
毎年2月に開催される世界最大級の宝石展示会「ツーソンジェムショー」では、その年の宝石市場のトレンドや方向性が色濃く表れます。
2025年の未来宝飾マガジンでは、カラーストーンの人気上昇と価格高騰についてお伝えしましたが、2026年はその流れがさらに強まって続いていくと予想されています。今年特に注目されているのは、落ち着いた色調や個性的なカット、そして希少性の高い宝石です。
本記事では、宝石業界誌「National Jeweler」が発表したツーソンジェムショーのプレビュー記事をもとに、2026年2月に開催されるツーソンジェムショーで予想される宝石トレンドを整理しながら、今年の宝石市場の行方を読み解いていきます。
参考:「National Jeweler – Tucson Preview 2026: Earthy Tones and Innovative Shapes」
色石人気は今年も継続する
2025年の未来宝飾マガジンでも触れた通り、カラーストーンは需要・価格ともに高騰し存在感を増してきました。そして今年はその流れがもう一段階進んでいくと予想されています。
具体的には、単なる美しさだけで選ばれるのではなく、色のニュアンスやカットの個性、そして希少性が重視されやすくなっています。例えば同じ種類の宝石でも、落ち着いた色味や独特の表情を持つものが「個性的で唯一無二」として評価されるでしょう。
2026年は宝石選びの基準が「華やかさ」「均一さ」から、「個性」や「一点ものの魅力」へと進化していく一年になりそうです。
関連記事:【2025年版】宝石市場で注目されるカラーストーンは?価格の上昇が続く
2026年に注目される宝石の“色”

- アースカラーを中心とした落ち着いた色合い
- 濃いグリーン、スチールブルー、ラズベリーなど深みのある色
- 黄色やオレンジなど、柔らかな暖色系
2026年はアースカラー※を中心とした落ち着いた色合いが注目されており、鮮やかさや強い主張よりも「深み」や「自然」を感じさせる色を好む傾向が強まっています。
※大地、砂、植物、海など地球上の自然物をイメージさせる色味の総称
具体的には、濃いグリーンやスチールブルー(やや灰色がかった青)、ラズベリーのような、少しくすみを含んだ色調が人気です。
中でも注目されているのがモンタナサファイアです。アメリカ・モンタナ州で産出するこのサファイアは、アーシーな色合いを持つことで知られ、特に青や青緑のトーンはブライダル用途を含め、デザイナーの間でも支持を集めています。モンタナサファイアについては、2024年の未来宝飾マガジンでも詳しく取り上げています。
そのほか黄色やオレンジといった暖色系の需要も増えており、柔らかさの中に個性を感じさせる色が選ばれやすくなっています。
2026年に需要が伸びる宝石

- サファイア、スピネル、ガーネットの需要が引き続き拡大
- サファイアは定番色に加え、紫がかった色味やカラーチェンジも注目
- ガーネットとスピネルはピンク、オレンジ、パープルなど多彩な色が人気
- パライバトルマリンやアレキサンドライトなど希少石は引き続き高需要
2026年に需要が伸びる宝石は、コレクター向けの大きく上質な宝石、もしくはユニークで個性的な宝石です。中でも需要の伸びが顕著なのが、昨年から人気が続いているサファイア、スピネル、ガーネットです。
サファイアは王道のコーンフラワーブルーに加え、ラベンダー、ラベンダーブルー、ディープパープル、そして光源によって色が変化するカラーチェンジサファイアへの関心が高まっています。ガーネットとスピネルは、従来の赤だけでなくピンク、オレンジ、パープルといった色の需要が伸びています。
一方で、投資家やコレクターの間で需要の高いパライバトルマリンやアレキサンドライト、そして高品質なルビーやサファイアは、昨年以上に入手が難しくなっています。
2026年ツーソンのベストセラー予想

- ペッツォッタイト
- パライバトルマリン
- ガーネット(スペサルティン、ツァボライト)
- スピネル
2026年に需要が伸びている宝石の中でも特に注目されているのが、希少なラズベリー色のベリルであるペッツォッタイト、そしてパライバトルマリンです。どちらも流通量が限られており、質の良いものは年々少なくなっているため、ツーソンではベストセラーの一つになると見られています。
特にパライバトルマリンは依然として高い人気を誇っており、2026年も「希少で常に需要が高い宝石」として注目されるでしょう。
そのほか好調が予想される宝石としては、大粒のガーネットやスペサルティン、ツァボライト、そしてあらゆるカラーのスピネルが挙げられます。サイズ感があり、なおかつ色や個性がはっきりした宝石はコレクターやデザイナーの目に留まりやすく、市場でも評価されやすい傾向があります。
2026年に注目される“カット(形状)”

- エメラルドカット、オーバル、マーキス、ペアシェイプ
- ヘキサゴン、ロゼンジ、カイトカット
注目されているのは、エメラルドカットやオーバル、マーキス、ペアシェイプといった細長い形状のカット、そしてヘキサゴン(六角形)、ロゼンジ(ひし形)、カイトカット(凧形)などの変わり種シェイプです。
カイトカットについては、未来宝飾マガジン「【2024ツーソンジェムショー】現地で見えた最新宝石トレンド」でも紹介しましたが、そのスタイリッシュなデザインへの関心は今も続いています。
こうしたカットは宝石の存在感を引き立てるだけでなく、身につけたときの印象にも強く残ります。カットにも個性を求める動きは2023年頃から強まっていますが、2026年の宝石市場でも引き続き重要な判断軸となるでしょう。
関連記事:個性的なカットの宝石が急増中!世界的に人気の訳とは?
倫理・トレーサビリティへの意識も宝石の価値に

2026年の宝石市場では「どこで、どのように生まれた石なのか」という背景も重視されるようになっています。倫理性やトレーサビリティへの関心は年々高まり、宝石の価値を構成する要素の一つとして定着しつつあります。
特に海外市場では、安心感や信頼性の観点から産地が明確であることや、採掘から流通までの過程を説明できる宝石が評価されやすい傾向にあります。
また、社会貢献や環境への配慮といった視点も宝石選びの基準として自然に組み込まれるようになってきました。倫理的な取り組みを行う生産者やディーラーとのつながりは、宝石業界全体の信頼性を高める要素にもなっています。
まとめ|2026年の宝石市場は「色・形・背景」で選ばれる
- カラーストーン人気は一過性ではなく、今後さらに強まっていく
- アースカラーを中心とした、落ち着きと深みのある色が支持される
- サファイア、スピネル、ガーネットを中心に需要は引き続き拡大
- パライバトルマリンやアレキサンドライトなど、希少石はさらに入手困難に
- カットや形の個性が重視される
- 産地や背景といった要素も価値を左右する
過去の未来宝飾マガジンでは、その年ごとの宝石市場のトレンドをお伝えしてきました。
宝石に個性を求める流れは2023年頃から見られ、唯一無二のカラーやカットが重視されるようになっています。カラーストーンの価格上昇については2025年からすでに顕著でしたが、その動きは現在も続いており、2026年はさらに強まる可能性があります。
ツーソンジェムショーは、こうした宝石市場の変化を最も早く感じ取れる場でもあります。2026年2月に開催されるジェムショーではどの宝石がベストセラーとなるのか、バイヤーの動きにも注目が集まりそうです。
未来宝飾マガジン編集部 監修
