介した3つのタスク管理手法以外にもいくつかの手法があり、それぞれに特徴が異なります。プロジェクトの規模やチームの人数、ITリテラシー(ITに関する知識やスキル)、社外共有の必要性などを考慮しながら、環境にマッチしたタスク管理手法を選択していくことが大切です。
「この手法とこの手法を組み合わせたら効率的かつ正確にタスク管理ができるかも?」など、ブロックを組み立てるような要領で自分なりのタスク管理手法を考えるのも楽しいかもしれません。