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海外発行の鑑定書・鑑別書 記載事項と注意点!

2022.11.09 2023.08.03

海外発行の鑑定書・鑑別書 記載事項と注意点!

宝石の価値を測るため、そして消費者の不安や心配を防ぐ意味でも欠かせないのが鑑別書の存在です。しかし鑑別書があるから安心というわけではなく、それらが言わんとしていることを正しく理解すること、そこに疑問を呈する姿勢が大切です。

 

今回は、海外で発行される鑑定書、鑑別書を解説。世界に点在する鑑別機関とそこで発行されるレポートには何が記載されるのか?そして注意したいポイントにも触れていきます。

玉石混交の海外鑑別機関

世界的に有名な海外の鑑別機関

合理的に受け入れられる鑑別結果のはずですが、その数値や結果を鵜呑みにしすぎることは厳禁です。特に海外の鑑別機関が発行したレポートについては注意が必要になります。

 

GIAに代表されるような鑑別機関の鑑別書、鑑定書を目にする機会は多いですが、ここではまずどのような鑑別機関があるのかをおさらいしていきましょう。

 

世界的に有名な鑑別機関を紹介

鑑定書、鑑別書はただの紙ではなく、ぱっと見ただけではわからない宝石の品質を測る物差しになる重要なファクターです。販売業者、消費者にとってもこれらは安心材料になるわけですが、実際は信頼に値しないレポートも存在します。

 

宝飾品界隈でも「この宝石ならば○○の鑑別機関」「あの宝石ならば××の鑑別書を」など、それぞれ得意不得意な分野があるということ、そして保有する機材も異なるため、正しい評価を下せない場合もあるということです。

 

また、鑑別を担当する者は機械ではなく人間であることも考慮にいれなければなりません。つまりミスもありますし、プロの研磨師が行うレポート作成と、宝石学を学んで数年の者では正確性が異なる場合もあるでしょう。

 

そんな事実を踏まえ、ここではまず国際的に信頼がおけるレポートを発行している鑑別機関をいくつか紹介していきます。

GIA……アメリカ
FGA……イギリス
AGS(American Gem Society)……アメリカ
HRD……ベルギー
Gubelin Gem Lab……スイス
GRS(GemResearch Swisslab)……スイス
SSEF(Swiss Gemmological Institute)……スイス
DGG(Deutsche Gemmologische Gesellschaft)……ドイツ

世界に鑑別機関は点在しており、優劣を付けることはナンセンスではありますが、その歴史や研究実績、保有する鑑別器具に教育への貢献度などを考慮にすると上記のような鑑別機関は国際的にも高く認知されています。(イコール、これらの鑑別機関による鑑別書、鑑定書が絶対正しいというわけではありません)

 

これ以外はダメということではありませんが、鑑別機関が得意としている宝石の鑑定、鑑別を把握した上で、適切な鑑別所を選ぶことは業者側の信頼にもつながります。

 

架空の鑑別機関やロゴ偽装も!?

日本では暗黙の了解で鑑別機関がA~Cに格付されています。ランクが上になるほど信頼、値段が高くなりますが、もちろんB鑑、C鑑だからNGというわけでもありません。あくまで使い分けることが大切です。

 

国外でも同様に上記で紹介したような信頼値が高い鑑別機関が好まれますが、中には詐欺的な側面が強い鑑別機関があるのも事実。

 

宝石に付帯していたソーティングの鑑別機関を調べたら、鑑別機関そのものが実在していなかったというケースもしばしば報告されているので、鑑別書、鑑定書もしくはソーティングがあるので安心というほど簡単なものではありません。

 

GIAのロゴはそのままに文字を少し変えて偽の鑑定書を発行するなど、ちゃんちゃらおかしい偽機関もあるのでジョークと笑いつつも、海外発のレポートへの警戒心を忘れてはなりません。

鑑定書、鑑別書から分かること

鑑別書、鑑定書に関する記載事項と注意点

ここでは海外で発行された鑑別書、鑑定書に関する記載事項と注意点について解説していきます。

 

レポートへの記載事項

皆さんはもうご存知だと思いますが、鑑定書はラウンド・ブリリアントカットを施したダイヤモンドのみに発行されるグレーディングレポートですね。4つのC、つまりはカラット、クラリティ、カラー、カットの品質を評価したものです。

 

