レインボームーンストーンはホワイトの地色に七色の光が鮮やかに浮かび上がる幻想的な宝石です。ムーンストーンと名前がついていますが、実は違う鉱物なのはご存知ですか?
知っているようで知らないレインボームーンストーンの魅力や、どんなジュエリーに向いているか、お手入れの方法など、まとめてご紹介します。
レインボームーンストーンはムーンストーンじゃない!?
長石(ちょうせき)グループに属しているレインボームーンストーン。この名前から誤解されることも多いのですが、実はレインボームーンストーンは『ムーンストーン』ではありません。レインボームーンストーンは通称名(コマーシャルネーム)であり正式な鉱物や宝石の名前ではないのです。
実際は、ホワイトラブラドライト、そしてアンデシンラブラドライトの2つのうち、七色の輝きを見せるものがレインボームーンストーンと呼ばれています。
レインボームーンストーンとムーンストーンの分類
ムーンストーンとレインボームーンストーンはどちらも長石グループに属している宝石です。長石は地球の地殻に最も多く存在し、60%も占める造岩鉱物なのだそうですよ。
長石グループはカリウムが主成分のオーソクレース、ナトリウムが主成分のアルバイト、カルシウムが主成分のアノーサイトが溶け合ったものです。その中でムーンストーンの多くはアルカリ長石グループに属しています。
それに対しレインボームーンストーン(ホワイトラブラドライトやアンデシンラブラドライト)は斜長石(しゃちょうせき)グループに属しています。そもそもグループの属性が違っていて、含まれている成分にも違いがあるんですよ。
長石グループの宝石を購入する場合は値札に書かれている名前は通称なのか、それとも鉱物名なのかしっかり確認してから購入した方が良いでしょう。きっちりしたお店であれば、宝石名、通称、鉱物名は分けて書いてあったり、スタッフがきっちり説明してくれることが多いですよ。一度確認してみましょう。
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虹色が浮かび上がる理由
七色の輝きをみせるラブラドライト
レインボームーンストーンはなぜこんなにも魅力的な七色の輝きを放つのでしょうか。ホワイトラブラドライトは特有の「ラブラドレッセンス」と呼ばれる光彩効果を持っています。ラブラドライトはアルバイトとアノーサイトの固溶体で、それぞれの薄い層が重なり合ってできています。その中で成長したマグネタイトやヘマタイトなどの金属鉱物が干渉して、7色が浮かび上がるような不思議な現象を生み出しているのです。
それに対しアンデシンラブラドライトはアンデシンとラブラドライトの固溶体です。ホワイトラブラドライトによく似た光彩効果があるものをレインボームーンストーンと呼んでいるようです。
この二つは同じように見えますが、鑑別技術が発達した現在では目に見えない部分で細かな判断ができるようになっているんですよ。
レインボームーンストーンの魅力と特徴
ファセットカットされたレインボームーンストーン(左)とカボションカットされたレインボームーンストーン(右)
オパールやスフェーンなど宝石が放つ7色を楽しむものはいくつかありますが、その中でもレインボームーンストーンは華やかさだけでなく、どこか儚げな美しさを持っています。白い地色の中から浮き上がるような輝き方で、まるで夢の中にいるように感じますよ。
ムーンストーンはカボションカットが多い印象ですが、レインボームーンストーンはファセットカット(小さな面を幾何学的に組み合わせたカッティング方法 )されたものもよく見かけます。カットされた面がキラキラと輝く様は、7色の光と相まってさらに豪華な印象になりますよ。カボションカットは水滴に虹が映り込んだような瑞々しさが魅力です。どちらも甲乙つけ難い美しさがあります。
モース硬度一覧(レインボームーンストーンは硬度6~6.5にあたる)
非常に魅力的な宝石ですが、モース硬度は6~6.5と少し低めです。宝石として扱いやすい硬度はモース硬度7と言われていることから、少し傷つきやすい印象ですね。また劈開があり衝撃に弱いという特徴があります。劈開は一定方向に強い衝撃が加わると割れてしまう性質のことで、レインボームーンストーンは2方向に劈開性があります。
このように少し繊細な宝石なので、ジュエリーに加工する場合はネックレスやピアスなどぶつけにくいアイテムの方が安心ですよ。リングにする場合は利き手と反対の手にはめるようにするとぶつける確率が少なくなります。
扱い方とお手入れ方法
レインボームーンストーン着用後はメガネ拭きなどの柔らかい布で拭くと◎
少し柔らかく繊細なレインボームーンストーンのお手入れはどのようにすれば良いのでしょうか。日常的なお手入れならジュエリーを外した後に柔らかな布(セーム革、メガネ拭き)で拭くのが一般的です。汚れがひどい場合はぬるま湯の石鹸水で汚れを浮かせ、柔らかな歯ブラシで磨くと良いですよ。
保管する場合はダイヤモンド、サファイア、ルビー、エメラルドなどのモース硬度が高いものとぶつかると傷がついてしまうため、保管場所を変えたり、別のポーチに入れるなどするのがお勧めです。
まとめ
- レインボームーンストーンは通称名であり、実際は『ムーンストーン』ではない
- ホワイトラブラドライトとアンデシンラブラドライトの2つのうち、七色に輝くものをレインボームーンストーンと呼ぶ
- 7色に見えるのは「ラブラドレッセンス」と呼ばれる光彩効果によるもの
- モース硬度は6~6.5と少し低めで、劈開があり衝撃に弱い
レインボームーンストーンはホワイトの地色に輝く七色の光が鮮やかな宝石です。ムーンストーンと名前がついていますが、実際はムーンストーンではなくホワイトラブラドライトやアンデシンラブラドライトがレインボームーンストーンと呼ばれているんですよ。
硬度が低く劈開もあり、少し扱いに注意が必要ですが、それもまたこの宝石の可愛らしいところです。ジュエリーとして楽しむ際は他の宝石とぶつけたりしないように気をつけて使ってくださいね。
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