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クォーツとは?宝石の種類と処理を解説<前編>

2022.08.22 2024.05.31

クォーツとは?宝石の種類と処理を解説<前編>

クォーツは宝石としての価値は高くありませんが、その色合いと種類から、奥深い世界観を感じさせてくれる石です。魅惑的な宝石の中に埋もれがちなクォーツ、今回はその魅力を再発見するとともに、その特性について解説していきたいと思います。

 

<前編>ではクォーツの基礎データや特徴、分類について解説していきます。

 

関連記事:クォーツとは?宝石の種類と処理を解説<後編>

 

クォーツとは?

クォーツはジュエリーやアクセサリー、そして彫刻作品やインタリオ(※1)などにも多く使われる宝石ですが、一般的過ぎて逆にその深い世界を知らずに通り過ぎてしまう方が少なくありません。

(※1)彫込み細工を施した宝石のこと。一方でカメオはインタリオと逆の浮彫になる。

 

基本的にクォーツは、「水晶類」「カルセドニー」「アゲート(めのう)」「ジャスパー」に分けることが出来ます。

 

クォーツの分類

 

これらのグループは全て「ケイ素」を含んでおり、比較的硬度が高く宝飾品加工がしやすい宝石として知られています。今ではあまり言いませんが、半貴石の代表格ともいえるような宝石です。

 

クォーツの代名詞であるロッククリスタルはといえば妖しい占い師定番のアイテムですし、マヤ文明の伝説では水晶髑髏を13個集めると全世界の叡智の扉が開かれるという言い伝えもありますが、その手の伝説が非常に豊富な宝石でもあります。(因みにマヤに関連すると言われる水晶髑髏は全て偽物で、ドイツの宝石研磨の街イーダーオーバーシュタインで加工されたものもあったそうです。)

クォーツの組成と特徴について

ここではまず宝石学として覚えておきたいクォーツの特性を簡単にまとめていきます。分かりやすく説明をしていくので参考にしてみてください。

 

基礎データまとめ

まず簡単にクォーツの化学、物理的な特徴について見ていきましょう。(下記は単結晶のクォーツの数値になります)

鉱物名 クォーツ、クオーツ(Quartz)
和名 石英(せきえい)
化学組成 SiO2
結晶系 三方晶系
モース硬度 7.0
比重 2.66
屈折率 1.544~1.553
複屈折率 0.009

 

クォーツ、石英(せきえい)どちらも日本では使われる言葉ですが、クォーツだと時計をイメージする方が多いので石英という方が分かりやすいかもしれません。クォーツは二酸化ケイ素からなり、化学的な組成が近い鉱物をまとめた総称であり、1種類の宝石名を指す訳ではありません。

 

アメジストやシトリン、ロッククリスタルなどは大変メジャーな宝石で宝飾品に多く利用される他、その硬度から印章用としてイニシャルや紋章を刻まれることもあります。

 

宝石は審美性、希少性と硬度、全てを満たす必要がありますが、クォーツが持つモース硬度7という数値は宝石の硬度基準になっています。それ以下の硬度の場合は加工がしにくく宝石としての評価が低くなる傾向があります。

 

クォーツの分類「単結晶」と「多結晶」

クォーツの分類「単結晶」と「多結晶」

クォーツは二酸化ケイ素からなる鉱物ですが、ケイ素(シリカ)を含んでいる鉱物を含めると非常に多くの変種が存在しています。

 

クォーツは内包、形状そして色でも分類可能ですが、より正しく理解するには「結晶質」をベースにして考えると分かりやすくなります。

 

クォーツは単結晶タイプと潜晶質(せんしょうしつ)と呼ばれる多結晶タイプに分類可能です。前者は結晶が単一の規則性を持ち肉眼で結晶を確認できるものを指し、後者は肉眼では結晶を確認できず、結晶同士の方向に規則性がないものを指します。

単結晶のクォーツ

クォーツの中で最も一般的で知名度がある変種が単結晶のクォーツです。ここではその変種を紹介していきたいと思います。

 

