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ローズカットダイヤモンドとは?定義と種類、人気の理由に迫る

2022.01.17 2023.08.10

ローズカットダイヤモンドとは?定義と種類、人気の理由に迫る

宝石の美しさに多様性を与える研磨技術、それは社会通念と同じく、一つに捉われない美しさを引き出すファクター。

 

ローズカットダイヤモンド。その控えめな輝きが日本、そして海を隔てた海外でも人気を博しています。ローズカットダイヤモンドは16世紀に遡る古のカット、令和の時代になぜオールドカットの石が注目を浴びているのでしょうか?

 

人気の理由、それはブリリアントカットとはまた異なる趣きのある輝きと個性にありました。今回はローズカットのうんちくを通してローズカットダイヤモンド人気の裏側を考察していきます。

ローズカットとは?その特徴と歴史

宝石、特にダイヤモンドの美しさは研磨技術により引き出されるもの。光輝くような才能の持ち主のことを「ダイヤの原石」と言いますが、鉱物としてのダイヤモンドもその屈折、反射を最大限にまで引き立ててくれるのがカット要素です。

 

ではローズカットとはどのようなカットなのか?ここではローズカットの定義と特徴、そしてその深い歴史を解説していきます。

 

ローズカットとは?

ローズカットとは?その特徴と歴史

ローズカットとはその名の通り、バラを思わせる研磨方法です。表のクラウン側はこんもりしたドーム状で三角のファセット面(研磨面)を持ち、底面がフラットなカットのことです。

  • ドーム型のトップと平らな底面を持つ
  • 尖ったファセット面を持つ(主に三角形)
  • ファセット部がバラのつぼみの花弁を思わせる
  • パビリオン部が無い分、クラウン面の場面を広くできカラット数が大きく見える
  • 主張を抑えたフラットな形状
  • 非常に多彩な種類がある

ローズカットの歴史

アンティークジュエリーのリングを見て頂ければわかりますが、非常に多彩な種類の研磨が施されたダイヤモンド、色石を見ることが出来ます。

 

ローズカットと呼ばれるカッティングの歴史は、諸説ありますがその起源は16世紀のインドまで遡ります。1500年代にダイヤモンドで最初に使用されたのがローズカットでした。

 

インドでは紀元前の時代からダイヤモンドが産出し、1726年にブラジルの鉱山が見つかるまでは世界で唯一のダイヤモンド鉱山がある場所でした。そのため、インドで研磨技術が育まれた可能性は辻褄が合います。

 

なおローズカットを含め、現在のブリリアントカットの原型と呼ばれるオールドヨーロピアンカット(※1)までのカットを総称として「オールドカット」と呼ぶことも付け加えておきましょう。

(※1)18世紀に開発されたラウンドブリリアントカットの基になる58面のファセットを持つカット。

様々な種類が存在するローズカット

ローズカットの種類

前項でお話ししたローズカットの特徴の一つである、「多彩な種類がある」という項目についてここではお話ししていきます。

 

まず一つ目として押さえておきたいポイント、それは三角形のファセットを付けたローズカットは必ずしもラウンド状ではないということ。つまりペアシェイプ、マーキス、トリリアント、ナゲット状などの形に研磨されたローズカットも存在するということです。

 

また三角形のファセットの数も大きさも対称性もバラバラ。各々研磨する原石の大きさ、形によって、複数のパターンのローズカットが生まれるという訳ですね。

 

ローズカットの種類

ローズカットの種類

ローズカットの例をいくつか紹介していきたいと思うので、こちらも参考にしてみてください。

① 3 Facet Rose Cut
よりファセット面が少ないタイプのローズカット。

 

② The Mode Rose Cut
ヘキサゴン(六角形)型、6面のファセット面を持つタイプ。

 

③ The Chiffre Rose Cut
トリリアント型、3つの丸みのあるファセットを持つタイプ。

 

④ The Antwerp Rose Cut
ヘキサゴン(六角形)型、12面のファセット数を持つタイプ。

 

⑤ Dutch Rose Cut
24面のファセット数を持つタイプで「The Holland Rose Cut」とも呼ばれる。またファセット面が若干少ない「The Half Dutch Rose Cut」という種類もあり。

 

