世界に遅れを取りながらも日本でも徐々にコロナの規制が緩和され、経済活動が戻りつつあります。
しかし、不安定な世界情勢は続いております。ロシアウクライナ戦争に伴う経済・金融制裁、急激な円安等、今後の景気、物価上昇など日常の生活においても、みなさん関心がなくても日々実感しているのではないでしょうか。
ゴールド、プラチナ、ダイヤモンドを含むジュエリーを、今後の投資・資産の一つとして考えたことはありますか?今回のコラムでは「投資・資産としてのジュエリー」として、現在までの価格変化から今後の動向を読み解いていきます。
ゴールドの価格変化
1970年代あたりからのゴールドの価格推移を見ると、1980年初期にそれまでの過去最高価格、 1トロイオンス(※)あたり 800ドルを超えました。その後、2001年のアメリカ同時多発テロ事件の頃には300ドル弱、2008年以降価格は1000ドル以上に上昇し、2010年には2006年の倍の1200ドル前後に推移していきました。
*1トロイオンス(31.1035g)あたりの米ドル価格
2008年のリーマンショックの際には「ドル売り・金買い」が加速し一時最高1023ドルに到達、その流れは続き2011年には過去最高値を更新します。
その後2015年には一時低迷したものの、コロナショックにより再び価格が上昇。現在はウクライナショックの影響もありゴールドの高騰は続いています。
日本でもあらゆるところで「タンスや宝石箱に眠っている“貴金属・宝飾品”の買取」の広告を見かけるようになりましたね。もしかしたら購入金額の倍以上になっていることがあるかもしれません。
プラチナの価格変化
過去約50年のプラチナ価格はどうでしょうか?1970年前後から現在までの価格推移を見ると、1970年代に最低価格1トロイオンス100ドル台まで下がり、1980年代には600ドル台まで上昇しました。2005年頃までは300ドルから800ドルのあたりを変動しています。
その後2008年には一時2000ドルを超えたのを最高に、それ以降は上下変動を繰り返し現時点では900ドル台にまで下がっています。
ゴールドと比較すると、2011年までは常にプラチナがゴールドより価値がありましたが、2012年を境にゴールドの価値がプラチナより高くなるという逆転が起きます。その後価格の逆転が起こりながらも2016年からプラチナは急落。現在は過去の動向とは異なりプラチナの価格はゴールドの価格の半値ほどまで下がっています。
ダイヤモンドの価格変化
ダイヤモンドの価格はデビアス社より月に一度発行されている「ラパポート・ダイヤモンド・レポート」という指標となる数値があります。これを参考にダイヤモンドの価格が決まり取引されています。
また、 G.I.A(米国宝石学会)が開発した”品質評価基準” 、4Cとして知られるカラット(重さ)、カット(輝き)、カラー(色)、クラリティー(透明度)が国際的なダイヤモンドの品質を評価する基準として扱われています。
ゴールドやプラチナと同様に社会的要因も価格変動の要素に含まれますが、それ以外にダイヤモンドの採掘量、鉱山の閉鎖、市場への需要と供給、4Cを基準とした様々な要因、流行などがダイヤモンドの価格設定の決め手となっています。
様々な要因により数値は相違しますが、一般的にみて、1980年代初期では1カラットあたり2700ドル台でしたが、2020年には約10倍以上の28400ドル以上になっています。 平均的に毎年約14%の上昇率となっており、価値は上昇し続けています。株でもこの平均値を出すのはかなり難しいでしょう。
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グローバルな視点から見て
現在、アメリカのインフレ対策を含む金融政策、ロシアウクライナ戦争、それに伴う経済制裁、原油価格の上昇、急激な円安ドル高など、かなり不安定な世界情勢が続いています。ゴールド、プラチナ、ダイヤモンドの価格も様々な要因を踏まえ変動がありますが、日本円を基準としてみた際に為替の変動もかなり大きな要因となります。
やはり米ドルは基軸通貨としての流通量と流動性の高さからかなりの強みを持っています。バブル期の日本円対米ドルの価値を考えてみるとお分かりでしょう。1985年くらいまでは1ドルあたり250円前後だったのが、1986年には一気に168円台、そして1988年には128円台にまでに達しました。1985年から約3年で110円もの円高となり、その後も2012年にはなんと79円台にまでなりました。
その時代により常にそれぞれの価値は変化していますが、ゴールド、ダイヤモンドを米ドルを軸として考慮した際、グローバルな視点からはかなり強い投資アイテムになるかもしれません。
まとめ
- ウクライナショックの影響もありゴールドの高騰は続いている
- 現在プラチナの価格はゴールドの価格の半値ほどまで下がっている
- ダイヤモンドは平均的に毎年約14%で上昇し続けている
- ゴールド、ダイヤモンドを米ドルを軸として考慮した際かなり強い投資アイテムになる
どんな状況下においても、世界情勢に左右されることのないしっかりとした資産の土台を構築していくことが大事かと思われます。今後、以前のようにプラチナがゴールドの価値を超えることが出てくるかもしれませんし、日本円が1980年代のように250円近くになるかもしれません。
激しい変動の状況下でも世界情勢に目を向け、リスク低減のため「分散投資」をすることが大切です。皆それぞれ嗜好は異なりますがジュエリーとしても身につけることができるゴールド・プラチナ・ダイヤモンドを資産として保有するのはいかがでしょうか。
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