①ロッククリスタル

ロッククリスタル

一般的には水晶と呼ばれているクォーツです。キュービックジルコニアやモアッサナイトが合成されるまでは、ロッククリスタルが高額なダイヤモンドの代用品としてジュエリーにセッティングされてきました。

 

なおアメリカのニューヨークにあるハーキマー地区からもロッククリスタルが産出し、そこを原産とするロッククリスタルは「ハーキマーダイヤモンド」というコマーシャルネームがあります。

 

②アメジスト

アメジスト

クォーツを代表する宝石で紫水晶とも呼ばれています。高貴で魅惑的な紫色は鉄イオン、天然の放射能、または色中心(※2)によって着色されます。

(※2)結晶構造上に見られる欠陥のこと。

 

③シトリン

シトリン

黄色のクォーツで、その外観からトパーズと間違われることも少なくありません。鉄イオンによる発色で、アメジストとシトリン両方の性質、色合いを持つ宝石はアメトリンと呼ばれています。

 

④ローズクォーツ

ローズクォーツ

柔らかなピンク色を呈するクォーツで、エネルギー順位の異なるチタンイオンによる発色です。内部にルチルが内包するとアステリズム効果(※3)を呈する場合もあります。

(※3)スター効果のこと。宝石内部にある針状結晶のインクルージョンにより、宝石の表面に白い光の帯が出現する現象。

 

⑤スモーキークォーツ/モリオン

スモーキークォーツ/モリオン

スモーキークォーツは茶褐色のクォーツで色中心(※2)により発色します。なおスモーキークォーツより色が濃く、漆黒に近い宝石はモリオン(黒水晶)と呼ばれています。モリオンはスコットランドのケアンゴーム山脈から産出することで「カンゴーム」と呼ばれることがありますが、成分的にはモリオンもカンゴームも同一です。ただしカンゴームの方が光を通し、茶色に見えるため、それを境にモリオンと区別することがあります。

(※2)結晶構造上に見られる欠陥のこと。

 

⑥プラシオライト

プラシオライト、別名グリーンアメジスト

鉄イオンを発色要因とする緑色のクォーツで、グリーンアメジストとも呼ばれています。天然未処理のプラシオライトもありますが、ほとんどは天然のアメジストを処理したものです。400~500度で加熱することで美しい緑色を呈します。

 

⑦ブルークォーツ

通常乳白色で濁っており、内部にデュモルチェライトやトルマリン、クリソコラを内包するタイプのクォーツになります。カルセドニーと間違えて鑑別されることが多く、自然界では比較的珍しいクォーツの一種です。

 

⑧ヘマトイド

ヘマトイド(赤水晶)

赤色のヘマタイトがインクルージョンとして入り込むことで、赤~赤褐色を呈するようになります。基本的に宝石質の石はありませんが、スペインでは大変メジャーなクォーツとして認識されています。

 

サンティアゴ・デ・コンポステーラに訪れた巡礼者が形態していた歴史から、「ハシント・デ・コンポステーラ」とも呼ばれています。

 

⑨タイガーズアイ

タイガーズアイ

和名では虎目石と呼ばれており、虎を思わせる縞模様が浮き上がります。この線状はシリマナイトが内包していることから発現します。

 

⑩インクルージョンを含んだタイプ

インクルージョンを含んだクォーツ

クォーツは成長段階で様々な外部要因の影響を受けるため、他の鉱物よりも多彩な変種が生じます。結晶の成長過程で成長が一度止まりその後に再開したり、内部クラックや他の鉱物を内包しやすいので多岐に渡る内包入りのクォーツが存在します。

 

これらのタイプはレアストーンとして扱われることがあり、高額で取引されるケースも少なくありません。一例をここで紹介しましょう。

ルチル入り結晶 非常に多くみられるタイプで黄金色のルチルが内包しているもの
パライバクォーツ パライバトルマリンカラーのギラライトが内包しているもの
ガーデンクォーツ 角閃石が内包し樹木状に見えるタイプ
オイルインクォーツ コールタールや原油が内包するタイプ
ハーレクィーンクォーツ 内部にリモナイトを含み、赤い斑点が見られるもの
ファントムクォーツ 結晶が成長する過程で止まったり、再成長することでその境目の成長線が矢印状に残ったもの