⑥ Double Rose Cut
パビリオン側にもクラウン側と同じファセットを施した、まるで2つのローズカットを貼り合わせたようなタイプ。

ここで紹介したのはあくまでごく一部で、実際アンティークジュエリーを手に取れば、未知とも思えるようなローズカットを発見することができるでしょう。原石の大きさやシェイプにより様々な変則形があり、それが個性的、多様性と言われる所以なのです。

 

ローズカットに関しての知見を深めるには、まず16世紀以降に作られたアンティークジュエリーを観察すること、もしくは古い文献を参照することが最短距離。

 

同じように見えて、それぞれの味わいは随分異なりますが、「尖りのあるファセット」で構成されていること、これは共通点なので覚えておきましょう。

 

多岐にわたるローズカットのアレンジ

ローズカットの種類

ローズカット=シンプルな古の研磨、これは正しいことですが、ファセット一つとってもそのアレンジは非常に多彩で、三角形のファセットを持つカットのみがローズカットではありません。

 

歴史的な背景からローズカットを見てみると面白い発見があります。ひし形が繰り替えされるパターン、凧状の面、平行四辺形(台形)にファセットを付けたローズカットも、アンティークジュエリーや教会に奉納された聖遺物などから発見されています。

 

様々な要素が絡まり、部分的または全面に三角形ではない変則的なファセットを持つタイプのローズカットも存在するということです。しばしそれらはファンシーカットと捉えられたり、または派生型のローズカットと捉える方もいますし、「三角以外のファセットを持つローズカットは認めません!」というスタンスの方もいます。

 

ローズカットを一つの明確なパターンにはめ込むのは難しいのですが、基本となる土台は三角形のファセットを持つタイプ。しかし応用形として、イレギュラータイプのローズカットバリエーションがあり、それらも広義のローズカットに含めることができる点は覚えておくといいでしょう。

ローズカットダイヤモンドが人気を呼んでいる理由


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ブリリアントカットと比較すると分かりやすいですが、ブリリアントカットは七色のファイヤーに全反射によるブリリアンスを押し出した弾けるようなキラキラ感が自慢。

 

一方でローズカットは、鈍い輝きをバラエティー豊かに見せてくれるアンニュイな反射光が特徴的です。これはファセット面が少ないこと、パビリオン部がないために光の反射が少なくなり、トーンダウンした落ち着きのある光加減となるため。

 

さらに、豊かな形状やフラットな外観に加え、ボトム部分がなくクラウン側の表面積が大きくなり、同じカラットでもブリリアントカットより大きく見える点もポイントです。

 

ただし、逆に透明感やインクルージョンも目立ちやすくなるので、その点には留意する必要があります。

 

  • ブリリアントカットとは違う控えめで落ち着いた輝き
  • 同じカラットでもブリリアントカットより大きく見える

これらの点がローズカットが昨今人気を博している理由の一つであろうと言えます。勿論その影にはローズカットダイヤモンドを着用しているセレブリティーやSNSでの拡散力も影響していますが、今後もユニークさ、控えめな輝きを楽しめるという観点でその人気は継続することでしょう。

まとめ


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ローズカットダイヤモンドに関してまとめると、

  • 16世紀に遡るオールドカットの一つ
  • テーブル面に三角、ひし形等のファセットを持つ
  • パビリオン、キューレットがなく底部がフラット
  • クラウン側の表面積が広くカラット数が大きく見える
  • ダイヤモンド以外の色石にも研磨される
  • 蝋燭や松明の下で揺らめくような美しい輝き

ローズカットダイヤモンドに琴線が触れるか触れないかは人それぞれですが、特徴的なファセットの主張の少ない光りが逆にカジュアルでデイリーユースできると語る女性は少なくありません。

 

ダイヤモンド以外にもガーネットやクォーツなど様々な宝石でローズカットを見かけるようになり、最近は宝飾品だけではなくルースとして目で愛でるというコレクターの方も見かけます。

 

今後もローズカット人気は続くと思われますが、ローズカット=単なる三角形のファセットのルースと頭ごなしに変換せずに、その裏側にある研磨の歴史、そしてバラエティー豊かなローズカットタイプにも着目してみるといいでしょう。きっと今まで気づかなかった発見があるはずです。

 

 

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