顧客分析を行うと、今まで気付けなかった顧客インサイト※を得られたり、新たなビジネスの構造に気づけたりします。
分析というと難しく感じがちですが、初心者でも扱える分析手法がいくつあります。今回はその中から、顧客分析に最適な4つの手法をご紹介します。
※消費者のニーズ、行動を裏付ける情報、心理、購買意欲のツボなどを意味します。
顧客分析で最初に実践したい4つの手法
セグメンテーション / 顧客をグルーピング
顧客の属性情報(年齢、性別、職業など)やその他あらゆる情報から顧客同士の類似性を見つけて、グルーピングする手法です。小さな母集団を作り、グループごとに最適化されたマーケティングを展開することで生産性向上を図ります。
あるいは、失注顧客の特徴情報を見つけ出し、優先度の低い顧客グループを抽出して効率良く営業活動するのに効果があります。
RFM / 顧客をスコアリング
最近購入したのはいつ?(Recency)、購買頻度はどれくらい?(Frequency)、今までの累計購入金額はいくら?(Monetary)という3つの指標を基準にスコア付けをして、顧客と自社の関係性を明らかにします。
3つの指標ごとにスコア基準を決め、3つとものスコアが高い顧客は優良顧客、低い顧客は非優良顧客などのように、スコアバランスによって顧客を分類するのに最適です。
セグメンテーションと合わせて利用すると、より精度の高いグルーピングが可能になりマーケティング施策の最適化が可能です。
デシル / 顧客をランキング
購入金額などの情報を基準に、顧客を上位から10個のグループに分類します。
上記の表は、100人の顧客を購入金額ごとにランク付けしたものです。これを見ると上位10人の顧客が売上の40%以上を占め、50位までの累積比率が80%を超え、60位までの累積比率で90%を超えています。
これにより、グループごとのマーケティング施策を練ったり、どのグループに対して優先的にセールスを実施すべきかが分かります。
ただし、抽出する期間などによって結果が大きく異なる点に注意です。例えば上記の表が、「今までの累計購入金額」なのか「一定期間の累計購入金額」かにより、ランキングは変動します。
CTB / 顧客をカテゴライズ
CTBはファッションやインテリアなどの業界でよく用いられる分析手法です。顧客が好きなカテゴリ(Category)、テイスト(Taste)、ブランド(Brand)は何か?の視点でカテゴライズし、類似傾向にある顧客グループを作ります。
宝飾業界ならカテゴリは指輪・ネックレス・ブレスレッド・ピアスなど、テイストは石・材質・色・デザインなど、ブランドはティファニーやブシュロンなど固有のブランドの他にミッキーマウスなどのキャラクターも含みます。
顧客ごとのこれらのインサイト(潜在しているニーズ)が取得できると、グループごとに最適化したマーケティング施策の展開が可能です。
顧客分析は「目的の明確化」が大切!
顧客分析を実施するにおいて、最も大切な作業が「目的の明確化」です。なぜかというと、顧客分析とはインサイト(潜在しているニーズ)を獲得したりビジネスの構造をするためのツールに他ならず、分析を通じて得た結果から「次に何をするか?」というアクションの部分がポイントになります。
このアクションを正確に決めるには、顧客分析を行う目的を、事前に明確にしておかなければいけません。目的のない顧客分析は、分析結果を得るだけで満足してしまいがちで、次のアクションが起こせません。
そうして目的と手段と履き違えてしまうと、顧客分析に費やした時間は全て無駄になってしまいます。
目的の決め方
ビジネスに問題が起きてから解決するまでの一般的な流れは以下の通りです。
1. 問題提起
2. 原因究明
3. 課題発見
4. 情報収集
5. 解決策立案
6. 対策実行
7. 効果検証
8. 結果分析
9. 改善活動
顧客分析はこの中の「情報収集」にあたります。ですので、顧客分析の目的明確化には1~3までのプロセスをしっかりと踏んで、「なぜ顧客分析が必要なのか?」を明らかにします。こうした一連の流れがあるからこそ、顧客分析後に具体的なアクションを検討することができます。
身近なところから顧客分析に取り組んでみよう
顧客分析は思っているほど難しいものではありません。もちろん、高度な分析手法もありますが、今回ご紹介した手法に関しては初心者でもすぐに取り組めるものです。
これら4つの顧客分析を実施すると、今まで気づかなかった顧客インサイト(潜在しているニーズ)やビジネス構造を知ることができます。大切なのは、分析後にそれらの結果をどう活かすか?です。
とはいえ、まずは顧客分析に触れてみることが大切なので、自社データやサンプルデータを活用しながら4つの顧客分析を実施してみましょう。データが構造化されることに「楽しい」と感じられれば、あなたはデータサイエンティストの入り口に立っていると言えるでしょう。