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アーガイル鉱山閉山によるピンクダイヤモンドの行方と価値は?

2021.05.10 2024.02.26

アーガイル鉱山閉山によるピンクダイヤモンドの行方と価値は?

ダイヤモンドの中に桜を覗くペールピンク。悠久の時代を超え育まれるダイヤモンドの中でも一、二を争う美しさ、価値があるピンクダイヤモンドの大きな転換期が2020年。

 

良質なピンクダイヤモンドを産出してきたオーストラリアのアーガイル鉱山閉山は、宝飾業界にとって衝撃的なニュースでした。

 

ここではアーガイルピンクの魅力に触れながらアーガイル鉱山閉山の背景、そしてこれからのピンクダイヤモンドを考えていきます。

 

アーガイル鉱山とは?

アーガイル鉱山とは?
引用:GIA ファンシーカラーダイヤモンドの歴史と伝承

アーガイル鉱山(Argyle diamond mine)はオーストラリア・西オーストラリア州のキンバリー地域東部に位置する世界最大のダイヤモンド鉱山です。1983年から30年以上に渡り、ピンク、パープル、レッドなど希少なカラーダイヤモンドを産出してきました。

 

宝石品質のダイヤモンドが全体の約5%、ピンクダイヤモンドはさらにその1%……、いかにその産出量が少ないかが分かって頂けると思います。

 

それでも企業努力で高品質の石を供給し、他の鉱山のピンクダイヤモンドとある種の棲み分けをしながら、その価値を高めてきました。

 

市場に出回るピンクダイヤモンドの約95%がアーガイル鉱山で産出されたと言われています。

アーガイルピンクの特徴

化学組成 C
結晶系 等軸晶系
モース硬度 10.0
劈開
比重 3.52
屈折率 2.417
複屈折率 なし
多色性 なし

アーガイルピンクの特徴
引用:GIA アーガイル鉱山のピンクダイヤモンドは終わりを迎えるのでしょうか?

ピンクダイヤモンドは色相以外にトーン、鮮やかさの要素で評価されますが、アーガイル産のピンクダイヤモンドはいくつかの特徴があります。

  • ピンクの色相が濃く、彩度が高い
  • 0.1カラット、またはそれ以下の石がほとんど
  • 紫外線下で約70%が青色蛍光を示す
  • 窒素を多量に含むIa型のダイヤモンドである(※1)

(※1)他産地のピンクダイヤモンドは不純物がほとんど含まれないlla型です。

勿論全てのアーガイルピンクが最高品質、蛍光性で青を示すわけではありませんが、一種の傾向として上記が挙げられます。なお、その色合いや蛍光性、インクルージョンなどの特徴から産地を大まかに予想することはできますが、通常ピンクダイヤモンドの産地鑑定は行われません。

 

アーガイル鉱山閉山の理由は? 

宝飾業界が固唾を飲んだ出来事がアーガイル鉱山の閉山でした。今まで幾度となく閉山の噂は上がり、閉山は2020年までずれ込みましたが、今後ピンクダイヤモンドの採掘は非常に限局的になる見込み。

 

アーガイル鉱山閉山理由は宝石質のダイヤモンドが少ない割に、採掘コストが非常に高額で採算が取れないからです。また鉱床が非常に深く、将来を見据えた採掘がこれ以上は不可能と判断されました。

アーガイル鉱山閉山後の供給はどうなる?

ピンクダイヤモンド主要産地のアーガイル鉱山は埋め立てが行われ、その跡地の再利用、従業員への就業サポート等を政府と共に行い次世代へバトンを渡していきます。

 

今後は過去に採掘された石、外し石を含む還流品が市場に出るわけですが、その価値は日本のみならず世界を巻き込み高騰する見込みで、富裕層、投資家の資産運用としても注目されることになりそうです。

 

ピンクダイヤモンドが採掘可能な鉱山は?

市場に出回るピンクダイヤモンドの約9割がアーガイル鉱山に起源を持つものだと言われています。つまり残りの10%程度は他鉱山から採掘されるわけですが、その鉱山としてインド、ブラジル、ロシア、南アフリカ、タンザニア、レソト、アンゴラ、カナダなどが挙げられます。

 

これらの鉱山はアーガイル産と比べると石目(カラット)こそ期待できるものの、肝心のカラーが色褪せたものが多いのが特徴です。つまりピンク判定はでるものの、ビビットな色合いが多いアーガイル産を思わせる石をコンスタントに産出する鉱山は、現在のところありません。

 

ただしロシアはサハ共和国で2017年に発見されたピンクダイヤモンドは原石の状態で27.85カラット。研磨後は14.83カラット、Fancy Vivid Purple Pink判定で2660万$(約28億円!)というモンスター級のプライスで落札されたこともあり、時と場合によっては最高品質のピンクダイヤモンドの産出も期待できるかもしれません。

アーガイル鉱山閉山がピンクダイヤモンドの新たなスタートに

アーガイル

流通しているほとんどのピンクダイヤモンドがアーガイル鉱山発という現実を考慮すれば、その源流にストップがかかることの重大性にハッとします。しかしこれはピンクダイヤモンドの終着ではなく、あくまで始まりであることを意味します。

 

アーガイルが生んだ功績と資産価値の向上

サファイア、オパールそしてダイヤモンド……、オーストラリアから産出する宝石は複数ありますが、アーガイル鉱山が育んだピンクダイヤモンドの功績は自国の宝石産業、雇用機会の創出以外にピンクダイヤの価値を底上げしたことにあります。

 

審美性の高いピンクダイヤモンドに特製のカラーグレード(※2)、刻印(※3)を付属することで、他産地と差別化をはかり、いわゆるアーガイルブランドを構築しました。

(※2)オリジナルのカラーグレード評価で、PP(Purplish Pink)、PR(Pink Rose)、P(Pink)、PC(Pink Champagne)、BL(Blue)、R(Red)の6分類を導入。更に色のトーンは強い順に1、2、……9まで9段階のナンバリングを行い評価。
(※3)0.08カラット以上の石のガードルに検索可能なシリアルNoを刻印。

 

ピンクダイヤモンド市場に王国を築き、その市場価値と需要を引き上げたのが他でもないアーガイル鉱山であり、今後も「アーガイルレポート」が付いたピンクダイヤモンドの資産価値は上がることが予想されます。

まとめ

ピンクダイヤモンド

まとめるとアーガイル産以外のピンクダイヤモンド自体は質、量ともにアーガイル産に劣るものの、産出自体は南アフリカ、ロシア、インドなどから採掘されています。

 

そして今後は産地を問わずピンクダイヤモンドの価値が向上し、特にアーガイル産のお墨付きがあるものはその価値が爆増することが明白です。

 

目で見て、身に着け楽しむダイヤモンドから、今後は持ち運び資産としてスポットライトを浴びる。現在も宝飾業者や投資家の秘蔵アーガイルピンクダイヤモンドが貸金庫に眠り、市場に出るタイミングを伺っています。

 

なお現在オーストラリアではアーガイルピンクに代わり、ファンシーイエローダイヤモンドの宝庫エレンデール鉱山の採掘再開の声が聞こえ始め、オージーダイヤの未来に再度光が差し始めています。

 

 

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