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プリズマティンとは?玄人の心をくすぐるレアストーンの特徴とその魅力

2022.11.02 2023.08.03

プリズマティンとは?玄人の心をくすぐるレアストーンの特徴とその魅力

マーケットではジワジワと緑色の宝石が人気急上昇中です。定番のグリーンサファイアやトルマリンだけでなく、いわゆるレアストーン扱いの宝石にもスポットライトが当たっています。今回は緑色宝石の中でも特に珍しい「プリズマティン」を紹介。

 

コレクター向きの宝石ですが、今回はその宝石の魅力から今後の動向を徹底解剖していきたいと思います。

はじめに

正直なところ、宝飾関係者でもプリズマティンについて精通している方はそこまで多くないかもしれません。緑色宝石の中でもトップ5に食い込むようなレア宝石で、ルースコレクター向きの宝石です。

 

アップルグリーンやティールブルーを呈する美しい宝石ですが、宝石品質の石は少ないため、取引価格は高くなる傾向があります。

 

プリズマティンという宝石を知るには、まずケイ酸塩鉱物のコーネルピンの存在なくしては語れません。ここではプリズマティンの特徴を説明するとともに、コーネルピンとの関係性にも注視して解説していきます。

プリズマティンの組成と特徴について

まずはプリズマティンの組成、結晶系など、どんな宝石なのかを紐解いていきます。希少石の中でも、その存在を知る人はなかなかいない希少石プリズマティン。一体どんな宝石なのでしょうか?

 

基礎データまとめ

まず簡単にプリズマティン(Prismatine)の化学、物理的な特徴について見ていきましょう。

 

鉱物名 プリズマティン
化学組成 (Mg,Fe)(Al,Mg,Fe)9
(Si,Al,B)5(O,OH,F)22
結晶系 斜方系
モース硬度 6.5~7.0
劈開性 あり
比重 3.27~3.45
屈折率 1.665~1.680
複屈折率 0.013
多色性 強い多色性あり
インクルージョン アパタイト
ジルコンなど

プリズマティンは独立した宝石ですが、その性質はコーネルピンと呼ばれる宝石と非常に似ています。プリズマティンという種が特定されたのは比較的最近のことであり、今まではコーネルピンとプリズマティンを明確に鑑別することができず、プリズマティンはコーネルピンの亜種であるとされてきました。

 

含有する元素によって様々な亜種が存在するガーネットを思い浮かべていただければ分かりやすいですね。ようするにコーネルピンとプリズマティンは近親石同士であり、高度な器具を有する鑑定機関でなければその同定が難しい宝石です。

 

通常は「プリズマティン」と呼ばれますが、「コーネルピン・プリズマティン」、「コーネルピン(プリズマティン)」というどっちつかずの名前で販売されることはよくあります。

 

まずはコーネルピンを知ることから始めよう

コーネルピン(kornerupine)

コーネルピン(kornerupine)自体も希少石の1つで、19世紀にグリーンランドでデンマーク人地質学者A・コーネルプにより発見され、発見者の名前がそのまま宝石名になっています。

 

プリズマティンと同じくカラーバリエーションは青~緑色系、黄色、黄緑などと豊富で、その着色要因は鉄やクロム、バナジウムによるものです。サファイアやトルマリン、エメラルド以上に強い多色性があることが一番の特徴として挙げられ、青~黄緑~褐色の美しい多色を見せます。なお、まれにキャッツアイ効果を見せる宝石もあります。

 

蛍光性を示す場合もあり、アフリカ・ビルマ産の宝石はX線長、短波下で黄色の蛍光性を見せることがあります。(スリランカ産のコーネルピンに蛍光性はありません)

 

なお、グリーンランドで見つかったものは放射状の結晶で、宝石品質ではなかったようです。一般に流通するレベルの宝石はマダガスカル、スリランカ、カナダ、ケニアなどです。特にケニア産のコーネルピンはバナジウム由来の美しい緑色を見せますが、そのカラット数は小さく、3カラットを越える石は稀です。

 

プリズマティンとコーネルピンの決定的な違いとは?

プリズマティンとコーネルピンの決定的な違いとは?
プリズムジュエルス プリズマティン OV 5.8×7.4mm 1.53ct GIA鑑別書あり
プリズムジュエルス コーネルピン ラウンド 7.4×7.49mm 1.54ct GIA鑑別書あり

まるで万華鏡のよう。キラキラと覗き込む角度によってさまざまな色合いを見せてくれる、それがコーネルピンの一番の特徴です。ゾイサイトに近い美しさがあるとも言えますね。

 

さて、ここで気になるのが本題のプリズマティンとコーネルピンの違いについてです。

 

結論から言ってしまうと、前述の通りプリズマティンとコーネルピンは亜種ではなく別個の宝石であり、その違いは「ホウ素」の濃度です。両者ともホウ素を含有しているので、正直なところどちらもプリズマティン、コーネルピンに転ぶ可能性があります。

 

端的にいうとレーザーアブレーション誘導結合プラズマ質量分析法(LA-ICP-MS)による検査でそれぞれの元素の含有量を調べる必要があり、ホウ素量が0.55apfu~1.00apfu(※1)ある場合に限りプリズマティン判定になります。なお、ホウ素量が0.00~0.45apfuの場合はコーネルピン、0.45~0.55apfuの間の場合はコーネルピンともプリズマティンとも断定は不可能です。

(※1)atoms per formula unitの略

 

