新規会員登録

ポメラートが日本で人気の訳は?モダニズムと色石の魔術に魅了

2021.11.01 2024.03.05

ポメラートが日本で人気の訳は?モダニズムと色石の魔術に魅了

デイリーピースとしてだけでなく、ちょっとしたお買い物にもジュエリーが心の癒しになる昨今、グングン知名度を挙げているのがイタリアブランドのポメラート(Pomellato)。

 

芸術の都フィレンツェとは異なる印象を持つ街ミラノ。ミラノっ子はイタリアの中でも少しだけリッチでポッシュ、そして日々の装いにも洗練されたスパイスがピリリ。

 

高級ブランドの本店がひしめくミラノで産声を挙げたポメラートは、老舗ジュエラーではありませんが、着実に世界へハンドメイド&ラグジュアリーを発信し続けているのです。

 

今回のコラムでは、ポメラートのブランドとしての歴史と紡がれる宝飾品の魅力について、そして宝飾業界で賞賛の声が相次いだポメラート展についてもピックアップしてみたいと思います。

 

ポメラートの歴史

ポメラートの歴史

ポメラートはピーノ・ラボリーニによって設立されたミラノ発のブランドです。

1967年:ポメラート創業
2001年:ヌードラインの発表
2013年:ケリンググループがブランドを買収
2014年:総売上100億ユーロ(約1兆3千億円)を達成
2017年:ブランド創立50周年

ポメラートのジュエリーを極簡単に説明するのならば、宝石の存在感を誇示し無駄を削いだシンプルデザイン、そして古き良き時代の宝飾技法をモダニズムデザインに取り入れている点。特にアメ玉のような宝石を利用した「ヌード」シリーズは、女性の琴線に触れる大人可愛さが満点です。

 

半貴石を利用しているデザインも多いのですが、これらは決してコスチュームジュエリーではなく、ファインジュエリーとして扱われています。

 

使われる宝石は比較的カラーが濃厚で、尚且つ大ぶりなカラットのものが使われており、不規則に見えがちな宝石使いでも、実は計算された高いデザイン力と研磨を兼ね備えています。

 

なおチャームブレスレットという枠組みを越えたワクワク感とコーディネートを楽しめるDODOは、1994年にポメラートから生まれたことも付け加えておきましょう。

ポメラートの理念「プレタポルテ」とは

ポメラートが理念にしている宝飾制作「プレタポルテ」

ポメラートが理念にしている宝飾制作、それは上流階級の嗜みであったオートクチュールの品質とデザインを既製品として提供するスタイルを徹底している点。これを「プレタポルテ」と呼びます。さて安定したクオリティーをそのまま既製品として届けるにはどんな工夫が必要なのでしょうか?

 

まず一に工房スタッフによる高度な技法の確立、そして画一的にならないモダンな発想をいかにジュエリーに込められるかということ。ブランド設立者であるピーノ・ラボリーニは他の老舗宝飾ブランドの多くと共通するように家業として金銀細工を営んでいたこともあり、量産体制を整備するベースが整いやすかったこともブランド成功の要素と言えましょう。

 

ステータスシンボルとしての高級ジュエリーから、日常生活で楽しめる高級ジュエリーへ。この転換期の先駆者がポメラートだったのです。

ポメラートの代表的なデザイン4つ

ここで代表的なデザインを幾つか紹介していきたいと思います。

 

ヌード(NUDO)

ヌード(NUDO)

ポメラートの代表的コレクション。ゴージャスでありながらギラギラ感を感じない。まるで素肌に吸いつくような装着感と、目に飛び込む大粒の宝石の共演は多くの女性の琴線に触れるデザインです。

イコニカ(ICONICA)

ICONICA(イコニカ)

まさにイタリアンジュエリー、創造力を刺激するパステルカラーの宝石を散りばめた表情豊かなピアスにリング。またはボリューム感たっぷり、伝統的なゴールドの美しさを称えた地金バングルにブレスレット……。

