11月の誕生石のトパーズとシトリンは、どちらも代表的なカラーは明るく輝く黄色の宝石です。11月生まれの方は誕生石を購入するときにどちらにしようか迷われるかもしれませんね。
トパーズとシトリンは似ていることから混同されやすく、素人には判別がつきにくいと言われています。よく調べてみると似ているようでまるで違う、トパーズとシトリンの特徴と魅力をお伝えします。
トパーズについて
歴史・産地
トパーズ(topaz)の歴史は大変古く、紀元前に紅海に浮かぶ「トパジオス島」で採掘されたということから「トパーズ」の名前がついたという説があります。名前の由来には他の説もあり、サンスクリット語で「火」の意味を持つ「Tapas」であるという説、ギリシャ語で「探求する」という意味を持つ「Tapazos」であるという説があります。和名は「黄玉(おうぎょく)」です。
トパーズの主な産地は、ブラジル、ロシア、タイ、カンボジア、ベトナム、アフリカ、オーストラリア、ヨーロッパ諸国です。日本でも岐阜県大津市田上山で産出があります。
特徴
トパーズはケイ酸塩鉱物の一種です。成分中に水酸基(OH)、フッ素(F)が含まれ、どちらが優勢かによって「OHタイプ」と「Fタイプ」に分類されます。光や熱に弱く、Fタイプのイエローとブラウンの場合変色しやすいという特徴があります。水での洗浄はできますが、熱湯での洗浄はできません。
モース硬度8と硬度は比較的高く、ジュエリーに適しています。しかし、一定の方向に割れやすい「劈開(へきかい)」という特徴があり、衝撃による耐性はあまり強くありません。ひびが入る恐れがありますので超音波洗浄機の使用は避けましょう。
トパーズのカラー
未来宝飾 インペリアルトパーズ(シェリーカラー)ルース 2.592ct
トパーズは見る角度によって色が違って見える「多色性」があります。カラーバリエーションが豊富で、加熱処理や放射線照射でカラーを変化させることができます。次のようなカラーがあり、カラーによって呼び名も変化します。
インペリアルトパーズ | シェリーカラー(黄褐色~橙褐色) |
---|---|
ピンクトパーズ | ピンク |
ブルートパーズ | 青、藍 |
シャンペントパーズ | 薄茶色 |
グリーントパーズ | 緑 |
カラーレストパーズ | 無色 |
ミスティックトパーズ | 玉虫色、虹色 |
石言葉・言い伝え
トパーズの石言葉は「友情」「誠実」「希望」です。直観力と洞察力を高め、持ち主にとって何が必要かを教えてくれる石だといわれています。また、「悪いものを遠ざける」「友人やパートナーなど大切な人との出会いがある」「治癒力を高める」とも信じられています。
古くはインドでは傷を治す力を持った治療の石、エジプトでは太陽神・ラーの象徴の石として崇められていました。
シトリンについて
歴史・産地
シトリン(citrine)は古代ギリシャ時代から人々に愛されている宝石です。中世ヨーロッパの貴族の間でシトリンが大流行していたといわれています。当時はシトリンよりトパーズのほうが価値が高く、カラーが似ていることからトパーズの代用品とされていたそうです。現代ではシトリンの美しさが認められ、世界各国で人気を集めています。名前の由来は「レモン」を表すフランス語の「citron」、またはラテン語の「citrus」だといわれています。
シトリンの産地はブラジル、ボリビア、スペインです。有名な産地はブラジルのバイラ州、リオ・グランデドスル州などです。多くはブラジル産ですが、カラーが美しく価値が高いシトリンはブラジル国境近くのボリビアでも多く産出されています。
特徴
シトリンはアメシストから生まれた水晶で、和名を「黄水晶」といいます。アメシストがマグマによって加熱されたり、放射線によって黄色に変色してできたものがシトリンです。
処理が一切されていない天然のシトリンは産出量が少ないためとても希少価値が高く、現在市場に出回るほとんどのシトリンはアメシストを人工的に加熱処理したものです。人工的にアメシストをシトリンに変化させる処理をしていても、成分などは天然のシトリンと違いはありません。
トパーズのような「劈開」がないので、ジュエリーとして扱いやすい宝石です。シトリンは傷はつきにくいのですが、太陽光に弱いので直射日光の当たる場所に長時間置かないようにしましょう。
シトリンのカラー
淡い黄色、オレンジ色が一般的ですが、なかには個性的なカラーのシトリンもあります。珍しい種類のシトリンとして、アメジストとシトリンがひとつの結晶内に存在する「バイカラーシトリン」、別名「アメトリン(Ametrine)」、濃いオレンジが入った黄色の「マデイラシトリン」などがあります。トパーズのような多色性はありません。
石言葉・言い伝え
シトリンの石言葉は「富」「繁栄」「友情」「成功」です。太陽の光を感じさせる美しい輝きから太陽のエネルギーを持つ石とされ、またその輝かしい色合いから金運の象徴とされ大切にされてきました。
終わりに
色は似ていても産地も特徴も全く違うトパーズとシトリンについてお伝えしました。昔は二つの判別がつきにくかったそうですが、現在は鑑別技術の発達により見分けるのは難しくないようです。色が似ているせいか、石言葉にも共通するものがありますね。
どちらも年代を問わず使える宝石なので、プレゼントにしても喜ばれます。トパーズもシトリンも明るいカラーが気分を明るくしてくれる宝石なので、ネックレスやリングにもおすすめです。
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