新芽のように若々しい緑色と、高い透明感が特徴の「ペリドット(Peridot)」は8月の誕生石です。かつては「太陽の石」と呼ばれ、「クレオパトラが所有していたエメラルドはほとんどがペリドットだった」という逸話もあります。この記事では、そんなペリドットについてご紹介します。
ペリドットとは?
ペリドットの鉱物名は「オリビン(和名:かんらん石)」であり、マグネシウムや鉄を含むケイ酸塩鉱物に属します。
オリビンは地球マントル最上部の大部分を占めており、地上の火成岩(マグマが冷えた固まった岩石)の中に含まれています。その中で結晶化したものがペリドットであり、火成岩を見るとペリドットを多く確認することができます。
ペリドットは光を分裂・屈折させることにより、夜間照明の下でも昼間と変わらないほど鮮やかで透明感のある光を放ちます。そのため、古代ローマでは「夜会のエメラルド」とも呼ばれ、その輝きでネガティブな感情(暗闇)から身を守ってくれると言われています。
ペリドットの石言葉
ペリドットの石言葉は「夫婦の愛」「運命の絆」「幸福」「平和」です。「夫婦の愛」という石言葉を持つペリドットは夫婦円満をもたらすといわれ、幸せな家庭を築きたい・大切な人との絆を深めたい時にはピッタリの宝石です。
隕石から採掘される「パラサイトペリドット」
プリズムジュエルス パラサイティックペリドット RD 0.25ct×2pc GIA鑑別書あり
ペリドットの中には、地球で採掘されたものではなく宇宙から飛来したものがあることをご存知でしょうか?「パラサイトペリドット」または「パラサイティックペリドット」と呼ばれ、地球に落下したパラサイト隕石から採取されたものです。
隕石の種類は大きく3つに分られており、その中の1つに「石鉄隕石」と呼ばれるものがあります。石鉄隕石は鉄とケイ酸塩鉱物を含む鉱物であり、つまりオリビンの性質に近いのです。
隕石というのは、火星と木星の間に位置する小惑星帯から由来したものがほとんどであり、45.5億年前の原始太陽系の中で形成された小天体の破片だと考えられています。小惑星同士の衝突や、あるいは火星などの表面物質が何らかの衝撃によって飛散したというのです。
地球でも採掘されるペリドッドのような宝石がパラサイト隕石から発見されたという事実から、ペリドットは「地球と宇宙の繋がりを感じられる稀有な宝石」だと言えますね。
美しくカットされたパラサイトペリドットを見かけることは難しく、0.1ctのものでも50,000円以上の値が付けられます。同サイズのダイヤモンドと比較しても高価であり、非常に希少価値の高い宝石です。
ただし、パラサイトペリドットと通常のペリドット、色味や透明感などの美しさは通常のペリドットの方が高いため、購入する際は慎重にご検討ください。地球へ飛来する際の過酷な条件下により、パラサイトペリドットには茶褐色のインクルージョンが多く見られるためです。
古代エジプト人は「太陽の石」と呼んだ
ペリドットの起源は古代エジプトにあるとされています。古代エジプト人は、現代のセントジョンズ島と呼ばれる島で、その美しい緑色の宝石を採掘していました。そしてペリドットは「太陽の石」と呼ばれ、ペリドットを持つものを夜の闇から守ってくれると信じられていたのです。
冒頭でも述べたように、古代エジプトで最も有名なクレオパトラが所有していたエメラルドは、ペリドットだったかもしれない、という逸話があります。
というのも、中世の人々はペリドットとエメラルドを混同していたという史実があるためです。ドイツのケルン大聖堂における三聖王の神殿を飾る200カラットのペリドットは、長らくエメラルドだと信じられてきました。
確かにペリドットとエメラルドは色味や透明感が非常に近いものがあり、分析技術に乏しかった当時は、混同してしまうのも無理はありません。現代においても、ペリドットとエメラルドを混同してしまうことがあるため、購入時は注意してください。
ペリドットやエメラルドに限らず、宝石を購入する際はソーティングもしくは鑑定書の付いた商品を選びましょう。
ハワイでは「ペレの涙」と呼ばれている
ハワイにおけるペリドットの別名は「ペレの涙」です。ペレとは火を司る女神のことであり、ハワイでは火山の噴火を「神の御業」だと信じています。ペレは美しく情熱的で、嫉妬深い女神だったそうです。
彼女の心が激しく揺さぶられ、嫉妬心が昂った時にその感情がマグマとなって地上に噴き出しだし、そして冷え固まった岩石の中から発見されるペリドットは「ペレの涙」と呼ばれるようになったのです。
そのため、女神が流した涙であるペリドットは、ハワイの人々にとって魔除けの力がある宝石として親しまれています。
まとめ
- ペリドットの鉱物名は「オリビン」、火成岩を見るとペリドットを多く確認することができる
- 石言葉は「夫婦の愛」「運命の絆」 「幸福」「平和」
- 隕石から採掘される「パラサイトペリドット」は希少価値が非常に高い
- 古代エジプトでは「太陽の石」、ハワイでは「ペレの涙」と呼ばれていた
- かつてはペリドットとエメラルドを混同していたという史実がある
いかがでしょうか?この記事では8月の誕生石であるペリドットについてご紹介しました。ペリドットはエメラルドと類似した宝石ですが、エメラルドと比べて霞みがかった色合いがまた美しい宝石です。
その色合いと抜群の透明感が相まって、イエローゴールドとの相性が非常に良いという魅力があります。
逆に深い緑色をしたエメラルドはホワイトゴールドやプラチナとの相性が良いため、ペリドットとエメラルドのどちらを購入するか、迷った時は「どの素材を身につけたいか?」から選ぶと良いかもしれません。
関連記事
- 【7月の誕生石】三大貴石 ルビーってどんな宝石?
- 【6月の誕生石】月の雫(パール)とムーンストーン
- 【5月の誕生石】クレオパトラも愛したエメラルドの魅力
- ダイヤにエメラルド!硬度の高い宝石を扱う時のポイントとは?
- おすすめ5選!夏にぴったりな涼しげジュエリー
- デマントイドガーネット、その特徴と歴史、産地による違いを解説!