 

ジュエリーに遊び心を取り入れたい女性や、シンプルなゴールドジュエリーを重ね付けで楽しみたい方に人気。

サッビア(SABBIA)

SABBIA(サッビア)

17~18世紀に流行したトレンブラン(※1)にアイデアを得たデザイン。メタルワイヤーにディスク状のパーツを取り付けることで、動きを加えるとチラチラ揺れる……。みごとに古の宝飾技法をモダンに消化しています。パヴェ状にセットしたダイヤモンドが優しく揺らめき、女性らしさを演出してくれます。

(※1)花の付いた枝や花瓶をデザインにし、花の部分に小さなバネを仕掛けることで、人の動きに合わせてバネ部分が震えるようにデザインされたジュエリーのこと。

マーマ・ノン・マーマ(M’ama non m’ama)

M’ama non m’ama(マーマ・ノン・マーマ)

ウルウルのカボション状の宝石が荒んだ心に元気を与えてくれる。宝石が持つヒストリーにマジカルな伝承をジュエリーに託した、メッセージ性の強いジュエリーライン。シンプルがゆえの重ね付けが楽しく、ワードローブのお洒落の幅が広くなるリングがズラリ。

ポメラートジュエリーが女性のハートをさらう理由

ポメラートジュエリーが女性のハートをさらう理由

ポメラートが日本でも人気を博している訳は何なのでしょう?幾つかその理由を挙げてみたいと思います。

  • シンプルながらも高級感溢れるオートクチュールを実感できる
  • 毎日が楽しくなる色使いとサイズ感が新しい
  • ダイヤモンド一辺倒ではないカラフルストーンを使用
  • ケリング傘下になったことで国際マーケットの影響力が高まった
  • ミラノ工房での卓越したクラフトマンシップ

などが挙げられます。

実際このブランドの宝飾品は女性のちょっと背伸びをした贅沢品であり、女心を掴むKAWAIIを上手くデザインに取り込んでいます。そしてハイジュエリーブランドの「特別感」をデイリージュエリーとして楽しめるカジュアルさに消化している点がお見事です!

話題を呼んだポメラート展を紹介!

話題を呼んだポメラート展

眼福な日、それは唐突に訪れるもの。その代表例が展覧会、展示会などのイベントでしょう。さて前置きは短めにしたいので、ズバリ2021年9月17日~23日まで表参道で開かれたポメラート展についてサラッとその中身をご紹介していきたいと思います。

 

ポメラート展が大きな反響を呼んだ理由と展示内容

宝飾業界、石沼界隈で大きな話題を呼んだ夏の終りのビッグイベント。知り合いがイベント開催のお手伝いをしたとのことで、その情報がチラリホラリと耳に入ってきましたので解説したいと思います。

 

展示会ではポメラートの看板娘「ヌード」などのジュエリーが解説されるだけでなく、定番である半貴石(通常この言葉はあまり使われませんが)の宝石では飽き足らない、パパラチアサファイアなどの希少宝石を使った宝飾品も展示。

 

このブランドは宝石の価値に関わらず、その審美性を最大限に高める研磨とセッティング、デザイン力が指針になります。例えばヌードに関してもそうですが、57面に研磨した宝石を爪を見せずにセッティングする技法、シンプルながらも細部まで計算された地金使いと宝石のデザイン性は現代の錬金術を覗いているよう。

 

ラ・ジョイア_タンザナイトチェーン

今回のポメラート展では時代別の作品紹介に細工までを案内していますが、特に目を引いたのがポメラート初のハイジュエリーラインの「ラ・ジョイア」。フォトジェニックで多色豊かなシュガーローフカット(※2)のタンザナイトをセンターにセットしたネックレスは、チェーン部分などポメラートらしさを携えながらも、ザ・ラグジュアリーという言葉をそのままジュエリーにした出来栄え。

