アメリカの裕福層の間では、「ワンオブザカインドジュエリー(Oe of the kind Jewelry)」と言って、世界にたった一つのオリジナルジュエリーをオーダーする人も多く見られます。 そうしたジュエリーは祖母から母へ、母から娘へ、娘から孫へ…と代々受け継がれ、譲り受けたジュエリーはリフォームやオーダーメイドを繰り返し大切に身に着けられます。
また、現在はジュエリーそのものを受け継ぐだけではなく、大切な故人の骨を人工的にダイヤモンドにすることが可能になりました。人間の骨だけではなく、ペットの骨からも同様にダイヤモンドを造ることが可能です。
今回のコラムでは「世界にたったひとつのジュエリー」をテーマに、カスタム・オーダーメイドやリフォームについて解説いたします。
カスタムメイド vs. オーダーメイド
カスタムメイドとオーダーメイドの違いはご存知でしょうか?
例えば「このアイテムが好きだけど石がサファイヤだったらいいのに」、「地金がプラチナならいいのに」という場合、すでにあるアイテムをリサイズする、ミル打ちや艶消しを加える、石を取り替えるなど、一部を変更して好みに仕上げる場合は「カスタムメイド」となります。
一方「地金はゴールド、石はルビー、石留めはパヴェセッティング、予算はいくら」など、自分の理想や細かな要望が決まっていてフルオーダーする場合は「オーダーメイド」となります。
最近では結婚指輪をオーダーメイドをされるカップルが増えていますが、世の中に一つしかない特別感・贅沢感のあるジュエリーは思いがこもっていて魅力的ですね。
テクノロジー vs. 職人・クラフトマンシップ
昨今のテクノロジーの進化により宝飾業界の制作現場でも変化が見られるようになりました。テクノロジーの進化により、宝飾品のデザインはCADで行えるようになりましたし、石のリカットや研磨などもデバイスでの操作が可能になりました。以前はデバイスでの研磨は修正には対応することができませんでしたが、それも近年は比較的容易になってきました。
このように宝飾品製造のあらゆる段階において「IT技術を用いるか」もしくは「手作業で行うか」の選択が可能になりました。
技術が進化するのは勿論喜ばしいことではありますが、そうなると懸念されるのは「職人による手仕事」の減少です。腕の良い職人になるには長い年月をかけて経験を積み、専門技術を習得する必要があります。私自身もGIAにてグラジュエイトジュエラーを取得しましたが、腕の良いジュエラーになるにはかなりの経験が必要になると感じました。
ところが最近は多くの企業で最先端のテクノロジーを取り入れる傾向があり、職人が技術を習得する場が失われつつあるのです。
先日アメリカサンディエゴにて時計の修理を依頼する機会がありました。依頼先の店主様によると、「最近では宝石の修理に関しても腕の良い職人がなかなか増えずかなり限られた状況になっている」というお話でした。
今後はより一層背製造の自動化が進むと考えられますが、はたしてそのような環境で腕の良い職人が充分に育つのでしょうか?
ジュエリーのリフォーム
ジュエリーのリフォームには様々なパターンがあります。リフォームと聞いてまず思いつくのは、指輪のサイズ直し、宝石のリカットなどでしょうか。 その他にも、指輪からペンダントへ、ペンダントからピアスへといったようにアイテム自体を変更し楽しむ方法もあります。大切なジュエリーを代々受け継いでいくにはこうしたリフォームが必要です。
大量生産のジュエリー、例えばワックス加工などであればロボットで比較的簡単に「製作」できます。一昔前までは全てにおいて人の手で「制作」してきましたが、現在では技術の発展に伴いキャドキャムなどでもリフォームが可能になりました。
しかし、高度な石留め、例えばメレダイヤモンドを数多くあしらったパヴェセッティングやテンションセッティングなどのジュエリーは、技術と経験を持った職人による手仕事が必要になることもあり、現時点では人の手による「制作」は欠かせません。
世界にたったひとつのオリジナルダイヤモンド
冒頭でも触れましたが、最近では故人の遺骨、遺灰、髪の毛から合成ダイヤモンド(※1)を作ることが可能になりました。制作はアメリカやスイスなど海外で行われており、中でもアメリカのライフジェム社は世界で初めて遺骨からダイヤモンドを製作したことで有名です。
(※1)「人工ダイヤモンド」「シンセティックダイヤモンド」「ラボグロウンダイヤモンド」などと呼ばれる。遺骨から作られたダイヤモンドは「メモリアルダイヤモンド」や「遺骨ダイヤモンド」とも呼ばれる。
遺骨ダイヤモンドは遺骨に含まれる炭素を抽出し、天然のダイヤモンドが作られる状況を人工的に再現することにより生成されます。出来上がったダイヤモンドは天然とほとんど変わらない輝きと高度を持つというので驚きです。
大切な人への想いを「世界にたったひとつしかないダイヤモンド」という形で残す方法は、少子化により墓じまいを考える人が増えている日本では、今後よりニーズが高まっていくかもしれません。
まとめ
- 一部を変更して好みに仕上げる場合は「カスタムメイド」
- 細かな要望が決まっていて0から作り仕上げる場合は「オーダーメイド」
- ジュエリー製造の自動化が進み職人が技術を習得する場が失われつつある
- リフォームの細かい要望には職人の手仕事が必要でありIT技術やロボットでは補えない
- 遺骨、遺灰からダイヤモンドを生成し「世界にたったひとつのダイヤモンド」として残すことができる
今回のコラムでは「世界にたったひとつのジュエリー」をテーマにお届けいたしました。特別な想いで作られた「ワンオブザカインドジュエリー」は大切に代々受け継がれてゆくことでしょう。また、その意思を汲み制作を担う職人さんがその技術を残してくれることを願ってやみません。
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