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ロシアはなぜ合成宝石産業が発展したのか?その背景を考察

2022.05.25 2023.08.04

ロシアはなぜ合成宝石産業が発展したのか?その背景を考察

いくら天然と同じ結晶構造と特性を持っていても、やはり合成宝石は好まれないことが大多数。しかし中には、「えっ、こんな宝石が合成されるの?」と驚きを隠せない合成石が作られたり、天然以上に高額取引される合成宝石も見かけます。

 

ロシアという大国は色んな意味で話題を提供しますが、実は合成宝石の分野でも知られた存在です。

 

今回のコラムではロシアが製造する合成宝石と、それらが開発された背景を解説していきたいと思うので、合成宝石に興味がある方はぜひ最後までお読みください。

宝石のラボ合成ならお任せ!ロシアは合成宝石大国

天然宝石を人為的に製造する試行錯誤はそれこそ18世紀から行われてきました。人類が持つ探求心と錬金術的思考が、天然宝石をラボで合成しようという壮大なロマンに火をつけたのでしょう。

 

商業的な合成宝石の合成に初めて成功したのはフランスのベルヌーイですが、フランスから距離が離れたロシアでも活発に合成宝石が開発されてきました。

 

いまいちピンと来ない方もいるかもしれませんが、ロシアは国家の威信をかけて合成宝石開発に着手してきた歴史があります。ロシアに合成不可の文字はない、それは決して大げさな表現ではありません。

 

さて、ここでは導入としてロシアがどんな宝石を合成しているのかを見ていきましょう。

 

ロシアはとりあえず何でも合成する

ロシアはどんな宝石でもとりあえず合成する

日本も京セラが合成宝石でかなりの存在感を見せていますが、それ以外の国で頭に浮かぶのがフランス、アメリカ、そしてロシアでしょうか。フランスではベルヌーイが初めてルビーを火炎熔融法で合成することに成功しましたし、アメリカではチャザムやGE社などがその分野では名を馳せていますね。

 

しかし、どの国もロシアの資金力や技術、そして品質には一歩届かない印象があります。ロシアはダイヤモンド、アレキサンドライト、デマントイドガーネットなどの鉱山を持つ一方で、エメラルドなどの合成宝石についても漏れなく力を注いできた国なのです。

 

そして、「これは合成されるような正当派の宝石ではない!」といえるような石もちゃっかり合成するのがロシアという国。

 

宝石鑑別機関でも珍しい合成宝石が出てくると「これはロシア産かもしれないね」とジョークを飛ばすことは決して珍しいことではありません。

 

ロシア産の主要合成宝石

さて、ロシアはどんな宝石を合成しているのでしょうか?基本はどんな石でも合成させてしまうのがロシアですが、以下のような宝石が挙げられます。

 

  • コランダム(ルビー、サファイア)
  • ベリル(エメラルド、モルガナイト、アクアマリン、レッドベリル、バイカラーベリル etc)
  • クォーツ(アメジスト、アメトリン、シトリン etc)
  • クリソベリル(クリソベリル、アレキサンドライト)
  • オパール
  • ガーネット(YAG、GGG etc)
  • ターコイズ
  • ジンサイト
  • マラカイト
  • フォルステライト
  • チタニア(合成ルチル)
  • ダイヤモンド
  • スピネル
  • 酸化ビスマス
  • ビスマスナトリウムタングステン酸

挙げればキリがないのですが、宝飾品用に利用できる主要宝石の合成から、聞いたこともない合成宝石も少なくありません。「とりあえず合成」と言いましょうか、世界でも例にみないような天然宝石の合成に成功したり、需要を見込んで合成をしてみたけれど結局は市場にほとんどでることなくお蔵入りしてしまう宝石もありました。

 

ニッチな合成宝石は別として、宝飾品加工に適した宝石の場合は、日本を含めアメリカ、中国、タイやドイツなど様々な地域に輸出されてきました。

 

ルース蒐集家の中には、特にロシア産のレアな合成宝石を集める方も少なくなく、たかが合成石とは言えないような高額な価格で取引される合成石も少なくありません。

 

なお、天然には存在しない人造宝石であるキュービックジルコニアやモアッサナイトの他に、強いカラーチェンジ効果があるナノシタルガラスなどの合成にも力を入れています。

大国ロシアが合成開発に長けている理由は?

大国ロシアが合成開発に長けている理由は?