(※2)四角錘状のすり鉢を思わせるカットを施したもの。各々の角が丸みを帯び、頂点があるカット。

 

グルメットカメレオンネックレス

また同じくハイジュエリーラインのグルメットカメレオンネックレスは、変態的な美しさとカラーグラデーションで首元を飾るハイセンスなレインボー。同種で色違いの宝石を石畳のように敷き詰めたネックレスは、パヴェの美しさを再確認するのに相応しいピースです。

 

キャストツリー

なおポメラートのジュエリー紹介以外にも、キャストツリー(画像 ※3)やデザイン画、工具の展示に作業風景の写真もズラリということで、展示会では黄色い悲鳴が随所から聞こえてきたそうです。

(※3)キャスト鋳造する為のワックスをツリー状に複数ハンダ付けしたもの。

 

また職人さんによる出張コーナーで工房作業を見学できるなど、普段ジュエリーを楽しむ側の人間としてはなかなか見えてこない制作の裏側も見ることができ、ブランド側の粋な計らいを感じる展示会だったようですね!

 

見どころは限られた文字だけでは伝わりませんが、これらは嬉しいことに写真撮影OKだったとのことで、SNS上にも多くの写真が投稿されているので是非確認してみてください。

 

日本の技法から異端の張り合わせ石まで!?

ポメラート金継ぎコレクション

細部にこだわりを見せる所は徹底的に、しかしながらアイコニックなシンプルさはきちんと残す……。ポメラートらしさと未知なる挑戦を感じさせた展示会でしたが、いくつか気になる点があったのでそれらにも言及していきたいと思います。

 

まずその凛とした美しさが話題になる金継ぎをジュエリーに取り入れていること。ミラモア(※4)などのブランドでも金継ぎがピックアップされていますが、制作段階で割れてしまった硬度低めの宝石たちに再び息吹きを吹き込むスタイルは、壊れたものを再生するというエシカルでエポックメイキングな試み。不調和な金のラインは静寂さと共に、どこかファッショナブルな印象を宝石に与えるのが不思議です。

(※4)ニューヨーク発のファインジュエリーブランド。

 

さてもう一点ですが、宝石業界ではタブーと言いましょうか、模造宝石扱いの張り合わせ石を積極的に一つのアイデアとしてジュエリーに使用していること。よく見かけるようなオパールの張り合わせ、ルビーに見せかけた合成ルビーと水晶の張り合わせなど、偽造目的ではないレアな組合せでオリジナリティーを追求している様子。

 

天然プラス天然、天然プラス合成など、石の数だけ組合せが可能なダブレット、トリプレットは宝石としての価値はさておき、おもちゃ箱をひっくり返したような面白さがありますよね。セラミックを使ったジュエリーも発表しているポメラートらしい斬新さで、ジュエリーの可能性の広さを改めて考えさせられます。

 

高級&老舗のブランドではなかなか出来ないパターンではありますが、敢えてそれを斜め上から取り入れているポメラートは、正当派のラグジュアリーブランドではないからこその個性が結局のところチャームポイントになっているのでしょうね。

まとめ

ポメラートジュエリーが日本で人気の訳は?まとめ

ポメラートに関する特徴をまとめると、

  • 1967年設立の新興イタリアンブランド
  • ビタミンカラーの宝石を大胆不敵に多用
  • シンプル&日常使いのしやすさに加え、アバンギャルドなデザインを提案
  • ジュエリーにプレタポルテを取り入れた初のブランド
  • 日本の金継ぎやダブレットなど素材や手法が斬新

今後より注目を浴びていくであろうポメラート。決してカジュアルに気分買いできるお値段ではありませんが、頑張る女性の背伸びをしたご褒美には丁度いいかもしれませんね。

 

 

関連記事

 


未来宝飾MARKETのご案内
資料請求・お問合せ
PAGE TOP