ジュエリーの素材としておなじみの「金」「プラチナ」「シルバー」などの貴金属。見た目にも美しく、資産価値のあるものを持っていたいですね。
本記事ではジュエリーの素材の特徴や金属をジュエリーに加工するためにどのような割金(わりがね)が使われているのか、それによる資産価値などについて詳しくお伝えします。
代表的なジュエリーの素材
皆さんが「ジュエリー」と聞いて思い浮かべる素材は何でしょうか?日本ではプラチナやK18が多く見られますね。ジュエリーによく使われる貴金属の特徴を解説します。
プラチナ
和名では「白金(はっきん)」と呼ばれるプラチナ。銀よりも落ち着いた白い輝きが特徴で、日本では結婚指輪や婚約指輪の素材としても人気が高い貴金属です。(日本の一人当たりのプラチナジュエリー消費量は世界一と言われています。)
採掘量は金の20分の1程度と希少価値が高いですが、プラチナは総需要の6割が工業用品で相場が安定しづらく、金のような「安全資産」としての側面は強くありません。
K18(18金)
K18(読み方は18金)は日本やイタリアで作られるゴールドジュエリーの素材として最も流通しています。
純金は柔らかすぎるためジュエリーに適していませんが、他の金属(割金)を足すことで強度を加えることが出来ます。また、純金の割合が多いことで酸化・変色しにくい性質となり、ジュエリーに適した素材となります。ちなみにアメリカではK14、 イギリスやドイツで はK9が普及品の中心となっています。
割金について、カラーゴールドの違いについては次の章で詳しくご説明しますね。
K10(10金)
K10(読み方は10金)はK18に比べると銀と銅の割合が高いため価格が抑えられます。K10のイエローゴールドは、K18より淡くやさしい色をしています。気軽にジュエリーを楽しみたい方に向いています。
シルバー(銀)
シンプルベーシックシルバー リング – L&Co.(エルアンドコー)
資産価値はあまりありませんが、手軽に楽しむことができる貴金属です。色はプラチナより白く明るく輝きます。硫黄に反応してくすみやすいですが、お手入れは簡単で磨くことで綺麗になります。
貴金属の主となる金属の割合を「品位」といいます。言い換えると「純度」または「含有量」です。純金の品位を24分率で表すと「K24」になります。K18は「24分の18が金である」ということです。
K18を%で表すと「75%が金」で、「25%は他の地金」ということになります。この25%の地金を「割金(わりがね)」と呼びます。
割金を入れるメリット
純金、純プラチナ、純銀は非常に柔らかいため、ジュエリーに加工する際は割金を入れて「合金」にする必要があります。金に割金を入れるメリットをご説明します。
① 耐摩耗性、強度、硬度を高めることができる
純金は熱に弱く、柔らかくて傷がつきやすいという特徴があります。割金を入れることで耐摩耗性(こすれて減ることに耐え、性能を維持する性質)、強度、硬度を高めることができます。複数の金属を混ぜ合わせ「合金」にすることで、耐久性が上がって加工しやすくなります。
② 色やデザインの多様化が可能になる
純金に他の金属を混ぜることで色調の変化を生み出します。ピンクゴールド、ホワイトゴールドなど、イエローゴールドとは異なる色調が出せるのは、割金の配合によるものです。
③ 軽量化できる
金の比重(19.3)は、鉄の2.5倍もの重さがあります。割金を入れることで軽量化できます。
金品位の表記一覧【早見表】
金の品位の表記方法は「カラット表記」と「1000分率による表記」があります。海外のジュエリーを見ると馴染みのない表記に「?」となることも多いのではないでしょうか?
