新型コロナの影響を受け、対面販売が困難となった宝飾業界。大きな打撃を受ける業者も多い中、非対面販売に活路を見出す業者も少なくない。
アプローズの程光星さんもそのひとりだ。香港出身の程さんは、得意の語学力と持ち前のコミュニケーション能力を活かし、海外販売部門で活躍。業界全体が新型コロナウイルスの影響を受ける中、2021年3月には数千万円の売上をたたき出す好調ぶりを見せている。
今回は逆風をもろともせずに成果を出し続ける程さんに、非対面販売で成功する秘訣について話を聞いた。
―前職は何をされていましたか?
2年くらい東京に留学して、語学の勉強をしていました。香港に戻った後は2年ほどホテルに勤めています。この時に出会った妻と結婚し、その後妻の地元である大阪に引っ越し。そこでまたホテルで3~4年フロント業務を担当していました。 |
―宝飾業界にはどんな経緯で入ったのでしょう?
たまたまアプローズの主任が妻と知り合いで、社長が中国人スタッフを探しているという話を聞きました。正直当時は宝飾品にはまったく興味を持っていなかったんですが、話を聞いたところ、なんだか面白そうな世界だと思えたんです。ちょうど夜勤があるホテルの仕事につらさを感じているタイミングで、ホテル以外の専門的な知識を身につけて働きたいという思いも重なり、アプローズへの転職を決意しました。 |
―実際に転職された結果、仕事にはどんな感想を持っていますか?
この仕事は自分にあっていると思います。私は北京語、広東語の他に英語も使えるので、ホテル時代から海外のお客様とのお話を楽しくできました。また年に4回香港で行う展示会のために帰郷できますので、その点も気に入っています。あの時履歴書を送って良かったと思いますね。 |
―今は新型コロナの影響で非対面販売が増えています。対面と非対面の大きな違いは何でしょうか?
非対面売買を始める前は、正直簡単だなと思っていたんです。しかし実際に初めて見ると、対面のほうが簡単かもしれないと考えを改めました。弊社アプローズは卸売業なので、来ていただくお客様も皆様宝石に関して大変お詳しいです。現物を見せればすぐに商品を理解できるので、すぐに価格交渉に入っていました。
しかし非対面ではそうはいきません。写真だけみても、良い商品なのか悪い商品なのかが分かりづらいのです。そのためお客様から見ると、私たち販売側からの情報が頼りになります。こちらから発信した情報でお客様が購入の判断をされるので、対面以上に責任が重くなると思います。お客様からお金をいただいて商品を発送し、お客様の手元に届いてから取引の合格・不合格が決まるんです。 |
―非対面販売が中心となっている中、程さんは大きな成果を挙げられています。その成功を産んだ理由はなんでしょうか?
まずは英語ができたことだと思います。私が入社した当時のアプローズの販売網は、日本と中国だけでした。年8回の展示会は、日本と香港で4回ずつ。その他の国では行っていませんでした。
しかし香港の展示会には、欧米や東南アジアから多くのお客様が来場されていました。英語でお話をしてみたところ商談に発展し、今でも欧米や東南アジアで商売ができています。英語力が販路の拡大に大きく役立ったと思っています。
もうひとつはフレンドリーさです。社長からは「いい意味での軽さがある」と言われています(笑)今年3月の売上の大半はほとんどが非対面での販売でした。日本のお客様に比べ、海外のお客様はフレンドリーで友だちのような付き合いを望まれる傾向があります。そのため、お客様が困っておられる際には一緒に悩み、利益度外視で協力するという姿勢を大切にしています。
今年の3月に、以前から交流のあるイタリアのお客様から数千万円分の商品が欲しいというご相談をいただきました。少し不安なところがあるご相談でしたが、私はお客様を信じ、お手伝いすると決めてご協力しました。その結果、そのお客様からだけで3月の売上の半分を稼ぎ出せたんです。 |
―英語もさることながら、フレンドリーさとサービス精神が大きな武器だと感じます。
サービス精神かはわかりませんが、ホテル時代には各国からお客様がいらっしゃったときには、挨拶ひとつでもいいので勉強をするようにしました。イタリアのお客様にはイタリア語で少しお話しをしたところ非常に喜んでもらえることが多く、お客様も一緒に楽しんでくれる環境が作れたと思います。 宝飾業界に入ってからも同じで、長くお付き合いいただくためには、お互いの信頼関係が大切です。こちらが真摯な姿勢で商売に取り組めば、お客様にも信じていただけて購入していただけます。こちらは商品が売れ、お客様には喜んでいただける。双方がwin-winの関係になれるように、いつも心がけながら取り組んでいます。 |
―今後宝飾業界はどんな変化をすると思われますか?