ここではなぜロシアが合成宝石の開発に力を注ぐのか?その核心について解説していきます。

 

ソビエト連邦に遡る合成宝石開発の歴史

ロシア産合成宝石の歴史を辿ると、やはりロシアらしいなと思わざるを得ない納得の理由がありました。それに触れる前に知っておきたいのがソビエトという連邦国家です。15の構成国からなる社会主義国家であったソビエト連邦での合成宝石は1930年代にまで遡ります。

 

特に70~80年代にはキュービックジルコニアや水熱法エメラルドの合成に成功しており、合成宝石の開発を牽引するようになります。当時のソビエト連邦では非常に多くの学者が「どうすれば結晶をラボで成長させられるのか?」というテーマの研究に従事しており、彼らの多くは合成宝石のパイオニアとしても知られるようになるのです。

 

その1人として有名なのがBoris Vladimirovich Derjaguinです。気体からダイヤモンド粒子を蒸着できることを発見した人物であり、このような合成宝石の先駆者がソビエト連邦で多く活躍していました。

 

ロシアが合成宝石開発に尽力する理由を考察

ロシアは軍需目的で使用できる合成宝石の開発に力を注い

さて、ここでなぜロシアが合成宝石の開発に尽力しているのかを考察してみましょう。

 

  • ウラル山脈にはエメラルドやデマントイドガーネットなどの鉱山があり、それらの宝石は美しく宝飾分野への需要も高かった。そのため、人為的に合成宝石として開発することで、より効率的にかつコストを抑えて市場に提供できるようになると考えたため
  • 連邦国家が宝石の合成に対して資金を惜しみなく提供していたため
  • 軍事、工業利用として利用が可能な宝石の合成を国家が推し進めていたため
  • ソビエト連邦という大国のテクノロジーを誇示するため

 

現在のロシアを思い起こして頂ければ分かりやすいですが、やはり軍需目的で使用できる合成宝石の開発に力を注いだというのが一番シックリくる理由かもしれません。

 

例えば合成クォーツは光学フィルタ、レーザーなどに利用が可能なため、ソビエト連邦で特に合成に関するノウハウを養ってきた合成宝石の一つです。当時のハイテク頭脳と豊富な資金力のおかげで合成クォーツの開発が可能になり、現代でも家電や時計などに利用されているため、先人の努力には感謝しなければなりませんね。(そもそも天然に多くある宝石なので、宝飾品にはわざわざ合成クォーツは使われませんが)

 

ソビエト連邦が解体して

ソビエト連邦が崩壊したのが1991年ですが、その間に蓄積された宝石の合成技術とマニュアルは継続していきました。

 

ただし、ソビエト連邦が解体する時には軍事目的利用の宝石の合成が既に可能になっていたこともあり、本来の目的に沿った国内防衛ではなく、より審美性と天然宝石に近い特性を持ち合わせる合成宝石の開発に舵をきるようになるのです。

 

現在では合成ダイヤモンド、エメラルド、コランダム、アレキサンドライトを筆頭に、パライバ色のベリルなど市場のニーズに併せた合成宝石を開発しています。

まとめ

ロシアの合成宝石国はを守るという使命感と責任を持って製造されていた

ロシアの合成宝石に関してまとめると、

  • ロシアは様々な合成宝石を旧ソビエト連邦時代から製造してきた
  • 合成宝石開発の目的は主に軍事、国防目的の一環であった
  • 合成宝石のパイオニアと呼べる研究者が合成に従事していた
  • 現在も品質の高い合成宝石を提供している

どこの国にも合成宝石が多く利用された時代がありましたが、当時の旧ソビエト圏では大粒のアレキサンドライト(合成)をセットしたリングやブローチを華麗に身に着けた女性が少なくありませんでした。

 

合成宝石は天然と同じ美しさを低コストで楽しめる!これが合成宝石を製造する一番の理由と考えてしまいがちですが、実は国を守るという大きすぎる使命感と責任を持って合成宝石が製造されていたとは感慨深いですよね。

 

合成宝石と天然宝石の棲み分けでジュエリーを楽しむようになった昨今も、ロシアは品質の高い合成宝石を開発、なおかつ需要を見込める宝石の合成にも力を入れています。くれぐれも、人の命を奪うような武器や兵器に転用できるような合成宝石が開発されないことを祈るばかりです。

 

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