宝石を選ぶとき、こだわっているポイントはありますか?色・輝き・大きさ・形・産地などいろんなポイントがありますよね。特に産地にこだわるかどうかは人によって意見が別れるところ。
そもそもこだわるべきポイントなの?と疑問に思っている方もいらっしゃるかもしれませんね。産地情報をラベルに書いているお店は多いですし、ものによっては鑑別機関が発行した産地証明書がついているものもあります。ですが、実際にそれを持ち歩いて「この産地は〇〇です!」と自慢するわけではありませんよね。
なぜ産地にこだわる人が多いのでしょうか。そして、宝石を選ぶ時は産地にこだわらなくてはいけないのか?筆者の見解もふまえて解説していきます。
産地で宝石の価値が違うのはなぜ?
なぜ産地によって価値が違うのでしょうか。それは採掘される場所によって同じ宝石でも「色」「特性」「産出量」「人気」が異なり、需給バランスが違うからです。価値が高くなる産地は、そこでしか採れない魅力的な特徴があり、さらに、産出量が少ない(または閉山している)などの傾向があります。
例えば、色は同じ宝石でも産地によって違いがあります。ルビーであればミャンマー産は鮮やかな赤色ですが、タイ産は少し落ち着きのあるシックな赤色をしています。これは世界中にいる人類が、生まれた国や地域で少しずつ特徴が違うのと同じようなものです。
ものによってはそこでしか産出しない色もあり、美しければさらに需要が高くなり価格が上がります。
宝石の産地は気にした方がいいの?
それでは産地は気にした方がいいのでしょうか?個人的な意見になりますが、自分で楽しむのが目的であれば、過度に気にする必要はないと考えています。それよりも、目の前の宝石に魅力を感じているか否かの方が大切なのではないでしょうか。
産地はあくまで一つの情報です。価値の高い産地で採れたからといって、その宝石自体に魅力があるかどうかはまた別の話。人気の産地というだけで市場で高い値段が付けられている物もありますし、逆にそこまで知られていない産地だけれど、抜群に美しく魅力的に映る宝石も沢山あります。
自分の目で見て「美しい、魅力的だ、手に入れたい」と思うかの方が重要なのではないでしょうか。
産地にこだわった方がいいパターン
前半では、産地を気にしなくても満足できる宝石は手に入ることをお伝えしました。ですが産地は宝石をより深く楽しむ上で、なくてはならない要素の一つであることは間違いありません。
この章では産地にこだわる人が多いパターンや、産地の違いを知っておくと良いパターンもご紹介します。
産地で大きく価値が変わる宝石である
産地によって価値が変わるのは一般的に色、特徴、希少価値など、産地の特徴が顕著な宝石であり、全ての宝石が産地によって価値が異なるわけではありません。
もちろん自分が楽しむのに産地は気にしないというのもアリですが、情報としてその産地の特徴を知っておく方がより満足いく買い物ができると思います。
宝石によっては産地にプレミアがついていて非常に高額になることがあります。例えばカシミール産のサファイアはオーストラリア産の100倍以上の価格になることもあると言われています。後述する産地証明が取れる宝石などは一般的にどこで産出されたかを気にする人が多いです。
その産地が好きorその産地の宝石が欲しい
その産地が好き、憧れの産地の宝石が欲しい・・・なんて方は、産地にこだわって選ぶのが良いでしょう。その産地でしか見れない独特の内包物(インクルージョン)や色味など、マニアックな楽しみ方が出来ます。
デマントイドガーネットと呼ばれるグリーンダイヤモンドのような強い輝きをもつガーネットもその一つで、ロシアのウラル産のものには馬の尻尾のようなホーステールインクルージョが見られます。
関連記事:デマントイドガーネット 主要産地と産地による違いを解説!
産地別で見比べて違いを楽しむ愛好家の方もいらっしゃいますし、産地にこだわるからこそ出来る楽しみ方もあるんですよ。
宝石の資産性も考慮したい
引用:GIA アーガイル鉱山のピンクダイヤモンドは終わりを迎えるのでしょうか?
宝石を資産として持ちたいという方は、美しさだけでなく産地にはこだわった方が良いでしょう。美しさもそうですが、産地によって価値が大きく変わるのは周知の事実だからです。
関連記事:アーガイル鉱山閉山によるピンクダイヤモンドの行方と価値は?
ただ、資産性を求めるのであればある程度の大きさと品質の高さが必要となりますので、それだけ高額になります。また株式投資と同じように、今の段階で資産性があったとしても何かのきっかけで価値が変わってしまう可能性があることは意識しておく必要があります。
資産性を考慮して産地にこだわる場合は、必ず産地証明を取っておきましょう。ラベルに産地が表示されている、お店の人が○○産と言っていた、という情報だけでは正確な証明にならないからです。次の章で詳しく解説します。
関連記事:徹底解説!「宝石投資」とは?資産となる宝石と注意点
産地にこだわる場合の注意点
産地にこだわって宝石を選ぶ場合、表記されている産地の「根拠」に注意する必要があります。産地が書いてある状態で販売されていても、実際には産地証明が取れていない(もしくは取っていない)宝石が多いからです。
宝石の産地を特定することはとても難しく、産地証明はごく一部の宝石種にしか対応していません。GIAで原産地レポートを発行できるのはルビー、サファイア、エメラルド、パライバ トルマリン、レッド スピネル、アレキサンドライトの6種のみです。(2024年3月現在)
ですから「産地が表記されている=産地証明がある」との思い込みは禁物です。現地で仕入れたという事実以外にも、仕入れ元やバイヤーから「○○産ですよ」と聞いたことが根拠になっている場合もあります。お店の人に詳しい話を聞いてから購入するとよいでしょう。
産地はあくまで購入する上での参考材料
宝石は産地が違うだけで特性や色が違い、種類によっては価値も大きく変わります。ですがあくまで産地はその宝石をより深く知り、納得できるお買い物をするための一つの判断材料です。
無理に産地にこだわる必要はないと思います。自分に響く宝石を探してみてくださいね。
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