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クォーツとは?宝石の種類と処理を解説<後編>

2022.08.24 2024.05.31

クォーツとは?宝石の種類と処理を解説<後編>

宝石としての価値は高くありませんが、その色合いと種類から、奥深い世界観を感じさせてくれる石がクォーツです。魅惑的な宝石の中に埋もれがちなクォーツ、今回はその魅力を再発見するとともに、その特性について解説していきたいと思います。

 

<前編>ではクォーツの基礎データや特徴、分類について解説していきました。<後編>ではクォーツの処理と合成について解説していきますので、ぜひ参考にしてみてください。

 

関連記事:クォーツとは?宝石の種類と処理を解説<前編>

 

クォーツの主な人為的処理

クォーツも人為的処理が頻繁に行われており、天然ではあまり見かけないクォーツを得るために、ある種の処理を加えることがよくあります。(シトリンやプラシオライトなど)

 

主に加熱、放射線に分類されますが、実際は複数の処理が組み合わされたり、染色などの処理も行われています。ここでは押さえておきたい代表的な例を解説していきたいと思います。

 

加熱

シトリン

クォーツに加熱処理を加えると鉄イオンのエネルギー順位が変わる、または結晶格子に欠陥が生じるため、その色合いが変化する場合が多いようです。

 

①アメジスト → シトリン

アメジストを450度で加熱。キャンドル等の炎でセルフ加熱をすることでシトリンに、または、半分アルミホイルを巻いて加熱をすると火加減や温度差でアメトリンになる場合もあるようです。

 

②アメジスト → ロッククリスタル

アメジストを400度で加熱。

 

③ロッククリスタル → プラシオライト

ロッククリスタルを500度で加熱。

 

④ロッククリスタル → アイリスクォーツ

ロッククリスタルを加熱後、冷水に付け内部に亀裂を作ると、光が反射し虹色に輝くようになります。

 

⑤アメジスト → ホワイトクォーツ

アメジストを600度で加熱。

 

⑥カルセドニー

加熱処理をすることで、その色合いとトーンを高めます。

 

放射線

レモンクォーツ

①スモーキークォーツ → レモンクォーツ

スモーキークォーツを230度で加熱後、放射線による処理を行います。

 

②シトリン → アメトリン

シトリンに放射線を照射することによりアメトリンになります。

 

染色

ブラックカルセドニー

細かい結晶の集まりで潜晶質構造を持つカルセドニーやアゲートは、その組織間に色素が着色しやすいため染色処理が行われることがあります。

 

①カルセドニー → ブラックカルセドニー

縞模様の無いカルセドニーを砂糖溶液で煮沸し、濃硫酸で処理することで黒単一のブラックカルセドニーになります。

 

②ジャスパー → 模造ラピスラズリ

青色に染色することでラピスラズリに似せますが、そこまで似通った色合いにはなりません。

 

③カルセドニー → 模造ジェード

緑色に染色することでジェードに似せることが可能です。

 

その他

ミスティッククォーツ

クォーツには多岐に渡る人為的処理が行われており、以下のような処理も見られます。

 

①亀裂のあるロッククリスタル → 模造ルビー、エメラルド

クラックのあるロッククリスタルを赤や緑で染色し、高価なルビーやエメラルドを模倣。

 

②タイガーアイ → 模造クリソベリルキャッツアイ

塩酸を加え脱色させて、クリソベリルキャッツアイを模倣。

 

③ロッククリスタル → ミスティッククォーツ

キュレット部分にチタンを蒸着(コーティング)させて、オーロラのような輝きを見せる。

 

④ロッククリスタル → アクアローラ

薄い金を蒸着させて虹色の光沢を見せるようになる。

合成クォーツとその用途

クォーツつまりケイ素を含む鉱物は公園の砂にも見られるくらい、世界中のあちらこちらで産出しています。そのため、理論的にはわざわざ合成する必要はないくらい、多くの天然クォーツが存在しているわけです。

 

しかしクォーツが持つ「圧電効果」を工業用(時計、コンピューターなどの電化製品)に利用するために、純粋に近い透明なクォーツを合成し、天然の代用として利用しています。1950年代には2キロ程度の大きさまで成長が可能になり、現在は水熱法により様々な色、品質をコントロールするために、放射線、加熱処理(または両方)が施されることもあります。

 

シトリンとアメジストについては、天然に多く存在するため合成されませんでしたが、1970年代からロシア、後に日本と中国で合成されるようになりました。アメトリンももちろん合成可能ですが、異なる2色の発色を人工的に作り出すことは容易ではなく、通常は放射線処理が施されます。また、自然界には存在し得ない青や緑などの合成バイカラークォーツもあります。

 

カルセドニーやアゲート、ジャスパーについては通常合成されませんが、ごくまれに合成アゲートがひょっこり顔を出す場合があります。

<後編>まとめ

  • 加熱、放射線処理、染色など多種の人為的処理が行われる
  • クォーツに加熱処理を加えると色合いが変化する
  • カルセドニーやアゲートは組織間に色素が着色しやすいため染色処理が行われる
  • 高価なルビーやエメラルドを模倣する処理もある
  • 合成クォーツは主に工業用に生産されている

クォーツ=水晶、アメジスト、シトリンのイメージが強いですが、実際は結晶構造の違いや不純物、そして人為的処理によりこんなにも多くの種類の宝石があるのです。

 

ついついダイヤモンドやルビー、サファイアなど、より審美性と希少性が高い宝石に目移りしてしまいがちですが、その奥深い世界観はクォーツにも健在です。

 

最近はデュモルチライトインクオーツやパライバクォーツなど内包タイプのクォーツが注目を集めており、今後もルースとして楽しむタイプのレアクォーツ人気は続きそうです。

 

 

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