私も感じは良い方だと思う。だけど、あの人とこんなに売上の差が開くのは何でだろう…？
接客業というのは「売れてなんぼ」の世界です。お客様への接し方がどれほど丁寧だとしても、売れなければ評価されません。また、売上をあげることこそ販売員としての使命であり、喜びでもあります。
「私とあの人では何が違うのか？」そう考えた時、実践して欲しい接客トレーニングがあります。確実に売り上げが上がると保証はできませんが、「着実にスキルアップする」ことは保証できます。それでは早速、そのトレーニング方法をご紹介します！
着実にスキルアップする接客トレーニング
①お客様の表情に合わせて、自分の表情を変える
人間は心理学的に「同調効果」が働き、他人の意見に自分の意見を合わせようとする傾向や、自分の意見が周囲と同じ時に安心感を覚えることが多くあります。ソロモン・アッシュという心理学者が実証したこの心理学的行動は、島国かつ村文化が残る日本では特に強い傾向があるとされています。
これを利用し、お客様に安心感を与えて信頼関係を築くためのトレーニングをしましょう。方法はシンプル、「お客様の表情に合わせて自分の表情を変える」ことです。
お客様が笑えば一緒に笑い、悩んでいれば一緒に悩む。これだけでお客様が感じる安心感は段違いです。商品の購入を悩んでいるお客様に押し売りをしたり、他の商品をどんどん紹介すれば心は離れていきます。
「接客時にトレーニングする」と考えると機会が限られるので、販売員同士の会話など日常生活から意識するのが良いでしょう。
②プレゼンテーションの練習を繰り返す
巧みなプレゼンテーションによって聴衆の心を鷲掴みにしたアップル創始者のスティーブ・ジョブズは、10分弱のスピーチを行うために数週間前から準備を始め、リハーサルには丸2日もかけるという話が有名です。彼にとって10分弱のスピーチは会社の命運を分ける時間でした。それは、販売員にとっても同じことです。
皆さんは商品説明に対して、どれくらいの時間を割いて練習していますか？身についた商品知識だけをお客様に披露してはいないでしょうか？
接客というのは日々プレゼンテーションの連続です。お客様に対して素晴らしいスピーチができるかどうかが、日々の売上を大きく変えるでしょう。ただし、販売の現場では商品が日々入れ替わるので、スティーブ・ジョブズのように数週間前から準備するのは不可能です。そこで「テンプレート化」を行いましょう。
大枠となるスピーチを決めたら、そこに商品ごとの知識を当てはめることで、商品の入れ替わりが激しい販売現場でも磨き上げられたスピーチを披露できます。その際には、次のポイントを意識しましょう。
- 1つの商品に対して1分のスピーチ
- 言葉はできる限り短くシンプルに
- 余計なカタカナ語を使用しない
- 専門用語を用いらない
- インパクトを与えるための比喩表現
初代iPodのプレゼンテーションでは「1000曲をポケットに」と表現したことで、聴衆にインパクトと大きな期待感を抱かせました。例えば宝石の種類ごとにこうした比喩表現を決めておけば、かなり魅力的なプレゼンテーションができると思います。
③連想ゲームによって“想像力”を鍛える
1990年～1999年に放送された『マジカル頭脳パワー』という番組で、「バナナと言ったら黄色、黄色と言ったらーー」というゲームコーナーがあり、一世を風靡しました。実はこうした連想ゲームが接客トレーニングに繋がります。
例えば「リング型でダイヤモンドをあしらったピアス」に興味を持っているお客様がいます。そのお客様に対して「デザインがシンプルですし、どこへでも付けていけて良いですよ」と声を掛けたとしましょう。これは単に、お客様がそのピアスに興味を持っているという表面的な部分だけを受け止めた言葉で、お客様がその商品を「買いたい！」という欲求には繋がりません。
仮にそのお客様が派手なファッションをしている方なら、なぜシンプルな商品を選ぶのか？を想像してみるのです。すると「誰かの結婚式で着用するのかもしれない」と仮説を立てて、接することができます。ハズレだとしても何らかの理由があるはずなので、それを話してくれるきっかけを作り出すこともできます。
休憩時間等や店舗にお客様がいない時を見計らって販売員同士で連想ゲームをして、想像力を鍛えてみましょう。
日々の接客トレーニングが売上を作る
自身から見て素晴らしい接客をするあの人は、天性の才能で成功しているわけではありません。日々の努力の積み重ねこそが成功を生み出します。今回ご紹介した、たった3つの接客トレーニングを実施するだけでも接客スキルは着実にアップするはずです。もちろん騙してはいませんが、騙されたと思ってぜひ実践してみてください。