一方で鑑別書は宝石の品質ではなく、その種類や天然、人工石か否か、その起源をデータに落としたものですね。これらは当然の共通認識ですが、鑑定書にしても鑑別書にしても国を跨いでレポートに記載される内容が大きく異なることはありません。

 

特に宝石の鑑別書、または簡易検査のソーティングには、宝石の科学的データを各種鑑別素材を用いて検証するわけですが、基本の記載項目として挙げられるのは以下の内容です。

  • 宝石名
  • サイズ
  • カット
  • インクルージョン
  • 天然か合成、模造石か否か
  • 処理の有無
  • 屈折率や比重、光学的な性質など

ただし加熱に関しては海外の鑑別機関でも「通常、加熱が行われている」というコメントのみで済ませている場合も少なくありません。より踏み込んだ結果は追加料金で、あらたな検査を申込まなければならないわけです。

 

海外の鑑別機関の鑑別書、鑑定書は見慣れないところも多いのですが、前述のように「ここなら絶対安心できる」と言い切れる鑑別機関はありません。特定の宝石への鑑別実績や産地情報のサンプルを多く持っている機関であれば、決して大手ではなくとも、その宝石に対するレポートの信ぴょう性が高まるということです。

 

また、全く無名の聞いたことがない鑑別機関のレポートが付帯する場合は、その結果を鵜呑みにせずに、複数の鑑別機関に再度調査を依頼することもケースバイケースで必要になります。拡散処理を施した石でもパパアチア判定を出しているような鑑別機関のレポートは信ぴょう性がないばかりか、トラブルにつながりますよね?

 

海外は国内の鑑別機関より「エメラルドの含浸処理が得意」「パパラチアサファイア判定が厳しい」などの鑑別スタンス、規準が分かりにくいので、国内のA鑑やその分野で実績がある鑑別機関で比較調査することが大切になります。

 

国や鑑別機関によって異なる結果になるケース

ジェダイスピネルの色範囲と鑑別の基準

AIGS Jedi spinel colour reference. Photo © AIGS

各鑑別機関、特に海外で発行されたレポートの場合は横文字ばかりが連なるわけですが、その国独自の好みや色に対する価値観で宝石の色範囲が決定されたり、どこの鑑別機関でも行っていない特別な表記方法でレポートを作成しているところもあります。(以前のコラムで執筆している、ジェダイスピネルの色範囲と鑑別書など)

 

関連記事:パパラチアサファイアの特徴と加熱、拡散処理の現状、鑑別基準を解説
関連記事:ジェダイスピネルとは?その特徴と産地、アジア圏で流行の理由を考察

 

フランスならフランス語、スペインならスペイン語で項目に関する注意点やスタンスが記載されているので、英語圏以外(英語で表記されていないレポートを発行する機関)のレポートには注意が必要です。

 

鑑別機関によっては鑑定、鑑別が甘く出ることがよくあり(日本でも同様ですが)、パパラチア判定、パライバ判定を狙って評価基準が緩い鑑別機関を敢えて利用する業者もあるくらいです。以前に中国産の美しい赤色のアンデシンに施された銅拡散処理が見抜けず問題になったこともありました。

 

また、GIAの鑑定書でも10年前に発行されたものと最近発行されたものでは、処理や看破技術が10年の歳月で大きく進歩しているわけですから、新たなレポート取得が望まれます。

まとめ

海外発行の鑑定書、鑑別書に関してまとめると、

  • 海外鑑別機関の特徴、強みを把握して使い分けるのがベスト
  • 独自の鑑別スタンスでレポートを出すところもあるので注意
  • 鑑別書、鑑定書の記載事項が価値に直結する場合は、追加調査で踏み込んだ検査が必要
  • パライバトルマリン、パパラチアサファイアなどは特に注意が必要
  • 甘い基準の鑑別機関は後々トラブルになることがある

今回は海外の鑑別機関、鑑定書から分かること、注意点を中心に解説していきました。各鑑別機関の特徴をそれぞれ述べると長くなるので、それはまた別の機会にお伝えできればと思います。

 

国内で流通している宝石でそこまで怪しい鑑別書、鑑定書を見かけることは多くないですが、イーベイなどの巨大ECモールに出品している業者の宝石にはなかなか信用に値しないレポートがつくことも多いです。

 

日本はとにかくクオリティーを重視する傾向があり、トラブル時は返品が当たり前に求められるため、海外発のレポートには細心の注意を払わなければなりません。

 

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