古来より月には神秘的な力があると信じられていました。そんな月の魅力を宿した宝石がパール(Pearl)とムーンストーン(Moonstone)であり、6月の誕生石としても知られています。
人気の高いパールとは改めてどのような宝石なのか?ムーンストーンに秘められた伝説とは?この記事では、6月の誕生石であるパールとムーンストーンについてご紹介します。
パールとムーンストーンの石言葉とは?
まずは、それぞれの石言葉からご紹介します。
パール「純粋」「健康」「長寿」
ムーンストーン「幸運」「恋の予感」
パールは昔から母性を高めて女性を守護する宝石とされています。日本でも人気の高い宝石で、冠婚葬祭や卒業式・入学式などフォーマルな場面でも身につけられ、ファッションを選ばないのも大きな特長です。
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一方、ムーンストーンは月の輝きのような美しさがあり、ヨーロッパでは旅人の安全を願う宝石と考えられていました。月明かりが闇夜を照らすように、旅人の道標になると考えたのかもしれませんね。
石言葉はいずれもポジティブな意味合いがあり、贈り物としてもピッタリの宝石です。隙間なくセットされたパールネックレスは女性本来の美しさを引き出し、女性なら誰しもが憧れるジュエリーの1つでしょう。
パールもムーンストーンも“月”と深い関係が
パールとムーンストーンはいずれも月との関係性が深い宝石として知られています。
古代ローマの博物学者はパールについて「有史以前の人類に知られた最初の宝石であった」として、パールを世界最古の宝石と考えています。また、聖書の福音書においてもパールは天国を比喩するものとして登場し、それほど古くからパールは世界中から親しまれていたのです。
そんなパールは「月の雫」とも呼ばれています。パールができる原理が理解されていない時代において丸く輝くパールを天からの贈り物と考えるのは、現代を生きる人々も納得してしまうほどの美しさがありますね。
自然のままの美しさを残しているパールは、かつてはダイヤモンドよりも貴重な宝石として流通していました。
そしてムーンストーンも同じく月の光が固まってできた宝石だと信じられ、その中には月の女神であるディアーナが宿っているという言い伝えがあります。ディアーナとは狩猟と貞操の神としても知られています。ゆえに旅人を守る宝石、恋を成就させる宝石として広まったのかもしれません。
アレキサンドライトも6月の誕生石
パールとムーンストーンのほか、アレキサンドライト(Alexandrite)も6月の誕生石として知られています。
1721年〜1917年まで続いたロシア帝国時代、ウラル山系タコバヤ川流域の花崗岩地帯より新緑に輝く原石が掘り当てられました。エメラルドと考えられたその原石を工場に持ち込み、ロウソクの火で照らしてみると赤色の原石に変色していたのです。
神秘的なその原石は皇帝ニコライ一世に献上され、その日1830年4月29日は長男アレクサンドル・ニコライエビッチ皇太子の成年式典だったことから、その名を取ってアレキサンドライトと呼ばれるようになります。
アレキサンドライトの色が変化した理由は強い変色効果によるものです。太陽光に当てられた場合と白熱光に当てられた場合とでは色味が変化し、太陽光では緑色系、白熱光では赤色系に見える特性を持ちます。
このことから「昼のエメラルド」「夜のルビー」と呼ばれ、他の宝石にはない美しさを備えています。また、アレキサンドライトの評価基準として、色の美しさとこの明瞭な色の変化が大きなポイントとなります。
パールは6月の誕生石だが取り扱いに注意
日本の6月といえば梅雨。気温・湿度共に高い日が続き、不快に感じる方も多いでしょう。実は、梅雨時期を苦手とするのはパールも同じです。
パールは有機物から作られ、数ある宝石の中でもとりわけ高温多湿に弱い傾向があります。紫外線や湿度の高い場所に長時間さらされると、たんぱく質がやけて黄ばみが出てくる恐れがあり、パール本来の美しい輝きが失われるかもしれません。
また、6〜9月にかけては汗をかきやすく、日焼け止めクリームを塗ることも多いでしょう。これがパールにダメージを与える可能性があります。汗は酸性で、日焼け止めには水分、油分、化学成分が含まれており、パールが長時間触れると光沢の鈍化、変色などの原因になるだけでなく、酸性によりパールの結晶が溶け出す恐れがあるので注意してください。
パールは6月の誕生石ではありますが、必ずしも6月の着用に適した宝石ではないため、梅雨から夏にかけては極力大切に保管することをお勧めします。着用する場合は外すたびに柔らかい布で拭き取るなど、こまめにお手入れをしてください。
もっと詳しく:梅雨から夏にかけて取扱注意のジュエリーと、そのお手入れ方法
ムーンストーンとアレキサンドライトに関しては、パールほどデリケートな宝石ではないため梅雨から夏にかけて着用しても問題ありません。ただし、こまめなお手入れが欠かせないのはパール同様です。
まとめ
- パールは母性を高めて女性を守護する宝石といわれる
- ムーンストーンはヨーロッパでは旅人の安全を願う宝石とされていた
- パールは「月の雫」とも呼ばれ天からの贈り物と考えられていた
- ムーンストーンは月の光が固まってできた宝石で、月の女神が宿っていると信じられていた
- アレキサンドライトは太陽光では緑色系、白熱光では赤色系に見える特性を持った宝石
- パールは高温多湿に弱く梅雨から夏にかけての着用は要注意
6月の誕生石はどちらも月との関係が深く、なんだか月を見上げたくなってしまいますね。ちなみにネイティブアメリカンの間では6月の月を「ストロベリームーン」と呼びます。6月がお誕生日の方には、ピンクパールやピンクゴールドを使ったジュエリーを贈ると、ロマンチックで喜ばれるかもしれませんね。
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