多結晶のクォーツ

肉眼で覗いただけではその結晶が覗けない、そんな宝石たち。特徴としては前述のように結晶が集合体として集まっていること、半透明もしくは不透明な塊状になります。さて、ここでは多結晶の代表的なクォーツを紹介していきましょう。

 

①カルセドニー

カルセドニー

完全もしくは部分的に透明な鉱物で、時に乳白色や濁った色合いのものも見られます。晶洞やがま、ブドウ状の塊で産出します。

カーネリアン

赤味のあるオレンジ色のカルセドニー。

 

ブルーカルセドニー

乳白色~灰白色の青みを帯びたカルセドニー。

 

クリソプレーズ

ニッケル起因による緑色のカルセドニーで、青りんご色のものは高額で取引されています。ただしジンバブエ産のクリソプレーズは、ニッケルではなくクロムによる緑色を呈します。

 

プラスマ

クロライト発色による緑色で、クリソプレーズよりも暗い緑色。古代ローマなどのインタリオでは、かなり頻繁にプラスマに彫ったインタリオが見つかっています。

 

ブラッドストーン

ヘリオトロープとも呼ばれ、黒緑地に赤いジャスパーの点々が見られる宝石で、他のクォーツ同様に紋章やイニシャルを刻んだインタリオとして多用されてきました。この点々は酸化鉄によるもの。
その見た目から血液に関する伝承が非常に多く伝わり、美術史家で画家のジョルジョ・ヴァザーリが出血多量で失神した際、その止血剤としてブラッドストーンがあてがわれ、出血はみるみる止まったそう。あくまで言い伝えです。

②アゲート(めのう)

アゲート(めのう)

アゲートは簡単に説明すると特有の縞模様があるカルセドニーです。基本的に不透明のものが多いですが、その透明度にも幅があります。

ファイヤーアゲート

リモナイトやヘマタイトなどを含み、光が当たると虹色の光沢を見せるイリデッセンス効果が見られます。

 

モスアゲート

角閃石を内包しており、コケ状の模様を持つアゲートです。

 

デンドリティックアゲート

酸化鉄や酸化マグネシウムを内包で含んだもので、木々が茂ったような模様を見せる特徴的なアゲートです。

 

オニキス

オニキスとは平行で白い縞模様があるアゲートになります。一般的に知られている漆黒のオニキスは正確には縞模様がないカルセドニーの一種で、ブラックカルセドニーと呼ばれている変種です。

 

サードニクス

オレンジと白の縞模様があるオニキスの一種です。

③ジャスパー

レッドジャスパー

完全に不透明な鉱物で、酸化銅などの含有鉱物を20%程度内包。カルセドニーやアゲートよりも不純物の割合が高く、その不純物の割合と種類によって呈する色合いが異なります。

レッドジャスパー

最も多いのが赤色のレッドジャスパーですが、色が均一なものは少なく、その多くに斑点や縞模様があります。

<前編>まとめ

  • 「クォーツ」とは化学的な組成が近い鉱物をまとめた総称であり、多彩な変種が存在する
  • クォーツは単結晶(結晶質)、多結晶(潜晶質)に分かれる
  • クォーツの中で最も一般的なのは水晶などの単結晶のクォーツ
  • 単結晶でインクルージョンを含んだタイプは高額で取引されるケースも
  • カルセドニーは完全もしくは部分的に透明な多結晶の鉱物
  • アゲートは特有の縞模様があるカルセドニー
  • ジャスパーはカルセドニーやアゲートよりも不純物の割合が高く、完全に不透明な鉱物

クォーツ=水晶、アメジスト、シトリンのイメージが強いですが、実際は結晶構造の違いや不純物によりこんなにも多くの種類の宝石があるのです。

 

<後編>ではクォーツの処理と合成について解説していきますよ!

 

 

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