クラウド(クラウドサービス、クラウドコンピューティング)には、代表的な3つの種類があります。
- SaaS(Software as a Service)
- PaaS(Platform as a Service)
- IaaS(Infrastructure as a Service)
SaaSについては見聞きしたことがある方も多いでしょう。今回は、これらの解説をします。クラウドを利用するのが当たり前になった時代ですので、知識を深めるためにぜひ参考にしてください。
クラウドについて基礎から理解したい方は【IT入門】今更だけどクラウドってなに?をご参照ください。
それではSaaSから解説していきます。
SaaS(Software as a Service):サービスとしてのソフトウェア
皆さんが今まさに使用しているパソコン、スマートフォン、あるいはタブレットにはいくつものソフトウェアが搭載されていますね。「アプリ」と呼ぶこともあります。
ソフトウェアというのは通常、端末に搭載されているものです。これをインターネット経由で利用するものをSaaSと呼びます。クラウドの中で最も身近で、開発者でなくても利用しているサービスです。
代表的なSaaS
市場調査を行なっている株式会社ヴァリューズによると、2020年に最も利用されたウェブサイトはGoogleだったそうです。
引用:『Webサイト&アプリ市場のユーザー数ランキング2020を発表!ステイホームでYouTube利用大幅増、非接触推奨でキャッシュレス決済アプリが日常化』マナミナ
GoogleといえばGmailやGoogleドキュメントなど、無料のウェブサービスを色々提供しています。あれらは全てインターネット経由で提供されるサービスなのでSaaSと言えるでしょう。
この他、Microsoft 365やSlackなどビジネス向けに提供されているウェブサービス全般もSaaSの一つです。
PaaS(Platform as a Service):サービスとしてのプラットフォーム
「プラットフォーム(Platform)」の本来の意味は舞台や壇上などの、「一段高くなった平らな場所」です。この言葉が転じて、IT業界では「何か物事を成すための基盤」を意味しています。
ソフトウェアを開発するには色々な環境が必要であり、主にサーバーとそれに伴うリソース(CPUやメモリなど)、OS(WindowsやLinux)、ミドルウェア(OSを補助するもの)で構成されています。これらはいわゆる「ソフトウェアを開発するための基盤」であり、プラットフォームと呼ばれています。
つまり、PaaSというのはソフトウェア開発に必要なプラットフォームをインターネット経由で提供するサービスなのです。
なぜインターネット経由で提供できるのか?
サーバーは物理的な存在なのに、なぜそれをインターネット経由で提供できるのか?と、疑問に思うことでしょう。それはインターネットを経由してサーバーにアクセスし、そこにあるOSやらミドルウェアやらを遠隔操作して使っているからです。
感覚的には「目の前にあるプラットフォームを使っている」と感じますが、実際はインターネットを経由してプラットフォームがある場所にこちらから向かっているというイメージです。
ちなみにSaaSも後述するIaaSも同じ原理でサービスを利用しています。
IaaS(Infrastructure as a Service):サービスとしてのインフラストラクチャ
PaaSのもっと基盤的な部分である、サーバーリソース(CPU、メモリ、ストレージ)をインターネット経由で利用するサービスです。まるで目の前に物理的なサーバーが存在しているかのように利用でき、ソフトウェア開発や運用に使われています。
PaaSとの違い
ソフトウェアの開発も運用も、PaaSがあれば良いのでは?と思うかもしれませんが、IaaSはもっと柔軟性に優れたサービスです。例えば、AWS(アマゾン・ウェブ・サービス)やMicrosoft Azureといったサービスがあります。
PaaSはソフトウェア開発に必要な環境を素早く調達するためにサーバーリソースとOS・ミドルウェアが事前にセットされています。クラウドに詳しくない方にはハードルが高く触れる機会は少ないかもしれませんが、IaaSはサーバーリソースの種類や量などを全てユーザー自身でコントロールできるのです。
必要に応じてリソースを用意できるので、ソフトウェア開発や運用において柔軟性を求める場合はIaaSを利用するというわけです。
まとめ
今回は代表的な3つの種類を解説しましたが、クラウドには他にもこんな種類があります。
- DaaS(Desktop as a Service):サービスとしてのデスクトップ
- IoTaaS(Internet of Things as a Service):サービスとしてのIoT
- AIaaS(Artificial Intelligence as a Service):サービスとしての人工知能
いずれもインターネット経由で色々なサービスを提供するものです。
私たちの世界にインターネットがもたらした功績あまりに大きいですが、危険性もあります。セキュリティが脆弱な環境でクラウドを利用していると、たちまちサイバー攻撃の餌食になってしまいます。
クラウド自体に高度なセキュリティ対策は実施されているものの、ユーザー自身のセキュリティ意識も重要です。最低限のセキュリティ意識を持ちながら利用していただきたいと思います。