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宝飾業界と消費者を繋ぐパイプ役 国際組織「CIBJO」とは?

2023.01.16 2023.08.03

宝飾業界と消費者を繋ぐパイプ役 国際組織「CIBJO」とは?

宝飾品、宝石を扱っているとたびたび目にする機関があります。GIAやFGAはもはや誰しもが知る宝石鑑別機関ですが、世界的な知名度があるものの、日本ではそこまで知られていない機関も少なくありません。

 

今回は「CIBJO」について解説していきます。いったいどのような目的で設立され、どんな任務を担っているのでしょうか?

 

宝飾業界と消費者を繋ぐ、それがCIBJOに与えられた責務です。当たり前に導入されているマスターストーンによる鑑別やレポート作成などにCIBJOが関わっており、宝飾業界における存在感はとても大きなものなのです。

CIBJOとはいったい何なのか?

CIBJOとはいったい何なのか?

CIBJOはフランス語で「Confédération Internationale de Bijouterie, Joaillerie, Orfèvrerie des Diamants, Perles et Pierres」の頭文字を取ったもので、日本語では「国際/世界貴金属宝飾品連盟」と訳されています。

 

CIBJOは宝飾産業の国際協力の推進、そして世界の宝飾市場に関わる諸問題の解決を目的に設立されました。その中でもっとも大切なことは、「消費者の宝飾品に対する信頼を高めるのに十分な情報を開示すること」なのです。

 

なお、シブホもしくはシブジョと発音される方が多いと多いと思いますが、日本語では「シブジョ」が正しい発音です。

 

CIBOJOが設立された目的

CIBOJOが設立された目的

CIBJOは国同士の協力をあおぎ、消費者からの安心と信頼感を構築し、宝飾業界の調和を図ることを目的としています。

 

宝飾品や宝石に関する法律は日本を含め世界各国で異なりますが、CIBJOが定めたガイドラインはそれぞれの国の法律を補完する役目、もしくは関連法律がない場合はCIBJOの決定事項をモデルとして活用可能です。

 

また、CIBJOは、国連経済社会理事会(ECOSOC)の公式協議資格を与えられた唯一の宝飾品業界団体としても知られています。簡単に説明すると、CIBJOは各国政府や国連事務局に対して、宝飾品業界のルール事項決定や専門知識などを助言することができるわけです。現時点で、CIBJOほど包括的でダイナミックな組織は存在していません。

 

会員によって組織されるカンファレンス(コングレス)では、宝飾業界における重要事項に関する討論、意見交換が行われ、決定事項はCIBJO代表者による過半数の賛成を経て承認されます。原則としてCIBJOの活動は、下記の3つのセクターに分類されています。

①宝飾品製造、技術、貴金属
②流通
③宝飾材料、研究、貿易

つまり、時代にあわせて課題になる事項(たとえば、拡散処理、産地同定、ラボ・グロウン ダイヤモンドの取り扱いなど)を討論していくわけですね。

 

宝石に関する事はもちろん、マーケティングや教育・倫理についてもCIBJOの決定事項が世界規準のルールとして扱われるため、宝飾業界に関わる人々にとっては非常に大きな意味を持つことになります。

 

CIBJOの歴史

CIBJOの歴史

CIBJOの歴史は、前進となる組織BIBOAHが設立されたことから始まります。BIBOAHは欧州における宝飾品業界の代表として、宝飾業者の利益を促進する目的で設立されました。CIBJOとして改組されたのは1961年頃で、現在はスイスに本部を置いています。

 

特にヨーロッパで大きな影響力がありますが、世界5大陸の各国がメンバーとして名を連ねています。(もちろん、欧州各国でも会員になっていない国はあります)

 

現在のCIBJO加盟国

  • アメリカ
  • 日本(JJA 一般社団法人日本ジュエリー協会/東京ダイヤモンド エクスチェンジ)
  • アラブ首長国連邦
  • イギリス
  • トルコ
  • 韓国
  • 南アフリカ
  • 中国(香港を含む)
  • サウジアラビア
  • メキシコ
  • オーストラリア
  • 欧州各国(スイス、デンマーク、フィンランドetc)