宝飾販売は、大きく分けて新品と中古に分けられます。日本における宝飾のプレゼントには、特別な日に特別な意味を持たせる傾向が強く、中古品はあまり求められません。そのため日本では新品の流通が中心です。
一方で、海外における宝飾品は日本よりもカジュアルに扱われており、中古品に対しても抵抗がありません。そのため日本国内で中古品となった宝飾品が海外に輸出される流れが強くなっていくと思います。 |
―輸出傾向が強まる中、今後業界の中で生き残るには何が必要ですか?
ポイントは大きく3つあると思います。
1つ目は語学力です。海外のお客様と商売するためには、正しい情報を正しい言葉で伝えないといけません。そのためには、自分の知識を自分の口で伝えられる状態が望ましいと思います。
2つ目は宝石に関する知識です。展示会の数が減っている上、海外のお客様が入れない地域もあり、それに伴い非対面販売の機会が増えています。非対面では現物を目で見て選んでいただけないため、お客様が目で見る以上に細やかな説明をする姿勢が求められます。
最後にwin-winの心です。自分たちが売ってよかった、儲かってよかっただけではいけません。何よりもお客様にも買ってよかったと思ってもらえるために、全力を尽くす姿勢が大切だと思います。 |
―その3つのポイントを乗り越えて成功していくためには、どんな心構えが必要でしょう?
これは宝飾だけではなく、いろいろな仕事で同じだと思いますが「初心忘るべからず」の心構えだと思います。同じことをやり続けると、どこかで努力しない気持ちが出てきます。昇進して地位が上がると、下の人に教えるのが面倒という気持ちも出るでしょう。
私はそういう人間にはなりたくありませんので、そうなっていないかいつも自問自答しています。上司や先輩に教えていただいたことを忘れずに、新人に教えるときも自分の仕事をするときも、真摯に頑張る気持ちを無くしてはいけないと思います。 |
―大きな変化の時を迎えている宝飾業界ですが、その中において未来宝飾はどんな役割をもちますか?
何よりも未来宝飾を通じて、業者様もお客様も皆さんがお得になる商売をして欲しいと思います。弊社アプローズは、未来宝飾のサービスの土台作りを行いました。未来宝飾は国内向けのサービスですが、皆様にとって利用しやすく、今後海外との販路を広げるお手伝いができるようなサービスへの発展を目指していきたいと思います。 |
―未来宝飾に可能性を感じている方へメッセージをお願いします。
現物が見えない非対面での宝飾売買は難しいですが、未来宝飾をご利用いただける皆様には、安心して非対面販売に取り組んでいただけるようなサービスの土台作りを続けたいと思っています。
アプローズでは非対面販売用に、宝石を360°で撮影できるカメラのシステムを導入いたしました。このカメラを第一号とし、今後さらにいろいろな角度から宝石を確認できるように、さらに多くの技術を導入していきたいと思います。非対面での売買でも安心して行えるよう、皆様にご利用いただけるサービスの充実を進めてまいりますので、どうぞ未来宝飾にご期待ください。 |
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