簡単に分かる早見表を用意したのでぜひ参考にしてみてください。
カラット表記
金の品位を表す単位は「KARAT(カラット)」です。カラットは世界共通の単位で「K」「Kt」と表記します。前述のとおり、24分率でK24が純金です。
ジュエリーの刻印は、日本では「K18」など「K」の後に数字がくることが多いのですが、海外では「Kt18」「18K」「18Kt」もあります。
1000分率による表記
貴金属の品位はISO(国際標準規格)とそれに準拠したJIS(日本工業規格)では1000分率で表すことになっています。金は前述の「カラット表記」の習慣が残っていますが、ヨーロッパでは金も1000分率が主流です。
例えばK18は、全体を「1000」と捉えると「750が金」に当たるため品位は「750」となります。
金の品位早見表
24分率 | 1000分率 | 金の割合 | 割金の配合 |
---|---|---|---|
K24 | 999.999 | 100% | 割金なし |
K18 | 750 | 75% | 銀と銅を12.5%ずつ配合 |
K14 | 585 | 58% | 銀と銅を16%ずつ配合 |
K10 | 417 | 42% | 銀と銅を29%ずつ配合 |
YG・PG・WGとは?
イエローゴールド(YG)・ピンクゴールド(PG)・ホワイトゴールド(WG)とはカラーゴールドの種類で、金に銀や銅を混ぜ合わせた合金です。割金に何を使うかによって色味を変化させることができます。
それぞれの特徴について解説します。
【YG】イエローゴールド
手編み ゴールド K18 リング トレッセ – BIZOUX|ビズー公式
イエローゴールドとは、金に銀と銅を混ぜ合わせた合金です。純金に引けを取らない美しいゴールドカラーが特徴で、純金より鮮やかで明るい色をしています。混ぜ合わせる割金の割合で色味が変化します。
銀と銅の割合 | 呼び方 | 特徴 |
---|---|---|
銀6:銅4 | ロクヨン | 少し青みを帯びる |
銀4:銅6 | シブロク | 少し赤みを帯びる |
銀5:銅5 | ゴーゴー | 赤みを押さえたもの |
【PG】ピンクゴールド
手編み ゴールド K18 リング トレッセ – BIZOUX|ビズー公式
女性的な色味が美しく、日本人の肌になじみやすい貴金属です。銅の割合が高いほど深いピンク色になります。銀と銅の割合は、銀3:銅4です。
【WG】ホワイトゴールド
手編み ゴールド K18 リング トレッセ – BIZOUX|ビズー公式
ベースとなる金にパラジウムと混ぜ合わせた、白く優しい色合いが特徴の貴金属です。(一定の割合で銀が入ることもあります。)出来上がった製品をさらに白く輝かせるために、メッキをかけて仕上げます。そのため、メッキが落ちるとイエローゴールドに近い色調になります。
どちらが価値ある素材?似た素材を比較
品位や色調の違いのバリエーション豊富な金ですが、それぞれの資産価値を比べてみました。
K24とイエローゴールド
K24 > イエローゴールド
これは少し簡単すぎたでしょうか?K24は純金(金100%)ですが、イエローゴールドは銀や銅が含まれている分、金の含有量が下がるため価値が下がります。
イエローゴールドとホワイトゴールドとピンクゴールド
時期により変動はありますが、2023年3月16日現在の金の資産価値の順位です。
1位 ホワイトゴールド(WG)
2位 イエローゴールド(YG)
3位 ピンクゴールド(PG)
パラジウムの価格高騰によりホワイトゴールドが1位となっています。ただし全体の重さの25%の割合なので、よほど重量がある製品以外は大きな差にはなりません。
イエローゴールドとピンクゴールドについては、全体の25%のうちの僅かな比率の差なので資産価値の違いはほとんどありません。
K18ホワイトゴールドとプラチナ
プラチナ > K18ホワイトゴールド
色調は似ていますが、WGよりプラチナの方が価値が高くなります。その理由は、ホワイトゴールドは金をベースにした「合金」ですが、プラチナは「単体の貴金属」だからです。
K10ホワイトゴールドとシルバー
K10ホワイトゴールド > シルバー
素材そのものとしては、シルバーよりK10WGの方が価値が高くなります。例外として、もしシルバーがブランドジュエリーだった場合は、ブランドの価値がプラスされK10WGより高くなることがあります。
終わりに
それぞれの貴金属の色調や配合の違い、資産価値についてお伝えしました。ゴールドにもいろいろな品位とカラーがありますので、似合うカラーで選ぶも良し、資産価値で選ぶも良し、ですね。本記事がジュエリーを選ぶときの参考になりましたら幸いです。
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