ホウ素量0.55~1.00apfu プリズマティン
ホウ素量0.00~0.45apfu コーネルピン
ホウ素量0.45~0.55apfuの間 断定は不可能

 

プリズマティンを思わせる美しいライトグリーンの宝石であっても、実際にホウ素量を測定してみたら、その濃度が足りずコーネルピンだったというケースは珍しくありません。

 

GIAによる実験で、コーネルピンなのかプリズマティンかが特定できていない30の検査石を調査したところ、そのうちの20石がプリズマティン、2石がコーネルピン、そして残りの8石はホウ素量が0.45~0.55apfuの間だったため、同定不可という結果になっています。

 

このことから推測されるのは、今現在流通しているプリズマティンもしくはコーネルピンの中では、コーネルピンの方がその数は少なく、プリズマティンの方が多い可能性があるということです。

プリズマティンのこれからの動向

プリズムジュエルス プリズマティン OV 5.8×7.4mm 1.53ct GIA鑑別書あり
プリズムジュエルス プリズマティン OV 5.8×7.4mm 1.53ct GIA鑑別書あり

ここではプリズマティンの価値と鑑別について考察していきたいと思います。

 

プリズマティンの値段は上がるのか?

一定量以上のホウ素を含有してはじめてプリズマティンと認定されますが、現段階では「ピジョンブラッド」、「パパラチア」、「パライバ」など、鑑別機関からのお墨付きがものをいう宝石とは言えません。

 

プリズマティンの価値についても、数万から数十万までピンキリですが、上記で説明した定義上「コーネルピン」として流通している石の多くは、「プリズマティン」である可能性が高いことが考えられます。プリズマティンの方が高額というイメージが先行してしまいますが、実際はその希少性で言えばコーネルピンの方がレアになります。

 

つまりコーネルピンであってもプリズマティンであったとしても、価値を図る上で大切になるのが、

  • インクルージョンの少なさ(かなり多くの内包を含む宝石なので、クラリティーは大切な要素になります)
  • カラット
  • 美しい多色性
  • ネオンを思わせる美しい緑色

これらを兼ね備えた宝石であれば、どちらの判定であっても、おのずと値段は安定してくるはずです。逆に言えば褐色や黄色、多色性が感じにくい宝石の場合は値段も上がりにくいということです。

 

鑑別をするべきか否かのライン

鑑別をするべきか否かのライン

宝飾、宝石業者にとって一番厄介なのが、コーネルピンと呼ばれる宝石が果たして本当にコーネルピンなのか?それともプリズマティンなのかということです。

 

判定の甘さが鑑別機関によって違ったり、そもそも鑑別の色基準が異なる場合があるように、プリズマティンとコーネルピンの断定についても高度な器具が必要になるため、その同定は気軽にできるようなものでもありません。

 

前項でお話したようにレーザーアブレーション誘導結合プラズマ質量分析法(LA-ICP-MS)による破壊検査が必須になり、業者にとっては鑑別費用だけでも頭が痛くなるレベルですし、実際に同定が不可能という場合も十分考えられます。

 

コレクター相手に販売する場合はコーネルピンなのかプリズマティンなのかをはっきりさせた上での販売がベターな場合もあり、ケースバイケースでその同定が必要になることも……。(ただしコーネルピンに対して、ホウ素量を厳密に測り、鑑別書付きで販売する業者はほとんどいませんが)

 

実際コーネルピンもプリズマティンも、宝石としての価値が大きく乖離していません。たとえば、銅含有なしのブルートルマリンをパライバトルマリンとして販売したら一大トラブルですが、コーネルピンがそのようなトラブルに発展することは少ないでしょう。

 

ソーティングには「プリズマティン」と記載されることがない宝石ですが、前述のように玄人向きの踏み込んだ鑑別が必要な場合のみ、追加料金でレーザーアブレーション誘導結合プラズマ質量分析法(LA-ICP-MS)による検査をするなどのアレンジは必要になってきます。補足事項として「プリズマティン」記載ができるかどうかは、鑑別機関次第ですが、そこまでの期待はできないでしょう。(GIAではプリズマティン記載の鑑別書を発行しているようです)

まとめ

プリズマティンに関してまとめると、

  • コーネルピンと非常に似た性質を持つ
  • コーネルピンとプリズマティンの鑑別にはLA-ICP-MSによる破壊検査が必要
  • 流通している宝石でプリズマティンと断定しているケースは少ない
  • コーネルピンであってもプリズマティンであってもクラリティー、多色性、美しい緑色がポイントとなる

プリズマティンだからイコール、美しい緑色というわけではなく、実際は黄緑、褐色に淡いブルーなどさまざまですし、ホウ素濃度の低いコーネルピンでもエメラルド様の緑色を誇る美しい石もあります。

 

コーネルピンとプリズマティンを分かつのは「ホウ素濃度」ですが、実際流通している宝石でプリズマティンと断定しているケースは少ないのが現状です。

 

両者の断定が難しく、現段階でそこまで差し迫った同定理由がないためか、独立種であるにも関わらずソーティングには表示されないプリズマティン。今後プリズマティンの価値が飛躍して高くなる要素が見つかったり、さらなる研究が進めばその価値や鑑別スタンスも変わるかもしれません。

 

しかし現在はホウ素量をチェックしていない、もしくは断定が難しい場合はコーネルピン、高純度のホウ素がある場合のみをプリズマティンとして分離可能というくらいで考えるのが妥当のラインといえるでしょう。

 

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