現在の主なCIBJO加盟国を挙げました。ただし、国としてCIBJOに加入していなくとも、各国の宝石鑑別機関や教育機関がCIBJOと継続して関係を持っていたり、研究機関がCIBJOに認定されているようなケースもあります。

 

CIBJOが宝飾用語や宝飾品ビジネスの慣習に対する事項を発表したのは1968年頃で、それ以降は世界中のビジネスモデル、宝石分類や命名などのルール、統一化、命名の登録を任務としています。

業界関係者必読!CIBJOの「ブルーブック」とは?

簡単にCIBJOの役割を解説してきましたが、CIBJOは鑑別機関や研究所ではないので、卸、小売業者(もちろん消費者も)にとっては、そこまで身近な存在とは言えないのが現実です。

 

しかし、彼らの活躍と理念は確実に目に見える形で宝飾品、宝石業界のルールとして消化されています。

 

さて、ここで紹介するのがCIBJOによる「ブルーブック」についてです。こちらもGIAなどの鑑別、教育機関の陰に隠れてしまいがちですが、大変有益なツールになっているので紹介していきたいと思います。

 

CIBJOがオンライン発行している冊子

CIBJOがオンライン発行している冊子

CIBJOという存在を見聞きしていても、その内容を熟知している関係者は決して多くありません。そんなときに活用したいのが、CIBJOのガイドラインを集約したツールの存在です。宝石に関するルールだけでなく、業界が抱えている誤認や課題を再発見するためにも、是非チェックしていただきたいのが、CIBJOによる「ブルーブック」です。

 

ブルーブックはテーマ別に分かれており、CIBJOの公式ホームページにてダウンロードできます。(なお、日本語ヴァージョンはありません)

 

The Gemstone Book』― 天然石
The Pearl Book』― 真珠
The Diamond Book』― ダイヤモンド
The Precious Metal Book』(貴金属
The Gemmological laboratory Book』― ラボ研究のガイドライン
The Coral Book』― 珊瑚
The Responsible Sourcing Book』― サプライチェーンガイダンス

また「ブルーブック」は特に重要度が高いと思われる「ルビー、サファイア、エメラルド、パールに関するガイドライン」を別途発行しているので、こちらも宝飾業界に従事している方、もしくは宝石学を学んでいる方は要チェックです。

 

日々新しい知識や情報が更新されている宝飾業界ですので、CIBJOの公式ホームページを定期的にチェックし、新たな知識の構築をしていくことが望まれます。残念ながら日本語版はありませんが、英語ヴァージョンでも十分理解できると思うので是非覗いてみてくださいね。

まとめ

CIBJOに関してまとめると、

  • 国連経済社会理事会(ECOSOC)の特殊協議資格を保有する
  • 宝飾品に抱く消費者の不安を解消し信頼を高めることが目的の1つ
  • 宝飾品や宝石、貴金属に関するガイドラインを作成し、宝飾品業界の発展を担う
  • 世界の国々が加盟し定期的な会合を開いている

昨今の宝飾業界はラボ・グロウン ダイヤモンドの台頭、そして希少宝石に対する人為処理に関してのトラブルも多くなっており、消費者が安心してジュエリーを愛でられる環境とはいいづらいのが現状です。

 

CIBJOはまさに宝飾品業界と消費者を繋ぐパイプ役であり、それだけではなく宝飾品産業を支える人々の労働環境の向上や環境破壊に至るまでの問題を解決するために尽力しています。

 

CIBJOの取り組みは業界の発展に貢献するものであり、宝飾品を取り扱う者にとって、CIBJOから学ぶべきことは少なくないはずです。

 

上記で紹介した「ブルーブック」では世界基準のルールとガイダンスをまとめて観覧できるので、気になる方は是非一読してもらいたいと思います。

 

 

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